INTERVIEW
HONE YOUR SENSE × ヒステリックパニック
2016.07.15UPDATE
2016年07月号掲載
HONE YOUR SENSE:Toru Bara(Vo) Kousuke Matsuzaki(Gt)
ヒステリックパニック:とも(Vo) $EIGO(Gt/Cho)
インタビュアー:荒金 良介 Photo by 加藤 智裕
-今回はHONE YOUR SENSEの1stミニ・アルバム『PHONOMENA』リリース記念対談ということで、まずこの2バンドの出会いから教えてもらえますか?
とも:初めて対バンしたのは長野ですね。2年前の夏に僕らが『センチメンタル・サーカス』(2014年リリースの1stミニ・アルバム)を出したときに、ツアー"センチメンタル・ジャーニー"のアフター・パーティーがあったんですよ(※2014年8月9日に松本 ALECXにて開催)。で、長野にいたイベンターがヒステリックパニック(以下:ヒスパニ)もHONE YOUR SENSEも好きで、そこで一緒になりました。まぁ、その日の長野はカオスでしたね。
$EIGO:打ち上げで意気投合したんですよ。救急車も来ましたもんね?
Kousuke:詳しくは言えないけどね(笑)。そこで一気に仲良くなったから。
-お互いを認識したのも長野ですか?
Bara:いや、その前から存在は知ってました。最初に会ったのは渋谷THE GAMEですね。僕らも1stフル・アルバム『ABSOLUTE SENSES』(2014年リリース)を出したときにレコード店を回ってて、そのイベンターの奴がヒスパニがGAMEにいると教えてくれて。
とも:そこで音源を渡し合ったんですよね。僕らも前から知ってて、HONE YOUR SENSEの『TRI-JOLT』(2013年リリースのシングル)発売前のトレーラーを見て、やばいバンドがいるなと。それで、週一でスタジオに集まってるときに、当時バンド内でお薦めの音楽を何となくミキサーに繋いで流してたんですけど、HONE YOUR SENSEの「THE LAST MAN STANDING」(『TRI-JOLT』収録曲)が流れたときに、メンバーが"何これ!? 外タレ?"ってすげぇ反応して。
Bara:おぉ、嬉しい!
とも:みんな食いついて、"いや、東京のHONE YOUR SENSEというバンドで"と説明して。
$EIGO:すごくダンサブルだったんですよね。
とも:そう! こんなメタルコア聴いたことなくて。いわゆる"メタルコア"と言われるジャンルは食傷気味だったけど、HONE YOUR SENSEは全然違った。それからメンバーみんなファンになりました。
Bara:えっ? それは知らなかった(笑)。
とも:だから、こんなに仲良くなるとは思わなかったですね。今はHOTOKEという長崎のデスコア・バンドとも仲良くしてるけど、HONE YOUR SENSEと出会ってからは(ジャンルは)関係ないなと。
-そのへんをもう少し詳しく教えてもらえますか?
とも:コアな方たちからすると、ヒスパニはすごく中途半端に映ると思うんですよ。だから、コアなバンドと仲良くなっても対バンするのは違うんじゃないかと思っていたけどHONE YOUR SENSE、HOTOKEと出会って、その考えを取っ払うことができました。お互いが気に入れば、ジャンル、シーン、お客さんは関係ないなと。
Bara:我々はメタル・バンドですけど、いろんな要素を組み込んでいるヒスパニのスタイルに共感できますからね。ジャンルをいろいろ混ぜてるところは、ウチらと似てるなと。だから、あまり隔たりは感じないです。今回の作品『ノイジー・マイノリティー』(2016年7月20日リリースの2ndフル・アルバム)も聴いたけど、ほんとに幅広くて。どんどん広がってるから、懐深すぎじゃない? って(笑)。
Kousuke:何でも取り入れるって、そこらへんにあるものを簡単に拾ってるように見えるかもしれないけど。相当難しいことをやってるし、才能がありますよね。取り入れて、形にできてるところがすごい。
Bara:それぞれのジャンルにケンカを売ってるなと。
一同:ははははは(笑)。
Bara:かと思えば、「しぐなる」(『ノイジー・マイノリティー』収録曲)のメロディがまた耳に焼きついて離れないしね。自分もメタルやる前はポップスやロック、メロコアも通ってきたから。自分にツボのメロディが来たなと。ヒスパニはヴォーカルが3人いるイメージで、それぞれの声がレベル高いんです。$EIGO君のメロコア・ヴォイスがすげぇ好きで、最高っすよ!
-ヒスパニはいろんなジャンルにケンカを売ってる意識はあります?
$EIGO:う~ん、曲は僕とTack朗(Gt/Vo)で作っているんですけど、その畑の楽曲を俺らがやるっていうのは、ケンカを売るっていう意識も多少含まれているかもしれないけど、、単純に楽しいからですね。人それぞれだけど、僕は同じことをやり続けると、飽きちゃうんですよ。メジャー1stアルバム『オトナとオモチャ』(2015年リリース)からバラードと言われる曲も作るようになったけど、実際にやったらめちゃくちゃ楽しくて。ケンカを売ってるというのは、結果に過ぎなくて。
とも:もし向こうがケンカを売ってると思ったとしたら、それはすでに意識しているってことですからね。ヒスパニが"メロコアみたいなことをやってる"と言った時点で、そいつは気にしてるわけだから。こっちにしたら、してやったりなんですよ。"メロコア"と言った時点で、お前がメロコアと認識してるやんって。
-なるほど。
とも:あと、飽きるという言葉が出てきたけど、HONE YOUR SENSEも絶対そうだと思うんですよ。じゃなきゃ、あんなに多様性のある曲は作らないから。そこは似てるんじゃないかな。
Bara:はははは(笑)、そうかも。
Kousuke:メタル・アンセムみたいな曲はIRON MAIDENやMETALLICAがやってるわけで。それを自分たちがやっても意味がないしね。
Bara:ウチはメタルなので、一般のリスナーからすると、敬遠されがちなジャンルだと思うんですよ。メタルはこういうアレンジや味付けにしたら、聴きやすいんだよ、というアプローチは心掛けてますね。
とも:特にメタル、ラウド、ハードコアをやってる人たちは"全部同じに聴こえる"と言われてしまうことに対して、コンプレックスを持ってると思うんですよ。俺らも初期はそれをいかに避けるかを考えてました。限られた範囲でどれだけ遊べるか、見せられるかは、お互いに意識してると思います。
$EIGO:ウチらの『4U』(2013年リリースの1st EP)なんて全部同じコード進行で、逆にすごいなと(笑)。当時僕はいなかったので、もっと違うコード進行を使えばいろいろできるのにって。それで今に至りますからね。
とも:『4U』は全部Tack朗さんが作ってるからね。
-自分たちのジャンルに対するコンプレックスはお互いにあると?
Kousuke:この2バンドはあると思いますね。
とも:メタルコアはその最たるものだと思ってるから。HONE YOUR SENSEは、ウチらの中ではニュー・ジャンルを作ってるぐらいの感じだから。
Bara:それを目指してるからね。前作『ABSOLUTE SENSES』もそうだけど、今作『PHONOMENA』も全曲違う印象になるものに仕上げているから、それも楽しみにしてほしいですね。