INTERVIEW
MAYSON's PARTY
2025.01.09UPDATE
2025年01月号掲載
Member:AYATOMO(Vo/Gt) MIKI(Gt/Vo) SAKI(Tp/Vo)
Interviewer:フジジュン
2024年は6月に2nd EP『3-SUN-』をリリースし、全国リリース・ツアーを開催。国内の大型フェスにも多数出演し、若手最強スカ・パンク・バンドとして快進撃を続けるMAYSON's PARTYが、2ndフル・アルバム『GO』を完成させた。"これがMAYSON's PARTYだ!"と高らかに宣言する、軽快で疾走感に溢れたエネルギッシュな楽曲たちは、バンドの状態の良さやモチベーションの高さ、スカ・パンク・バンドとしての自信と誇りをしっかり感じさせ、聴く者のテンションをブチアゲると同時に、フロアの熱狂を容易に想像させる。アルバム完成に至る経緯、楽曲たちに込めた想い、バンドの変化や成長についてAYATOMO、MIKI、SAKIの3人に話を訊く。
-2ndフル・アルバム『GO』、お世辞抜きでめちゃくちゃカッコ良かったです!
一同:ありがとうございます!
-しっかりボリュームがあって聴き応えがあるけど、分数が少ないから何度も繰り返し聴きたくなるアルバムになったし、何より、ライヴに行きたくなる作品になったと思いますが。まずはそれぞれ2ndフル・アルバムが完成しての率直な感想を聞かせてください。
AYATOMO:今まで出した作品よりも、さらにMAYSON's PARTYらしさっていうものを追求した作品になったと思います。新しいことに挑戦してというのもあるんですけど、オリジナリティがしっかり出せたんじゃないかと。
-らしさも出てるし、完全に突き抜けた感があります。言っても2ndフル・アルバムなので、自身の見せ方や方向性、アプローチといったところですごく悩んだ部分もあると思うんですけど、それをも突き抜ける勢いにバンドの状態の良さを感じました。
AYATOMO:そう言っていただけるとありがたいです。1stフル・アルバム『PARTY4YOU』(2023年6月リリース)までは猪狩(秀平/HEY-SMITH/Gt/Vo)君にプロデュースしてもらって、前作の2nd EP『3-SUN-』からは自分たちだけでセルフプロデュースでやるようになって。"MAYSON's PARTYとは何か?"っていうのをすごく考えて作れたと思ってるんです。それが本当に正解かどうかは、まだ分からない部分もありますけど、現在できることは全部やったかなと考えてます。
SAKI:私はいつもそうなんですけど、聴いてもらうまでは分からなくて。もちろん、自分たちはいいと思って作ってるんですけど、完成してみてもレコーディングで何回も聴いて聴き慣れすぎてるし、これを聴く人がどんな反応なのか? っていうのがマジで分からなくて。お客さんに聴いてもらったり、インタビューで"良かったよ"って言ってもらえたりるとすごく安心するし、心が落ち着くというか。早くみんなに聴いてもらいたいです。
MIKI:僕は今回、こうしてアルバム・インタビューを受けるのが初めてなんですが、"すごく爽やかなアルバム"と感想をいただいて。SAKIが言ったように、自分たちが作った段階とか、出すまでは分からないところがかなり多くて。不安もあるけど、いいものを作ったって自信もあるので、ちょっと不安定な気持ちで聴いてるんですけど、そうやって聴いた人からの評価を受けた状態で聴くと、改めて別の視点から聴けることにも気が付きました。改めて聴いたとき、抜け感があるというか、トータルで聴いたときにすごく聴き心地のいいアルバムなんだなって気付けて。できたばかりのときと比べても、自信を持ってアルバムを聴いてもらえるのは喜ばしいというか、リリースがすごく楽しみになってます。
-2024年は6月にEP『3-SUN-』をリリースした後は、リリース・ツアー("Hello! Mr.MAYSUN TOUR 2024")を回って。夏フェスも多く出演して、10月にはメキシコでライヴをしてと、かなり充実した1年になったと思いますが、2024年を振り返ってというところでは、いかがですか?
