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LIVE REPORT

Survive Said The Prophet

2018.09.07 @Zepp DiverCity TOKYO

Writer 吉羽 さおり

9月7日、Survive Said The Prophetが"Survive Said The Prophet VR EXPERIENCE"と銘打った無料ワンマン公演を行った。結成以来、ライヴを活動の軸に全国各地を回ってるサバプロ(Survive Said The Prophet)だが、会場に足を運べない人にも彼らの"ライヴ"を体感してもらえることはできないか、という思いからスタートしたのが今回の"VR EXPERIENCE"プロジェクトだ。ソニー・グループの最新映像技術を使い、ステージはもちろん、フロアも含めて現場の熱をリアルにパッケージするということで、多数のカメラを用いてのライヴ・シューティングが実施された。

Zepp DiverCity TOKYOでの初ワンマンにして無料のライヴとなったが、レーザーや照明などの演出面にも手を尽くされ、会場はサバプロの世界観ですっぽりと包み込まれた。1曲目「Lost in Time」から高揚感のある美メロとアグレッシヴなサウンドで観客を沸かせると、Yudai(Ba)が"今日は、全員サバプロがひとり占めにします!"と、初のZeppワンマンへの気合を伝える。フロアも頭からボルテージが高い状態だが、Yosh(Vo)の煽りから続いた「Fool's gold」ではさらにカオス化し、Showのスピード感のあるドラムに大きく身体を揺らし、IvanとTatsuyaのギターの絡みやYudaiのシャウトに拳を上げる。そして、"まだまだ遊べるか!?"(Yosh)という声と同時に、さらにアドレナリン全開で序盤から容赦ないパワーで分厚いアンサンブルを轟かせた。ヘヴィなリフやシャウトなどラウドなサウンドの破壊力もあるが、一方でソウルフルな美メロや、ミドル~スロー・テンポでグッとテンションを高めながら大きなシンガロングを起こしていくアンセミックな曲も力を持つサバプロ。勢いで押すだけではない、ジェントルなYoshのヴォーカルや構築的なバンド・アンサンブルでフロアを掌握できるスケール感があるのは、ロック・バンドとしての彼らの最高の武器だ。そういった曲の代表と言える「When I」や「Follow」が、観客をぎゅっと一体化し、シンガロングが巻き起こるシーンは圧巻である。

セットリストとしては、2ndアルバム『FIXED』と3rdアルバム『WABI SABI』の曲が中心だが、オープニングでは「s p a c e [ s ]」、そして中盤では「p a c e s [ s ]」といったSEをフックに、まだこのライヴ時点ではリリース前だった9月26日発売の4thアルバム『s p a c e [ s ]』でのムードも漂わせた。5月にシングルとしてリリースされた「NE:ONE」はサビで日本語詞を用いるサバプロとして試みのある曲となったが、モダンなアレンジとエヴァーグリーンでキャッチーなメロディによって、ライヴで大きく盛り上がる曲へと昇華され、また同シングル収録曲「HI | LO」も自然と観客がコーラスをとり踊る、しなやかでポップなダンス・チューンとなっている。彼らの肝となる強靭でエクスペリメンタルなロックをより開放的に放つ最新作のモードも随所に感じられるステージだ。

後半は、YoshとIvanがいつの間にか会場後方に設けられたステージへと移動すると、"前も後ろも、全員ファミリーだよ"(Yosh)と語り、観客の興奮をさらなるものとする。そしてこの1日を作ってくれたスタッフ、そして観客へと感謝を伝え、「3AM」をIvanのアコースティック・ギターとYoshのヴォーカルとで披露。観客のコーラスが徐々に大きく響きわたるなか、バンドのアンサンブルも重なってクライマックスを迎えると、YoshもIvanもメイン・ステージへと戻って、「UPLIFTED」、「MIRROR」とバンドのダイナミックなアンサンブルやバンド感の高さを最大限に伝える曲を連投し、これまでのクライマックスをさらに更新するエモーショナルで痺れるような高揚感を生んでいった。ラストは、ソリッドな鋼鉄リフが冴える「Network System」で観客の汗を搾り取る。Yoshは10月からスタートする"s p a c e [ s ] TOUR 2018-19"に触れ、2019年2月のマイナビBLITZ赤坂公演について、"半端ないから。そこでも会おうな"と伝え、充実のステージを終えた。現在のバンドのいいグルーヴを伝えるとともに、新作やここからのライヴへの期待も先取りした、濃密な一夜となった。

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