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INTERVIEW

The BONEZ

2023.05.10UPDATE

2023年05月号掲載

The BONEZ

Member:JESSE(Vo/Gt) KOKI(Gt) T$UYO$HI(Ba) ZAX(Dr)

Interviewer:吉羽 さおり

前アルバム『WOKE』から約5年、コロナ禍を経てようやくライヴ・シーンも活気を帯びてきたなかリリースとなった、フル・アルバム『Yours』。エネルギッシュなドラムが炸裂し、無条件に気分が上がってステップを踏んでしまう「Love song」でスタートする今作は、それぞれがスキルフルで多彩な要素や音楽的バックボーンを持つからこその、磨き抜かれたポップさと、一撃でがっちりと心を射抜いて爪痕を残すキャッチーさに富んでいる。最初にパンクやロックにノックアウトされたときの電撃感を、スケート・パンクのスリリングな興奮を、悪ガキ感、遊び心のあるポップ・パンクにはしゃいだ気持ちをいっぺんに震わせるアルバムだ。"Yours"と冠しそのベクトルはリスナーに向けたものだが、この熱量の高さはバンド内のギアがすべて噛み合った確かさがあるからこそのもの。結成10周年を迎え、またそれぞれが長いキャリアを重ねてなお、バンドって最高だという音が鳴っている。その理由を4人に訊いた。

-ニュー・アルバム『Yours』、最高のアルバムですね。このコロナ禍期間での公演やフェスの現場でも、The BONEZのライヴを観ていたんですけど、そのとてもいい光景が作品に還元されているし、観るたびにめちゃくちゃいいバンドだなと感じていた、その空気感が作品になったなと思います。

JESSE:まぁ、めっちゃ仲悪いですけどね──っていうのは嘘だけど(笑)。

-バンド結成10周年もあり、5月12日から、バンド史上最大規模となる47都道府県を回るツアー[The BONEZ10th Anniversary Tour "47 AREAS"]がスタートしますが、そうしたツアーやライヴのことも思い浮かべながら、アルバムの制作が進んでいた感じなんでしょうか。

T$UYO$HI:ツアーが決まったのは制作の後半だっけ?

JESSE:最初から決まってはなかったですね。でもこの抜けた感じというか、背伸びがないのは、KOKIは30代だけど、40以上のおっさんたちがやりたいことやろうよって言ったものがこういう作品になったから。1歩間違えたら、俺らだけにしか響かない音楽、ただ俺らだけが楽しいで終わっちゃう作品になってもおかしくなかったくらい、自分らが気持ちいいだけで勝負をしたんですよね。それができあがって蓋を開けてみたら、みんながめちゃくちゃいいじゃんって言ってくれるものになってくれて。自分たちが求めるところと、みんなが求めるものが一致してくれたのが何よりも嬉しいかな。そういうことって、考えて狙ってもできないことじゃないですか。今言ってくれたように、フェスやライヴで観たうえで今回のアルバムが、一本の筋が通っているかのように感じられたのも嬉しいし。今のThe BONEZのナチュラルさが感じられるアルバムになって良かったなと思いますね。

-ただ開放されただけではないですよね。この数年で味わった、葛藤も困難も苛立ちも歌詞には入っているし、だからこそ突き抜けたエネルギーを感じます。ポジティヴになる理由も、その心の段階を踏んでいるからこそより説得力があるし、抜けがあるのと繋がっていく感じで。

JESSE:特に、このコロナ禍を経験したのって俺らだけじゃなくて、"全員"だから。我慢しなきゃいけなかったし、ルールを守らなきゃいけなくて。ライヴハウスって遊び場を奪われた3年間があったけど、だからって"Fuck you!"みたいなものじゃなくて、"車に乗ってみんなで海とか山に行かない? サーフィン、スノボ行かない? スケートしに行かない?"みたいな感じがあるというか。"日常をブーストできる音楽"ってイッシー(T$UYO$HI)が言っていたんだけど、たしかにと思って。非日常になれる音楽はいっぱいあると思うんだけど、日常をブーストするって最高の言葉だなと俺は思ったかな。