AYATOMO:ツアー中も作曲してたというのもありますし、初めて出させてもらうフェスとか、自分たちが憧れていたバンドや先輩のバンドと対バンさせていただく機会も、たくさんあって。そのなかで常に作曲モードでいられたから、そういう人たちがどんな感覚でどんな想いで曲を作ってるのか? っていう目線で見ながら対バンを重ねられたこともすごく良かったです。ツアーやフェスを経て吸収したものが、今回のアルバムに詰まってるんじゃないかと思います。上っ面のメロディやサウンドではなく、"この人はこういう人間でどんな言葉を発していて"というのを改めて見るようになって。やっぱり普段からの人間性が楽曲に表れるんだなというのは思いました。
-それって今作『GO』の歌詞にすごく影響与えてますよね。例えば、「Gold Desire」や「PUNK ROCK BOMB」みたいな曲は、初期衝動や自分を突き動かすものみたいなところにすごく素直になって書けてて。
AYATOMO:そうですね。若いときって特にいろんな人に憧れて、"こうなりたい"という理想はあるんですけど、やっぱり自分に一番素直になって自分という人間を出さないと伝わらないなと思ったので、今までの作品より、すごく自分を出してますし。そこは憧れの先輩たちと対バンするところに繋がってると思うし、昔だったら"ちょっとダサいんじゃないか?"と考えてたことも素直にできるようになったというか、取り繕う必要はないんだなってところに気付けました。
-歌詞じゃなくて曲に関しても、「La-La-La」や「NOW WE GO」から「UNITE&SKA」に至るまで、変にスカしたり狙ったりしていなくて。素直に曲と向き合えていて、すごくストレートですもんね。
AYATOMO:そうですね。頭の中は今の年齢なんですけど、気持ちは18歳~19歳に戻ってというような感じですね。改めて、自分がこの年までバンドを続けてるなかで、何にこだわってるかって、やっぱりバンドマンという職業とか、そういう人に憧れて始めたってところなので。その気持ちをもう一度思い出した部分はあります。
-SAKIさんは2024年を振り返ってってところでは、いかがですか?
SAKI:2月からHEY-SMITHのツアー([HEY-SMITH "Rest In Punk Tour"])に出させてもらったり、序盤から刺激を受けることが多かったし、フェスに出させてもらってレコーディングもあって、マジで音楽してる時間がすごく多かった1年だったんです。それが苦しくもあり、30倍くらい楽しくもありみたいなところで、メンタルも上下してたんですけど、音楽のことを考えられてることが幸せだったし、すごくいい1年でした。自分自身にもめちゃくちゃ向き合いましたし、メンバーのことにもすごく向き合って、考えすぎちゃうくらい、いろんなことを考えた年だったので、音楽漬けの1年を過ごせたなって思います。
-そんな音楽漬けの時間は、アルバム制作やライヴにもしっかり反映できました?
