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INTERVIEW

MAYSON's PARTY

2022.06.29UPDATE

2022年07月号掲載

MAYSON's PARTY

Member:AYATOMO(Vo/Gt) SAKI(Tp/Vo)

Interviewer:山口 哲生

MAYSON's PARTYが1st EP『ONE』をリリースした。昨年7月、1stミニ・アルバム『MAYSON's PARTY』を発表したあと、全国26ヶ所を回るリリース・ツアー("MAYSON's PARTY 1st mini album RELEASE TOUR『THE TOUR 2021』")を開催し、HEY-SMITH、AIRFLIP、SHIMAといったアーティストのツアー・サポートも経験。ツアー・ファイナルのSHIBUYA THE GAME公演はチケット即完売と、勢いを増している7人。今回発表する『ONE』は、そんな現在の好況であり、この1年間でバンドが経験したものを物語る、超がつくほど痛快で、テンションがぶち上がるスカ・パンクが閉じ込められている。そんなEPについて、そして前作から本作に至るまでの1年について、AYATOMOとSAKIに訊いた。


最初の壁をひとつ乗り越えられたかなっていう感覚はあります


-前作『MAYSON's PARTY』のリリースから約1年が経ちますけど、バンドにとって、おふたりにとってどんな期間でしたか?

AYATOMO:去年の7月にリリースして、ツアーが始まったんですけど、初日からメンバーがコロナに罹ってしまって、3本延期、振替というところからのスタートで。そういう状況でもあったし、世の中的に賛否両論あったけど、俺らはツアーをやろうと決めてツアー・ファイナルまで行けて。だから、単純にやれて良かったなと感じます。あとは、バンドとしても、ツアーやライヴハウスにこだわる意味とか、こだわるべきという気持ちを再認識できた1年だったと思いますね。

-去年の夏頃となると、オリンピックがあったりして、世の中がピリピリしている時期ではありましたよね。

SAKI:そうですね。バンドのメールに結構厳しい声が届いたり、そういうツイートも見かけたりしたけど、折れずに。決めたし、みたいな。

AYATOMO:やっぱりやってみてわかるのが、どれだけライヴハウスが(感染)対策をしていて、いかにお客さんがルールを守っているのかということで。世間からしてみたら、そういうのってわからないじゃないですか。イメージが悪いというだけで変なふうに思われてしまっていて。"それでも行こう!"って決めて、来てくれる人たちがいて。その中でしかわからないことかもしれないけど、来てくれる人たちと俺らで、これだけルールをしっかり守ってやっているんだから、胸を張ってやればいいんじゃないかって思えました。

-そういった状況もあって、ライヴハウスにこだわる気持ちがさらに強くなったと。

AYATOMO:時代的には、例えば配信をするとか、いろんなバンドの在り方があると思うし、それは全然いいと思うんですよ。ただ、自分たちがどこにこだわりたいか、どれを大事にしたいか。自分もずっとそうでしたが、バンドマンってライヴをやるのが当たり前という状況でやっていたけど、どれだけそこにこだわることが大切なのかというのを再認識できたと思います。いろんな選択肢があると思うんですけど、その中で、僕らはライヴにこだわることを選んだっていう。

SAKI:AYATOMOがライヴハウスを大事にしているのは、横で見ていてすごく感じていました。最初は"配信もありなんじゃない?"みたいな気持ちもあったし、バンドも新しい形でやっていくのもありなんじゃないかなと思っていたんですけど、ツアーを回ると、"ライヴをやってくれてありがとう"って言ってくれるお客さんもいて、"正しかったんやな"ってどんどん思うようになっていって。やっぱりライヴという、こんなにも目と目が合って、心がちゃんと揺れる空間を共有できる感じに、自分としても燃えていったし、AYATOMOがそう言ってくれて良かったなって、すごく思ってました。

-お客さんから"ありがとう"という声もあったと。

SAKI:泣いている方とかもいたんですよ。"全然来てくれない!"とか。ライヴハウスのほうも"いやぁ難しいよね"って。でも、"そのなかでも来てくれてありがとう"って言ってくれると、"また来ます、絶対に!"という気持ちにもなるし、ライヴをやってないバンドよりはちょっとだけ絆も強いんちゃうかなって気持ちもあったり。お客さんもライヴハウスの方も"ありがとう"って言ってくれるけど、こっちが逆に"ありがとう"っていう気持ちもあったりしましたね。

