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LIVE REPORT

Zephyren presents A.V.E.S.T project vol.12

2018.03.10 @TSUTAYA O-EAST / TSUTAYA O-WEST / TSUTAYA O-nest / TSUTAYA O-Crest / duo MUSIC EXCHANGE / clubasia / VUENOS

Reported by KAORU

激ロックと馴染みが深く、数多くのミュージシャンやキッズが愛用しているストリート・ブランド、Zephyrenが主催する"A.V.E.S.T project vol.12"が、3月10日に開催された。昨年に引き続き、vol.12となる今回も渋谷円山町の中心地にあたるTSUTAYA O-EAST、TSUTAYA O-WEST、TSUTAYA O-nest、TSUTAYA O-Crest、duo MUSIC EXCHANGE、clubasia、VUENOSという計7会場を使って大々的に開催。会場のキャパシティを単純合計すると約4,000人前後という規模になるものの、チケットはソールド・アウト。筆者のSNSのタイムライン上には惜しくもチケットが取れなかった人たちのツイートが散見された。全59組のアーティストが出演したイベントの模様を一部お届けする。

午後12時。TSUTAYA O-EASTでは、"A.V.E.S.T Project vol.12"のオープニング・アクトで"次世代ミクスチャー・バンド"を標榜するMADALAのライヴがスタート。わかりやすく例えるならばRIZEを連想させるサウンドではあるが、それは曲の構造的な特徴によるものというより、アドレナリン全開の荒々しいステージング、1音1音から伝わってくる激しさの"質"に共通点を感じる。斜に構えずストレートな熱意をぶつけるGaku(Vo)は逞しく、フロントマンとして魅力的だ。オープニング・アクトにして、"A.V.E.S.T"を象徴すると言ってもいいほど、素晴らしいライヴだった。

duo MUSIC EXCHANGEに移動すると、早くも入場規制がかかっている。中ではヒステリックパニックのライヴが始まっており、若手ながら人気の高さを証明していた。入り口付近の後方端からまったく身動きできず、メンバーの姿もほとんど見えないのでステージ上のレポートができないほどだったが、めまぐるしい展開と複雑な構成で成り立っている曲のダイナミックで正確な演奏には、ステージが見えなくても興奮させられる。むちゃくちゃキャッチーでヘンテコなようでいて、音楽とは何か? ラウド系はどうなっていくべきか? と、哲学的な問い掛けまでぶつけてくるのだから、まったく油断ならない鬼っ子だ。

大型フェスやイベントの参加に積極的で、"Vans Warped Tour Japan 2018 presented by XFLAG"にも出演したSurvive Said The Prophet。「Bandaid」が始まるとモッシュ、ダイブ、ウォール・オブ・デスと、ラウド系ライヴではお馴染みの光景が広がる。スタジアムで聴いたらとても気持ち良さそうな「When I」ではチョッパー・ベースが際立ち、「Follow」ではしっとりと歌い上げられた美しい旋律にクラウド・サーファーまでもが聴き入るという場面も。ラストの「Network System」ではヒリヒリした緊迫感を放ちながら全力で演奏するメンバーの姿が印象的だった。

TOTALFATは4年ぶりの出演。祭囃子のような「夏のトカゲ」のリズムに合わせてクラウドが一斉にタオルをヘリコプターのように回す。TSUTAYA O-WESTでのライヴを終えたNorthern19の笠原健太郎(Vo/Gt)が"友達"として呼び込まれ、「Grown Kids feat.笠原健太郎(Northern19)」がステージ上で再現される。さらに高まる熱気に後ろ髪を引かれつつ、clubasiaへ移動。

メイン・フロアのドアから溢れてくるムワっとした熱気をかいくぐり、入場規制前のMAKE MY DAYになんとか潜入。彼らはのっけから血管がブチ切れそうな勢いで「Taste of Secrets」をプレイした。ドラムの迫力がやべぇー! 新しく加入したHal(Dr)は弱冠19歳ながら、パワー感抜群だし叩いている姿も華がある。Isam(Vo)が加入したときと同じような、パズルのピースがぴったり合ったような感触。ラストの「What Are You Fighting For」にて、Isamが突然フロアに飛び込み一瞬ヒヤっとしたが、フロアの人々に支えられて空中で手を広げた光景はとても鮮烈なものだった。

