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LIVE REPORT

Survive Said The Prophet

2019.02.03 @マイナビBLITZ赤坂

Writer 吉羽 さおり

アルバム『s p a c e [ s ]』をリリースし、2018年10月からスタートし26都市27公演(※追加公演を含めると28公演)に及んだツアー"s p a c e [ s ] TOUR 2018-19"が、2月3日、マイナビBLITZ赤坂でファイナルを迎えた。前作『WABI SABI』から1年を経てSony Music Recordsからリリースした『s p a c e [ s ]』。バンドとしての軸や姿勢は変わらず、且つサウンドのスケール感、音の奥行きや表現力を磨き上げたSurvive Said The Prophetの現在は、このツアーでも進化を遂げている。会場が暗転し、ステージに据えられたグランド・ピアノを奏でるYosh(Vo)が変則的なリズムによるピン・スポットで照らし出されて、観る者の脳裏に印象的な残像を刻むイントロダクション「s p a c e [ s ]」、そしてYudai(Ba/Vo)のシャウトが静寂を破る「T R A N S l a t e d」で一気に音圧を上げ爆発していく。冒頭からがっちりとフロアの熱を掴むライヴとなった。アグレッシヴなシャウトと、Yoshの伸びやかでソウルフルなヴォーカルとのコントラストがビートを加速させる「Fool's gold」、ダンサブルな「HI | LO」と、フロアを高いジャンプからステップへと自在にコントロールし、「The Happy Song」で大合唱を起こすなど、冒頭から会場を掌握する。

このBLITZの会場でも、小さなハコ同様にマイクを使わずに声を張り上げるYudaiの口上から始まったブロックは、「Right and Left」や「Tierra」などグルーヴィでメロディアスなバンド・アンサンブルと、メロウなヴォーカルを響かせる曲が続く。自然と身体が揺れ、ハンドクラップが起こる、実にポップ性の高いサウンドが気持ちいい。引き算された音の空気感、サウンドの空間性が生きる曲たちで、彼らが様々なタイプの音楽を咀嚼し、さらに各自の音やアイディアの引き出しを増やし、アレンジを洗練しているのがよくわかる。その一方で、「found & lost」や「Bandaid」、高揚感溢れるシンガロングでスタートする「Let it die」など、密度の濃い重厚なバンド・サウンドでカタルシスを生んでいく曲でもフロアを沸かせる。"カオスを作りに来たんだよ"とYoshは叫びを上げたが、まさにそのとおり、連投する曲で心も身体も大きく揺さぶりをかける。

「p a c e s [ s ]」のSEを挟んで、中盤はシングル・リリースされた「NE:ONE」でスタートし、Yoshが再びグランド・ピアノでジェントルに弾き語る「Follow」へと続いていく。少ない音数と抑えたヴォーカルからクレッシェンドしていく「Follow」は、決して激しく煽るような曲ではないものの、吸引力が高い。それを証明するように、フロアでは感動の波が静かにうねりを起こしている。再び観客を大きく躍動させるべく、Show(Dr)がダイナミックなドラムを打ち鳴らす「Spectrum」では、"We are the light We are the future──俺はそう信じて歌ってる"とYoshが歌詞をアレンジし、アンセミックに歌い上げる。そして、最新作に収録されている「S P I N E」から、2015年リリースの1stアルバム『Course of Action』から「Ashes, Ashes」、「If You Really Want To」と続けていく。

Ivanの奏でるアコースティック・ギターとYoshの歌による「3 a.m.」から「Uplifted」で後半戦をキックオフした5人。自らの意志をじっくりと伝えるような「s t i l l b e l i e v e」の曲中でYoshは、"バンド結成10周年を迎える2021年に、Survive Said The Prophetは武道館のステージに立つことに決めた"と語った。この曲をもう一度武道館で歌うと力強く付け加えると、フロアには無数のスマホのライトが光り、美しいシーンを生み出していく。これをもう一度、武道館という大きなステージで見たい。それはここにいる誰もが感じたことだろう。"残り数曲、楽しんでいこう!"(Yosh)という言葉を合図に、「When I」、「Conscious」、TatsuyaとIvanのふたりによる爆音ギターが会場を爽快に駆け抜けてフロアのジャンプやシンガロングを煽り、一体感溢れる「Network System」で本編を締めくくった。

アンコールでは、このBLITZ公演とのちの追加公演となる恵比寿LIQUIDROOMでの会場限定としてリリースしたシングル『Common Sense』から「Heroine」と「Bridges」という新曲を披露。ツアーとしてはファイナルを迎えるが、バンドとしてはここからもノンストップで志高く突き進んでいくことを体現するリリースだ。そして、そういう今だからこそ行うという初の47都道府県ツアー"Now more than ever Tour"を3月からスタートすることもアナウンスした。良質な作品にも、メジャー・レーベルからのリリースにも甘んじることも近道をすることもなく、一歩一歩着実に地を踏みしめながらここからもバンドとして進化を遂げていくことを告げるような、バンドの鋭い眼差しを感じるライヴとなった。

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