DISC REVIEW
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虜のみなさま方にとっては待望の逸品であろう。1999年1月20日にDir en grey名義にて短冊形8cmシングルを3枚同時リリースし、すべてをオリコンのトップ10にランクインさせたうえでメジャー・デビューを果たしたあの彼らが、このたびはDIR EN GREYとして当時の表題曲を1枚にまとめ、デビュー25周年記念シングルとして発表してくれたのだから。いわゆるオリジナル原理主義の方々からすれば、物思うところが多少なりあるのかもしれないが、それでも当たり前のように四半世紀前のスキル、表現力、録音技術で創られたものと今現在のそれで創られたものでは、ある意味で比べようがないほどに違いがあるのも事実となる。より繊細な響きと、奥深い情景描写がなされるようになった「ゆらめき」。ヘヴィ・メタルとしての強い存在感を獲得した「残」。稀代の"丘ソング"として、味わい深いマスターピースに変貌した「アクロの丘」。DIR EN GREYが進化を重ねてきた道程の最先端で、これらの楽曲が再録された事実はなんとも感慨深すぎる。 杉江 由紀