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LIVE REPORT

Dizzy Sunfist

2022.04.13 @Zepp Haneda(TOKYO)

Writer 吉羽 さおり Photo by SARU(SARUYA AYUMI)、HayachiN

昨年10月、あやぺた(Vo/Gt)とmoAi(Dr/Cho)の体制となって、3rdフル・アルバム『DIZZYLAND -To Infinity & Beyond-』をリリースし、全国ツアー[Dizzy Sunfist "Welcome to DIZZYLAND" TOUR 2021-22]をキックオフしたDizzy Sunfist。3月からは、約半年間にわたるツアーを締めくくるべく各地強力なバンドをを迎えた"Final Series"がスタート。

ここでレポートする4月13日Zepp Haneda(TOKYO)公演では、サンボマスターを迎え熱いステージを展開した。実はこの東京公演の1本前の新潟公演は、メンバーが新型コロナウイルス陽性の診断を受けて延期となった(5月9日に開催)。休息をとり体調万全で臨んだステージは、勢い余って突っ走るシーンもあったが、サポート・ベーシストにメイ子を迎えた3人で築き上げてきたこのツアーの楽しさ、充実度が伝わってくるポジティヴなムードで満ちている。メンバー脱退を経てのアルバム・リリース、ツアーとなった今回だが、観客も実際にDizzy Sunfistの今を体感したことでより、安心感やバンドへの期待感を得たのではと思う。

"しょっぱなからどっちか決めてくれ。それなりのライヴで終わるのか、ミラクルを起こすのか、どっちか決めてくれ"(山口 隆/唄とギター)と、登場するやマックスのパワーでフロアを盛り上げたサンボマスター。フェス、イベントでも常にその場をホームに変えて、"全員優勝!"コールで歓喜の渦を巻き起こす、まさに百戦錬磨のステージがここでも展開される。「ミラクルをキミとおこしたいんです」、朝の情報番組のテーマ・ソングにもなっている「ヒューマニティ!」、そして"愛と平和"コールで会場をひとつにする「世界はそれを愛と呼ぶんだぜ」など、前半から全身全霊のパフォーマンスで、クライマックスを更新し続けていくライヴ。Dizzy Sunfistファンにも激熱に、またユーモアも交えた煽りで拳を掲げさせる山口だが、かと思うと「輝きだして走ってく」では一気に涙腺を崩壊させるように"生きろ。生きててくれてありがとう"と叫び、優しく強いその曲を心にダイレクトに響かせる。感情をゆさゆさと揺さぶり続ける、これぞサンボマスターというライヴで、Dizzy Sunfistへと大きな花束を渡すステージとなった。

サンボマスターからの最高の熱を受けて登場したDizzy Sunfist。SEとともに、壁一面の巨大なバックドロップが掲げられると会場内の熱気もぐんと上がる。"東京ファイナル、Zepp Haneda!"というあやぺたの叫びとともに、3rdフル・アルバム『DIZZYLAND -To Infinity & Beyond-』の1曲目でもある「The Proof」でライヴはスタート。ノイジーなギター、気持ちのいいスピード感で疾走するmoAiによるドラム、低音がしっかりと効いてドラムとともに加速していくメイ子(サポート)のベース、コーラスもバッチリとハマってメロディが上昇気流に乗る感じが気持ち良く、「Joking」、「No Answer」とさらにジャンプやステップを踏ませるキラーチューンが続く。濃密なツアーを共にしてきた3人のバンド・アンサンブルが最高だ。そして、演奏ばかりでなくMC、トークにおける3人の掛け合いもすでにバランスができあがっている。

冒頭の5曲を終えあやぺたが"ライヴハウス、最高!"、"ヤーマン!"とテンション高く挨拶し、3人ともにコロナの療養を終えてのステージになったことから"やっと復活した、病み上がり3人。シャバ最高!"と叫ぶと、ふたりはツッコミながらも笑顔を見せる。エネルギー大放出でつんのめっているあやぺたと、あやぺたを自由に放し飼いにしながらも的確に軌道修正していくmoAiとメイ子という、いい塩梅のトライアングルになっていて、ライヴ全体としてもテンポがいい。「Our House」から続くブロックの最後の曲をあやぺたが間違えて進めていくも、ふたりは観客に違和感を覚えさせることなく乗っていくなど、ハプニングをパワーに変える業は、ライヴ・バンドとして3人で濃い時間を培ってきた賜物だろう。

あやぺたが中学時代から好きで、moAiは音楽番組でサンボマスターを見て山口と同じギターを買ったなど、この日出演したサンボマスターへの思いを語り、"サンボマスターがカッコ良くて、気合入りまくった"(あやぺた)というMCから再び爆走モードへと入ったDizzy Sunfist。「Life Is A Suspense」では、アグレッシヴなアンサンブルとシャウト&コーラスでフロアの温度を上げて、新作からの「Never Again」を連投する。続くブロックは「STRONGER」、「No Biggie」、「Drama Queen」と新作からの曲が中心となったが、いずれもライヴ・チューンへと磨き上げられ、抜群のタイミングで拳が突き上がる。

「N.i.n.j.a」では、ステージ袖からトラックスーツ姿のイチロー(SPARK!!SOUND!!SHOW!!/Dr/Cho/169)が飛び出してステージで暴れまわり、颯爽と去っていく。3人とも曲にちなんで忍者の格好で来ると聞いていたそうだが、なぜかブルース・リー・スタイルというわけのわからなさも、曲のキャッチーさとマッチしていた、かもしれない。ともあれポップな忍術後には愛の歌「Little More」、ブライトなメロディが冴える「Andy」、レゲエ・チューン「Everything's Gonna Be Alright」と続く。BPMを抑えた隙間のある曲で、身体を揺らし手拍子をする心地よさがあるが、同時に心の底から力が湧き上がってくるポジティヴなうねりも生み出していく「Everything's Gonna Be Alright」。ライヴではいっそう、この曲の持つアンセミックなパワーが映える。Dizzy Sunfistとしても新しい武器になる曲だ。

終盤に向かうMCでは、改めてライヴへ足を運んでくれたことへの感謝を述べたDizzy Sunfist。メンバーが脱退したときにすでに予定されていたこのツアーについても、開催を悩んだという。そのなかでアルバムを完成させ、サポートを交えて臨んだツアーとなったが、みんながバンドの未来を信頼してきてくれた。そこへの感謝がとても大きいと語る。そして"まだまだ見たい景色がある"とバンドの物語は続いていくことを宣言し、バンドのステートメントとも言える「The Dream Is Not Dead」を高らかに放ち、ラストは分厚いコーラスとともに駆け上がっていくメロディが美しい「So Beautiful」でこの日を祝福した。

4月29日のZepp Osaka Bayside公演で[Dizzy Sunfist "Welcome to DIZZYLAND" TOUR 2021-22]を締めくくったDizzy Sunfist。このツアー・ファイナル(振替公演を除く)で、今回のツアーをサポート・メンバーとしてともに駆け抜けたメイ子が正式加入することが発表された。そして、7月よりこの新体制でのツアー[Dizzy Sunfist"Welcome to MEIKO"TOUR]開催と、自主企画[Dizzy Sunfist"Welcome to MEIKO TOUR" Final Dizzy Sunfist pre. SUNNY CIRCUS2022]開催も発表となった。これまで同様、歩みを止めるつもりなぞさらさらないDizzy Sunfistの心意気が窺える。

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