ロック系の比率が圧倒的に高く、ヒップホップ勢がアウェイに感じるのは当然だろう。しかし、SNSで"#A.V.E.S.T"を検索すると、多くの人が目当てのアーティスト以外もいろいろな出演者を観ようとしていて、その中にはヒップホップ、ラッパーの名前が挙げられていたし、実際にヒップホップ系のライヴにはライヴキッズをはじめ様々な層のオーディエンスが詰め掛けている光景が見られた。

duo MUSIC EXCHANGEへ移動すると、こちらも全体的にタイムテーブルが押していたようで、Creepy Nutsの予定時刻になろうとしていたが、目の前ではたくさんの人が漢 a.k.a. GAMIのライヴに観入っている。今回は"フリースタイルダンジョン"ファンにはたまらないメンツが揃っている。筆者も番組にどっぷりハマり、それをきっかけに本格的にヒップホップに興味を持ち、ラップの聴き方だけでなく音楽の聴き方や価値観までガラっと変えられたひとりだ。司会者のZeebra、ラスボスの般若、そして漢 a.k.a. GAMI、Creepy Nuts、サイプレス上野とロベルト吉野、DOTAMAという番組でいうところの"初代モンスター"が揃っており、GADOROとラッパ我リヤのMr.Qは、"チャレンジャー"VS"隠れモンスター"として同番組でベスト・バウトを繰り広げた。

漢 a.k.a. GAMIのライヴはほぼ最後しか観ることができなかったが、観客は基本的に静かにステージを観ながらラップをじっと聴いている。ヒップホップのイベントであれば考えられない光景だし、演者側はやりづらかったかもしれない。しかし、"A.V.E.S.T project"やロック・フェスに行くようなキッズたちは、ただノリ方がわからなかっただけだろうし、真剣にラップに聴き入るという姿は、自分には素晴らしいことのように思えた。そういうキッズの傾向をよく理解しているのがCreepy Nutsだろう。「助演男優賞」や「合法的トビ方ノススメ」は特にロック系DJパーティーでもよくかかるアンセムで、盛り上がりがハンパない。漢 a.k.a. GAMIのときよりも少し男性が多いだろうか? 熱気ムンムンのフロアにまったく負けないヴァイブスでラップするR-指定と素早くターンテーブルをさばくDJ松永がフロアを圧倒していく様はとても爽快なものだった。

続く般若のライヴにはとにかく圧倒させられた。肉体と言葉から放たれるパワー感と説得力がハンパじゃない。「あの頃じゃねえ」ではフロアいっぱいに力強い拳が上がり、筆者の近くに座っていたDJ BAKUも拳を上げていた。もともと"般若"は、YOSHI(※現在の般若)、RUMI、DJ BAKUによる3人のグループだったので、そのころを知っている人なら胸熱な光景だろう。

近年のバトル・ブームの仕掛け人でもあり、言わずもがな誰もが知る日本を代表するラッパー、そしてヒップホップの偉大な功績者 Zeebra。彼のライヴは当然観たかったのだが、時間の関係で移動しなければならず、本人の姿を一目見て"あ、ステージに出てきただけでもうすでに超カッコいい"ということを確認しつつ、clubasiaへ移動。

日本でイチ早くロック・バンドとクロスオーバーしながら活動してきたレジェンド、ラッパ我リヤ。ロック・バンドとの対バンや大舞台の経験も豊富なだけあって、さすがのステージングだった。「イエーと言え!」でコール&レスポンス、「Do The GARIYA Thing」で次々とフロアから力強い拳が上がる。アンセムの連続で初心者にも優しいセットリスト、さすがの盛り上げ方だなぁと感服するばかり。

そして、TSUTAYA O-EASTの締めとして、MY FIRST STORYへと潜入を試みるも多数のオーディエンスが詰め掛け、入場規制のため少ししか観れず。個々の演奏力の高さはもちろんだが、日本武道館、幕張メッセと大舞台を経てきたバンドならではの音のまとまりを圧巻のレベルで聴かせてくれた。声を掠らせながら全力で歌い上げるHiroは"今日はお前らの声を聴きに来たんだー!"と逞しく煽り、そこからシンガロングがどんどん力強くなる。イベントのトリとしてはこれ以上ないライヴだったと言えるだろう。

2016年3月からスタートした激ロックのZephyren特別企画の連載の中で、GEN氏は対談やインタビューにおいて、常に"若手アーティストをフックアップしたい"と発言している。

"無名でもカッコいい奴はいるし、若い子の方がいい感覚を持っていることも多いので。誰でも可能性は無限に持っているわけだから、応援もしたいし、俺もまだまだ勉強したい気持ちもあるしね。"(※2017年11月号掲載

"A.V.E.S.T project"がアーティストやキッズから熱く支持されている理由は、Zephyrenというブランドを媒介することによって広がる越境性の魅力だろう。表層的なクロスオーバー感を出しているイベントは目新しくはないが、このラインナップの充実ぶりをみると、本質的にアーティストを理解し、密な関係性と信頼を築いているGEN氏が中心にいるからに他ならない。今後"A.V.E.S.T project"がカルチャーとしてどのような発展を見せていくのか、楽しみで仕方がないのである。

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