-作曲段階でも、T$UYO$HIさんはそこに重きを置いていたんですか。

T$UYO$HI:そうですね。The BONEZ自体がそんな存在というか。The BONEZとはなんだろうなと考えたときに、もちろんライヴを通して何かを与える存在というか、そんなふうに思ってくれている人も多いんですが、ライヴハウスじゃないと聴かない音楽、クラブじゃないと聴かない音楽じゃなくて、ライヴハウスで聴くのは最高なんだけど、普段の自分の日常で好きなことをするときに、後ろに流れていてほしいバンドかなって思って。4人でいるときの感覚にすごく近いんですよね。音楽をしていないときにはしゃいでいる感じが、そのまま音楽を通して鳴っている。それぞれのキャラクター性と個性と音楽性に、あまり違いがない感じがいいなって。それがスケボーとかのカルチャーとかにも密接するというか。それはより出したかったですかね。

-今回はいい感じにサウンドがライトですよね。音の部分でも、ヘヴィさよりもポップさ、キャッチーさがある。そこはそれに繋がるようなところですかね。

T$UYO$HI:あまりに重いのは排除した部分がありますね。それはそういうのが得意なやつに任せたらいいかなって。そこに片足を突っ込んで勝負するよりは、俺らの一番おいしいメニューしか出さないみたいなね。

JESSE:だいぶおいしい隠し味持ってると思うよ、みんな。The BONEZはThe BONEZであるけど、俺らの歴史すべてがバンドを作っているわけだし。例えばRIZEとPay money To my Pain(以下:PTP)からしたら、パンクという要素はまったくない2組だけども、俺らが重なるとそういうものが出てくる。ポップというワードって一見、セルアウトな感じに捉えられるようなところもあるんだけど、ポップとキャッチーって俺は別モノだと思うんですね。

T$UYO$HI:うんうん。

JESSE:何かジャンルで決めなきゃいけないなら、ポップ・パンクというのが、今のうちらのジャンルとして呼びやすくなってしまうのかもしれないけど、もちろんキャッチーであるべきだと思うし、SHADOWSだって俺はめっちゃキャッチーだと感じるんだよね。

T$UYO$HI:そうだね。

JESSE:うちらはポップかどうかわからないけど、絶対にキャッチーだと思う。俺らのストーリーもそうだし、歌っている内容もそうだし。インディーズでやっているからこそ、インディーズっぽく見せることは超簡単なんだけど、インディーズであっても一線で戦えるバンドでいたいなと思う。けれども、ライヴハウスという小バコで対バンばかりしているバンドとも交じり合えるっていう。それが今回47都道府県ツアーをやるひとつの理由でもあるんです。今、どんどん日本中のライヴハウスが潰れていってて。俺らがツアーでしっかり見せることで、若いバンドが47都道府県回るのかっこいいと思えたらいいし。自分らが普段行くところばかりでやってたら、そのライヴハウスしか認知されず、どんどん田舎のライヴハウスが潰れていって、やりたくても47都道府県が回れなくなる日が来るんじゃねぇのかなっていう危惧もあって。小さいハコがないと、バンドを始めたばかりのやつらはライヴができないじゃないですか。その地域に200~300人のキャパのハコがあるから、地元のバンドが出てこられて。今、バンド・メンバー全員が東京出身っていうのは、SUPER BEAVERとRIZE以外いないんじゃないかってくらい、地方から生まれてくるすげぇやつらのほうが多いんですよ。ってことは、地方のライヴハウスをサポートすることは大事なんじゃないのかなと。まぁ、あとは10周年もあるので、もう一度イチから暖簾をくぐってお願いしますってのも兼ねて、47都道府県回りたいねというのがあって。

-人を呼べるThe BONEZとしては大きな会場でもできるし、バンドとしてスケールを大きくしていく、たくさんの人を巻き込んでいくという道もありますよね?

