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INTERVIEW

JESSE(The BONEZ)× Alex Gaskarth(ALL TIME LOW)

2022.09.02UPDATE

2022年09月号掲載

JESSE(The BONEZ)× Alex Gaskarth(ALL TIME LOW)

The BONEZのJESSEと"SUMMER SONIC 2022"で来日を果たしたALL TIME LOWのAlex Gaskarthによるフロントマン対談がここに実現した! 初対面という形になったものの、ラウドでキャッチーな音楽を目指している点や、歌詞に対する考え方にも共通項が多く、現場はとても盛り上がった。また、日本とアメリカでのコロナ禍におけるバンドのあり方やスタンスにも話は及び、ここでしか聞けない貴重なトークになっている。

The BONEZ:JESSE(Vo/Gt)
ALL TIME LOW:Alex Gaskarth(Vo/Gt)
インタビュアー:荒金 良介 Photo by 濱谷 幸江 Interview interpreted and translated by 川原 真理子

-今回はJESSEさん、Alexさんの対談形式で話を進めたいと思うんですが、お互いに初対面になるんですよね?

Alex:そうだね。

JESSE:ALL TIME LOWの音楽自体は日本だとポップ・パンクというジャンルになるんだろうけど......いろんなバンドを聴いて、ミックスしている印象を受けたんですよ。そのうえでオリジナルなものを作っているなと。日本ではそのまま影響されているバンドも多い感じがして。アメリカのバンドは細かな影響が楽曲のいろんなところに出ている感じがしますね。

Alex:それは間違いないね。僕たちもいろんな音楽に影響を受けているからね。両親が聴いていた音楽に自然に触れていて、ポップスやTHE BEATLESも普通に聴いていたから。それで高校になるとメロディック・パンクに目覚めてTHE OFFSPRING、GREEN DAY、BLINK-182とかを聴き漁ったよ。だから、自分たちもラウドな要素はあるけど、メロディのいいロックをやりたかったんだ。

JESSE:それはThe BONEZの音楽にも通じると思う。ラウドだけど、メロディは大事にしているからね。キャッチーさは、この2バンドに共通しているところじゃないかな。

-The BONEZの楽曲が持つキャッチーさ、メロディアスな部分で影響を受けたアーティストというと?

JESSE:うちもTHE BEATLESはずっと流れていたから、その影響はあるだろうね。で、高校の頃はINCUBUS、INME、SILVERCHAIRとか、グランジやオルタナティヴ・ロックも好んで聴いていたから。STONE TEMPLE PILOTSのメロディとか......いや、ハーモニーが好きかな。改めて聞かれると、メロディはこれという特定の影響はないかもしれない。

-なるほど。

JESSE:Kurt Cobain(Vo/Gt)ではなくNIRVANAが好きで、Billy Corgan(Vo/Gt)ではなくTHE SMASHING PUMPKINSとか、バンド単位で聴いてたんですよ。

Alex:NIRVANAで言うと、Dave Grohl(Dr)が立ち上げたFOO FIGHTERSのメロディは最高だし、彼は僕のアイドルだよ。

JESSE:うん、Dave Grohlのメロディは最高だよね。

-FOO FIGHTERSの楽曲にもTHE BEATLESの影響は出てますからね。

Alex:そうだね。あと、THE BEATLESの「Helter Skelter」なんて、かなりヘヴィなナンバーだし。

-ALL TIME LOWがバンドを始めたきっかけは、ポップ・パンクの影響が大きかったんでしょうか?

Alex:そうだね。さっきも名前を挙げたTHE OFFSPRING、GREEN DAY、BLINK-182に刺激を受けて、ファストでラウドな音楽が好きになったんだ。あと、観客を巻き込むライヴのエナジーにも強く心を惹かれたよ。

-ちなみにThe BONEZを結成したときに目指した音楽性は?

JESSE:日本語は絶対に使わない。というのは、RIZEがバイリンガルな歌詞だったからね。7割が日本語、3割が英語という割合だったから。最初は(RIZEと)差別化しなきゃいけないと思い、歌詞は英語だけで書こうと。あと、全曲レギュラー・チューニングのドロップD(笑)。加えて、アナログ・テープで録音しようと。それでAlexも言っていたけど、ライヴのエナジーも感じてほしいから、必然的にBPMも速くなっちゃうんですよね。

-ここで少し話題を変えますが、アメリカや日本を含めて世界的にも未だにコロナ禍は続いている状況です。そのなかで音楽に対する姿勢などに変化はありましたか?

