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DISC REVIEW

HOLLOW

(sic)boy

『HOLLOW』

Release Date : 2023-07-21
Label : Universal Music

CD : ¥5,500 → ¥4,564
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『CHAOS TAPE』や『vanitas』でヒップホップ、ロック、エモからJ-POPをクロスオーバーしたサウンドと、独自に構築したエモーショナルで尖ったフロウ、さらにファッションやメイクでも異端な(それでいてキャッチーな)存在感を放ってきた(sic)boyが、メジャーでの1stアルバムを完成させた。ジャンルを自由に横断するトラックや、Only U、JUBEE、Daichi Yamamoto、JESSE(RIZE/The BONEZ)、SEVENTEENのVernonなど幅広い客演で楽しませる1枚となったのは間違いない。が、さらに反骨心と渇きでヒリヒリとした、彼のパンク・マインドが、単にウェルメイドなアルバムでない、様々な刃を潜ませた作品になっている。テクノロジーや物事が加速度的に進化と生身の心の進化との時差が生む退廃感や厭世観、自分が望むものよりも他者との比較ばかりが目についてしまう疲弊感、どことなく天井が見えてしまう閉塞感。そんなじっとりと重い社会の空気をもサウンドや言葉に滲ませ、そして悩み、吐き捨てていく。内省的な咆哮が時に優しく、時にシビアに心を打つ。今を捉えたアルバムだ。 吉羽 さおり