JESSE:それももちろんあるんですけど、コロナ禍中にいろんなバンドがデカい会場でやるようになったじゃないですか。キャパも半分しか入れられないから、デカい会場でできるいいチャンスで、多くのバンドが、自分らがやれるキャパ以上のところでできたいいチャンスだったと思うし。The BONEZも、Zeppをソールドするのが最初の夢だったんです。でもZeppでやろうとするとことごとく、台風で延期になるとかいろいろあって。それこそPTPが2012年に予定していたツアーのファイナルがZepp Tokyoだったんだよね。

ZAX:そう。

JESSE:それすらもできなかったというところから、いつしかふたり(T$UYO$HI、ZAX)の目標がThe BONEZの目標になって。PTPができなかったからやろうというのではないんだけど、でも必然的にみんなの夢になっていたんです。コロナ禍になって、キャパのことも含めて逆にZeppでしかやらなくなっちゃった時期があったんですけど。もちろんZeppはこのバンドにとって一生スペシャルな場所ではあるんだけど......やっぱりライヴハウスで──

ZAX:もう1回"密る"っていうことやな。超密なライヴをやるっていうのが大事だと思うんですよね。

JESSE:密になることがダメって言われていたのを覆さないといけない気がします。

-それができなかった3年間というのは、とても長かったですしね。

JESSE:だからこのアルバムの明るい感じ、さっきも言った日常をブーストする音楽で、普段の自分ってこうだったなと思えたり、もとに戻すつもりははなからないんだけど、この3年間を踏まえたうえで進化したりしようよって。外に遊びに出ようって思えるいいきっかけになれたらいいなという。今回は、家でヘッドフォンで聴く音楽じゃないと思うんですよ。イヤフォンをして外に出て行って、友達との待ち合わせの間に聴いて自分を盛り上げたり、デートや家族と一緒にどこか行くでもいいんだけど、目的地に辿り着くまで聴いて、着いたときにはテンションマックスになれていたりするような。そうやって人の背中を押してあげられる、自分にとってもそんなアルバムになっているんですよ。今日もここに来るとき聴きながら来ていたし。変なんだけど、聴いていると、このバンド入りてぇって思うでんすよね(笑)。

-最高じゃないですか。それくらい愛着があるものに仕上がっている。

JESSE:何年も時間をかけて頭も捻りまくっていろいろ考えて、やっとできた俺らのもののはずなのに、"これ、「Yours」でいいの?"ってお客さんが感じると思うんですよ。でもそこは、ほんとよく待ってくれたねっていう思いもあるし。俺が逮捕されたこととかいろいろあるなかで、ようやくバンドで形として出せて、ちゃんと前を向いているというか。ここで、ごめんねって頭を下げてばっかりなのをバンドで表したくなかったというのはあるし。それができるかな、自分の感情に勝てるかなとか思ったけど、今作は打破できましたね。

-KOKIさんはこの3年の間にサポートになり、そして正式に加入したわけですが、大変な時期も共に活動をしてきて、バンドを見ていて感じること、自分自身で変化をしたことはありますか。

KOKI:自分の中での変化はかなりありましたよ。今、JESSE君が言ってましたけど、"俺このバンドに入りてぇ"っていうのを、まさに自分は体感しているので。自分はバンドの中で一番年下で、音楽歴も短いなかで3人に出会えたことは忖度ぬきで本当に光栄なことだと思うんです。3人は、背中で見せてくれるんですよね。表ではみんな明るくポジティヴですけど、T$UYO$HI君だってJESSE君だってZAX君だって、裏で一生懸命にやっている姿を間近で見るわけじゃないですか。そういう影響は受けますよね。俺もかっこ良くなりたいなって思うし、でもJESSE君が言っている自然体の大事さもわかるし、そんな感じなんです。兄貴っていうよりは、背中で見せてくれる兄ちゃんなんですよね。自然の摂理で言ったら自分が最後まで残るわけで、その年になったときに、みんなよりもダサくない人になっていないとダメだよなっていうのはすごく思います。

-この4人となってバンドのムードっていうのは変わっているんですか。

T$UYO$HI:明るくなりましたよね。この4人の体制になってからはみんなではしゃいだりっていうのがより増したかな。