AYATOMO:今までの状況だったら、あまりなかったことなのかもしれないんですよね、ライヴハウスの人が"ツアーに来てくれてありがとう"って。もちろん、みなさんそう思ってくれていて、言ってくれたりもするんですけど、ちょっと感覚が違う"ありがとう"になっているというか。昔から仲のいい、地方のライヴハウスの人もいるんですけど、特に首都圏とか都心部じゃないところになると、貯金を切り崩して家賃を払っていて。バンドが来てくれないと始まらないから、この時期にツアーを回ってくれるバンドはありがたいし、すごく支えになるって言ってくれて。僕らも、バンドとして音楽を作って演奏をするのって、結局生で演奏するライヴハウスがない限り、表現しきれないと思うんですよ。今は配信だけで活動するというのもありだと思うんですけど、俺の中では、それって自分らで自分の首を絞める状況を作り出しちゃうんじゃないかなという感覚もあって。だから、なるべく早めにツアーやライヴは動き出そうと思ってました。

-そういった状況下でもツアー・ファイナルのSHIBUYA THE GAME公演は、チケット即完だったと。そういう反応も嬉しいですね。

AYATOMO:嬉しかったですね。あの日は、全員が東京のお客さんではなくて。僕らがツアーをしていくなかで、各地に来てくれていたお客さんが集合してくれたんですよね。だから、"あの県で見た子がいる!"とか。そういう形でファイナルが成立したんですよ。それもツアーがなければこうはならなかったので、本当に回ってきて良かったなと思ったし、そういう熱量のお客さんたちがいて、俺らが成立しているんだなって思いました。

-SAKIさんはツアー・ファイナルのライヴはいかがでした?

SAKI:あの日はめっちゃ力が入りすぎたんですよ(苦笑)。"ツアー回ってきたし、やることやってきたし、ここで見せるぞ!"っていう気持ちが強すぎて、最初に詰め込みすぎて後半めっちゃしんどかったです。

AYATOMO:やりすぎた?

SAKI:うん(笑)。お客さんもめっちゃキラキラしてるし、メンバーもメンバーでよしってなってたから、"私も頑張らな!"って。でも、メンバーの笑顔が"SAKI、そんないかんで大丈夫やで?"みたいに見えてきて、メンバー内でそういうグルーヴみたいなものが生まれてきたんかなぁと思って、ひとりでグっと来てましたね(笑)。

AYATOMO:ははははは(笑)。

SAKI:あれだけ長いツアーって初めてやったよね?

AYATOMO:MAYSON's PARTYになってからはそうだね。

SAKI:それまでメンバーとコミュニケーションを取るのって、スタジオとかレコーディングのときぐらいしかなかったんですよ。でも、同じ車に乗って、いろんなところに行くなかで、どうでもいい話から、ちゃんとしないといけない話まで、いろんなことを話すことで、心強いなって思うことも出てきて。

AYATOMO:ツアーでいろんなことあったもんな?

SAKI:あったなぁ......(苦笑)。

AYATOMO:(笑)ツアー・ファイナルの前にHEY-SMITHのツアー("Back To Basics TOUR")に7本一緒に行かせてもらったんですけど、とんでもなく刺激を貰えたし、意見も貰えたんですよ。それを毎日のようにメンバーと"こう言われたけど、どうしよう"とか話し合いながら、なんとかギリギリのラインでやってきて。

SAKI:精神的に結構ヤバかったよね。いろんなバンドがすごかったけど、特にHEY-SMITHはデカくて。やっぱり見せつけられるんですよ、すごいライヴを。

AYATOMO:うん。いろんなバンドがすごかったけど。

SAKI:そう。特にホーン隊がいるバンドやから、ホーン隊としては余計にそうなんですけど、どうしよう......って。ライヴ終わったあと、"もう嫌や! 悔しい!"って泣いた日もありましたし。それでもやっていかなあかんから、どこをどうしたらいいんやろうって。そうやって音楽についての話し合いをすごくできた時期でもあったと思いますね。結構傷つきましたけど(笑)。

AYATOMO:ははははははは(笑)。傷ついて強くなった。

SAKI:そうそう、本当に。

AYATOMO:そういったところからのツアー・ファイナルだったんですよね。あと、SHIBUYA THE GAMEって、MAYSON's PARTYを結成して、初めてライヴ("#1st PARTY")をやった場所なんですよ。僕としては、前のバンドからずっとお世話になっていたライヴハウスでもあるから、そこへの思いもあったし、その会場をソールド・アウトできて。オーナーの齋藤(浩一)さんからも、ライヴが終わったあとに"1stライヴをTHE GAMEでやって、ソールド・アウトまで持ってきたバンドはお前らが初めてだよ"って言われて、"マジっすか......!"っていう。そういうストーリーもあったので、いろいろ含めて、MAYSON's PARTYの第1章集大成みたいな感じでしたね。最初の壁をひとつ乗り越えられたかなっていう感覚はあります。もちろんまだまだここからいろいろあるんですけど。