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FEATURE

(sic)boy

2022.11.29UPDATE

(sic)boyと米ラッパー/SSWのNOTHING,NOWHERE.の、コントラスト際立つ個性が融合した新曲先行リリース!

Writer 荒金 良介

(sic)boyが、シングル「Afraid?? feat. nothing,nowhere.」を11月23日にリリースした。曲名にも明記されている通り、彼がインタビューで幾度と口にしているフェイヴァリット・アーティスト、NOTHING,NOWHERE.をフィーチャリングしているのだ。これは、リスナーはもちろんのこと、本人がもっともエキサイトしているのではないか。

(sic)boyは2019年にSoundCloud上に公開した楽曲が多くのリスナーの耳を捉え、2020年10月に発表した1stアルバム『CHAOS TAPE』が各ストリーミング・サービスの次世代アーティスト紹介プログラムで紹介され、一躍脚光を浴びた。そして、2021年にはLIL AARON、PHEMなどアメリカのインディー・シーンで活躍するアーティスト4名に加える一方国内からAAAMYYY、Gottz、釈迦坊主を招き多数の客演を収めた『vanitas』をドロップ。国内外から熱い注目を集める存在へと上り詰めた。

SLIPKNOTに代表されるエクストリーム・ミュージックから、PANIC! AT THE DISCO、FALL OUT BOY、MY CHEMICAL ROMANCEなどのエモ系バンドもこよなく愛し、ヒップホップまで聴くボーダーレスな音楽嗜好は、(sic)boyの特異なサウンドを物語っている。また、ファッション/メイクに関してはPOISON、MÖTLEY CRÜEなどのヘア・メタル・バンドからの影響を公言しており、ヴィジュアル/サウンドの両面ではL'Arc~en~Cielから強い刺激を受けているようだ。その広範囲に及ぶ感性の豊かさは、間違いなく(sic)boyの楽曲に脈々と流れている。

では、注目の新曲「Afraid?? feat. nothing,nowhere.」について触れたい。英語と日本語をシームレスに往還する歌詞は、洋楽と邦楽のシャワーを同時に浴びてきた彼らしいリリックだ。しかも一語一句の言葉が明瞭にわかる歌い回しで、より洗練された歌唱力を堪能できる。ラップ的なアプローチを交えながらも、よりメロディアスに傾斜した柔和な歌声に引き込まれる。すべてを受け止め、包み込むような芯の強さを感じるスケールの大きな歌。そこに絡むのがアメリカのラッパー/シンガー・ソングライターのNOTHING,NOWHERE.。オルタナティヴ・ロックとヒップホップを融合させたエモ・ラップを掲げた彼の音楽性は、(sic)boyにも多大なインスピレーションを与えているに違いない。NOTHING,NOWHERE.の憂いを帯びた独特な声色が入った瞬間、楽曲の色彩と温度はまたグッと変わる。両者のコントラストが際立つ個性が融合することになり、楽曲の根底にある悲哀と歓喜、暗闇と光明、死と生などがよりいっそう炙り出されひとつの楽曲として見事に成立している。これぞコラボレーションの妙技であり、醍醐味と言えるだろう。ちなみにAG CLUBやILOVEMAKONNENらの楽曲を手掛けるSaint Patrickがプロデュースを担当しているところもミソ。

歌詞の内容的には、あからさまな希望を歌うわけではない。かといって、無闇に不安や絶望を煽る形でもない。漠然とそこにある状況や浮かび上がる感情に対し、自身の決然とした気持ちを述べたリリックが印象に残る。"何も怖くないよ/君がいない夜を超える"、"ツギハギの空を駆ける"の言葉からは、どんな境遇においても折れない心の強さが滲み出ていて、聴く者の背中を押してくれるのだ。そうしたメッセージ性を含めて、一級品のポップ・ミュージックに昇華している。世代を問わず、老若男女に届くグッド・ソングの誕生だ。街で流れてきたら、ふと耳を奪われ、心に深く浸透しいつの間にか口ずさんでしまう。そういう普遍性を持った楽曲である。今後の彼の活躍の期待感を煽るという意味でも、これ以上の楽曲はないだろう。来年の活動もますます楽しみになってきた。



▼リリース情報
(sic)boy
ニュー・シングル
「Afraid?? feat. nothing,nowhere. (Prod. Saint Patrick)」
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NOW ON SALE!!
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配信はこちら

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