Alex:僕らの最新アルバム(2020年リリースの『Wake Up, Sunshine』)はロックダウン中にリリースしたこともあり、いつもならば行けるツアーも中止せざるを得ない状況になってしまったんだ。深く考えても仕方がないから、次の曲を作り始めよう、と頭をすぐに切り替えたよ。

JESSE:日本はとても変わっていて、最初の頃は特に規制が多くて......久しぶりにライヴをやってもあまり気分が乗らなかったんだよね。でもファンにとってはThe BONEZの久しぶりのライヴになるわけで......徐々に状況は良くなっているけど、いつか変わらなきゃいけないタイミングが来ると思っている。こないだ新宿ACB HALLでフル・キャパでのライヴをやったんですけど、マスクありで、シンガロングを解禁したんですよ。The BONEZ、HEY-SMITH、SHADOWSの3バンドでライヴをやったんだけど、モッシュ、ダイブも起きたりして何か時代が変わったような感覚もあって。ロックは時代を変えなきゃいけないし、人はなぜ音楽を聴くかというと、自分の殻から飛び出て、感情を解放したい思いがあるだろうから。

-Alexさんは日本のライヴ事情はご存知ですか?

Alex:ああ、聞いているよ。マスクをちゃんとするとかね。ただ、ライヴで歌っちゃいけないということまでは知らなかったんだ。日本に来たら、いつもより大人しいかもしれないけど、こういう日本の状況があるから......という説明を受けたけどね。どちらにせよ、安全にライヴを楽しむことは大事だし、そうすることで日本の観客が安心して楽しむことができるなら、それが一番だと思うよ。アメリカはもう少し規制は緩和されているけど、国自体が大きいから、州によってまったく違うんだ。LAは意識が高いけど、他の州に行くと、"コロナって何?"みたいな反応もあるからね。ALL TIME LOWとしては去年久しぶりにアナハイムで約1万人の観客を前にライヴをやったんだ。そうすると、観客も待っていたのか、堰を切ったような凄まじい盛り上がりだったよ。

-たしかアメリカはパンデミックが起きた2020年の時点で、すでにマスクをつけずに通常のライヴを行っていましたよね?

Alex:そうだね。僕らはやらなかったけど、音楽業界もなんとか前に進もうとして、ライヴをやるアーティストもたくさんいたからね。ALL TIME LOWはそういう形ではやらず、いつか今の状況は改善するだろうと、楽観視していた部分があったんだ。規制が多いなかではなかなかお客さんのテンションも上がらないだろうし、それはそれで大変だったと思うけどね。

JESSE:たぶん、アメリカは2020年だけ我慢した年なんだろうね。俺らは2022年もずっと我慢しているから(苦笑)。政府がこうしろと言ったら、それに従わなきゃいけないし。大声で歌うまでにはまだまだ時間がかかりそうだなと。

Alex:ああ、そうだろうね。

-The BONEZとしては今年ツアー("Welcome to The Lab House")を行いましたが、感触はいかがでした?

JESSE:うちらのミニ・アルバム(2022年4月リリース)は"LAB"というタイトルで、そこには実験という意味があったんですよ。ライヴハウスもオーナーさんによって考え方が違うから、"今日どこまでやってもいいですか?"と聞いて。柵をもう少しステージに近づけたり、当日券を出してほしいとお願いしたり。細かいことだけど、ファイナルは最終的に柵に足を掛けてもいいと言われたんですよ。実験という言葉通り、俺らとお客さんでどこまでやっていいのか決めようぜって。俺らとファンのルールができたうえで、次のツアー("The BONEZ Tour 2022 in Fall")に向かおうと思ってます。Zeppでどこまでやれるかわからないけど、実験したことを大きなハコで試せればいいなと。

-JESSEさんが今の音楽シーンに求めるのはコロナ前の景色に戻ることですか?

JESSE:いや、コロナ禍になって一番良かったのはライヴの最前列に小学生が7、8人いる場所もあったんですよ。普通はモッシュやダイブが起きるから、小さな子供は最前には来れないでしょ? あと、これまでは来れなかったけど、コロナ禍で来れた人たちもいたから。それと、今まで暴れまくっていたやつが、マスクごしに目から火が出ているような顔つきでライヴを観ているんですよ。いろんな人が、俺たちが作った曲をちゃんと聴いてくれているなぁと思えたんです。コロナ禍前に戻ってほしいとは思わないし......歌詞や楽曲を理解してくれたうえで歌ってくれたり、暴れてくれたりしたらいいなと。