FEATURE
THE INTERRUPTERS
2015.02.05UPDATE
2015年02月号掲載
Writer 山本 真由
昨年のRANCID久々の新作リリースに引き続き、本腰を入れて表舞台に戻って来た感のあるTim Armstrongが、プロデューサー&ゲスト・アーティストとしても参加しているTHE INTERRUPTERSのデビュー・アルバム。その注目作が、遂にここ日本でもリリースされた。
かつて、90年代にはDROPKICK MURPHYSやU.S. BOMBSなどの実力派ストリート・パンク・バンドを世に広め、2000年代にはNEKROMANTIXやHORRORPOPSを中心にサイコビリー・ブームを牽引するなど、常にシーンの最先端でカッコいいバンドを送り出してきたHellcat Records。ここ数年は、GBHやTHE SLACKERSなどのベテランとの契約で話題となったものの、全盛期の"どんな新人バンドでもHellcatなら間違いない!"というようなワクワクさせてくれるような新しい才能との出会いはなく、"Timがレーベルの運営に飽きてきてるんじゃないか......?"なんて邪推もしたものだ。
そんな中、彗星のごとく登場したのが、このTHE INTERRUPTERSだ。まさしく、ザ・Hellcatなサウンドには違いないが、純粋なるRANCIDフォロワーのLEFT ALONEやTIME AGAINとは、ちょっと存在感が違う。どこか懐かしい響きのあるスカコアをベースにしながらも、メロディの立ったストリート・パンクの魅力もあり、昔ながらの王道アメリカン・ロックにも通ずるダイナミックさも併せ持つ、まさに現代に産み落とされた"パンク・ロックの申し子"といえるような存在なのだ。
2012年結成という新人ながら、メンバーの実力はすでに各方面で証明されている。ハスキーでパンチの効いたヴォーカルが個性的なAimee Allen(Vo)は、あのレゲエ界の重鎮Jimmy Cliffのグラミー賞受賞アルバム『Rebirth』(2012年)にゲスト参加し、その歌声を世界にアピールした。そして、Kevin(Gt)、Justin(Ba)、Jesse(Dr)のBivona兄弟は、RANCIDのTimのソロ・プロジェクトであるTIM TIMEBOMB AND FRIENDSにバック・バンドとして参加している。特に、Kevinはギターやベース、キーボードのみならず、パーカッションやアコーディオン、鉄琴、マンドリンなど様々な楽器を操るマルチ・プレイヤーとして活躍。今回のアルバムでも、4人とは思えないほどビッグ・バンドのようなカラフルで重厚なサウンドを実現し、聴く者を楽しませてくれている。
アルバムはどこを切ってもノリのいい、踊れるサウンドに彩られているが、とりあえず、ミュージック・ビデオにもなっているTim参加曲「Family」を聴けば、その心地良いグルーヴとキャッチーなコーラスにノックアウトされるはず! OPERATION IVY(TimとMattがRANCID結成前に所属していたスカコア・バンド)のような無鉄砲さというよりは、もう少し洗練された激しさと逞しさを感じるが、もちろんOPERATION IVYファンの心も間違いなく掴むだろう。無邪気に音楽を楽しむ彼らの姿勢そのものに、OPERATION IVY、RANCIDから脈々と受け継がれてきたHellcat Recordsの精神が詰まっているように思えるのだ。
今作は、全体的にはシンプルに"得意科目をうまくまとめてきたな"という印象で、まだまだいろいろな引き出しを持っていそうなバンドだが、名刺代わりの1作目という意味では、シーンに絶対的存在感を示した今作は、彼らの魅力を存分に味わえるアルバムと言っていいだろう。メンバーそれぞれの幅広い活動とTHE INTERRUPTERS一体となったバンドとしての成長が、今後さらなる名盤を生み出すことに期待したい。あとは、ライヴで生のサウンドを体感できれば! 今最も来日が待ち遠しいバンドのひとつだ。
THE INTERRUPTERS
『The Interrupters』
[SONY MUSIC JAPAN]
EICP-1622 ¥2,200(税別)
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1. Take Back The Power
2. White Noise
3. Can't Be Trusted
4. Liberty
5. Judge Not
6. This Is The New Sound
7. Family - (featuring Tim Armstrong)
8. Easy On You
9. A Friend Like Me
10. Last Call
11. Haven't Seen The Last Of Me
12. The Metro ※日本盤ボーナス・トラック
13. Treat The Youth Right ※日本盤ボーナス・トラック
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