SAKI:「TRY and TRY」(2023年5月リリースのデジタル・シングル)も、今回の「TWISTED」もそうなんですけど、私はメンタルを曲にすることが多くて。音楽がずっと一緒にある状態の1年で、メンタルが上下したんですけど、それを全部音楽に返したつもりではあります。時間がある限り、音楽やバンドのことを考えられてたので、それを音楽に還元できたと自分では思いますね。
-「TWISTED」もめっちゃ良かったですよ。分数こそ短いけど大作感があって、アルバム後半にあの曲が入ってるのがすごくフックになっていて。今の話を聴いて、この1年を一曲入魂でしっかり詰め込めたんだなというのがよく分かりました。
SAKI:良かったです! メンタルの上がり下がりは入ってると思うので、詰め込みました。
MIKI:僕も音楽を考える時間っていうのは年々増えてるんですけど、今年が一番多かったと思ったし、来年はもっと多くなるだろうって意識があって。メンバーと話す時間が増えた分、どうやったらライヴにおける自分たちの勝ち筋を作れるのか? とか考えるようになったし、先輩たちを見る目も変わったし。今までと環境はそんなに変わってないのに、自分の意識やアンテナの位置によって、こんなに違う感じに捉えられるんだって思ったところから、改めて考える時間が増えて。楽曲制作もいろんなテイストを踏まえてやってみるとか、前回よりも1段階上をってところで考えながら作れたのは、今年1年すごくしんどかったけど、めちゃくちゃ楽しかったですね。
AYATOMO:やってるときは"つらい!"しかなかったけどね(笑)。
MIKI:そうだね。猪狩もいないんで、全部自分たちでジャッジしなきゃいけなくて、毎週くらい曲の選考会をやって、出してボツになってを繰り返していたので、1ヶ月経つのが遅いんだけど、選考までに曲を作らなきゃいけない時間は足りなくて。曲を作ってる間は結構苦しかったんですけど、録ってる間はすごく楽しいんですよね。音が積まれて、できあがっていく過定はすごく楽しいし、喜びがあります。
-MIKIさんは5曲目「Rachel」の作詞作曲を担当してますが、頭から勢い良く飛ばしてきて、ここでちょっと雰囲気が変わる感ありますよね。
AYATOMO:それもアルバムだからできたことというか。それぞれが作った曲をメインでヴォーカル取って歌うっていうのは、今回1つテーマとしてあったので、それをしっかり表現できたんじゃないかな? と思います。
-メンバーの色もバンドの色として濃く出ていて、それがバンドの振り幅にもなっていて。サブスクで「La-La-La」を聴いてテンション上げてもいいけど、MAYSON's PARTYはアルバムで聴きたいバンドだなと思いました。「Daydream Believer」(THE MONKEES)のカバーみたいな、遊び心の部分もすごくいいです。
AYATOMO:「Daydream Believer」はちょっとだけ日本語詞が入ってて、それもカバーだからチャレンジできるところなのかなと思ってて。そこでハッとする瞬間を作りたかったのもあるんです。
-今回、アルバムを作るなかで鍵になった曲や、これができて一気に加速したみたいな曲ってあったんですか?
AYATOMO:「La-La-La」かな? 僕は"リード曲を作る"って一心だけで作っていて。MVになるべき曲っていうのをイメージしてずっと考えながら作って、ようやく完成したのが「La-La-La」で。僕の中では、1つアルバムの軸になる曲を狙って作れた曲だったんです。あと、「NOW WE GO」は、スタジオのジャム・セッションでポンッとできた曲なんですが、それまで何十曲とダメになっていって、"まだ曲が足りない"となったとき、僕はスタジオでドンッと大きな音が鳴らないとイメージできない人間なので、"曲作りに行き詰まったから、1回スタジオに入っていいか"となって、大きい音を出して。"いい感じのベース・フレーズある?"みたいなところから始まった曲でした。
-「La-La-La」も「NOW WE GO」も、今作のリード曲になりうる曲だと思うんですが、そこでAYATOMOさんがリードを作ろうと思って作ったのが「La-La-La」で、みんながカッコいいと思うものを集約したのが「NOW WE GO」という話も、すごく納得したし、面白いし。1曲目「COUNT DOWN」から、2曲目「La-La-La」、3曲目「NOW WE GO」と続いてることが、このアルバムの肝だと思ってて。どっちの曲だけでも違って、ダブル・リードみたいな形で2曲が続くことにすごく意味があると感じます。
AYATOMO:MAYSON's PARTYらしさみたいなところを、頭にギュッと詰めたイメージはありますね。その後の「Gold Desire」は、これまでやってこなかった感じの曲なんで、そこからアルバムの面白さが続いていけばいいなという狙いもあります。MAYSON's PARTYっていろんな側面があるので、"この曲が好き"というのはお客さんの趣味によって分かれると思うし、SAKIの曲が好きって人もいれば、MIKIちゃんの曲が好きって人もいればいいなと考えているんで、そんな楽しみ方ができたらと思いますね。