INTERVIEW
KEMURI
2013.06.06UPDATE
2013年06月号掲載
Member:伊藤 ふみお(Vo) 津田 紀昭(Ba) 田中‘T’幸彦(Gt)
Interviewer:吉羽 さおり
解散から6年。KEMURIは再結成を果たし、ニュー・アルバム『ALL FOR THIS!』をリリースする。再結成の発端は、Hi-STANDARDの呼びかけによりAIR JAM 2012へ出演を決めたことだった。そしてこの機会をスペシャルなものとせずに、なお且つ現在進行形のKEMURIの今の意志を作品として刻み、新スタートの礎とした。バンドの意気込みがぞくぞくするスピード感と重厚なサウンドに託されている。と、同時にKEMURIのメンタリティ、バンド哲学である、ポジティヴな躍動が極上のスカコア・サウンドへと昇華されている。今回、作品を作るにいたった思いを、メンバーにインタビュー。
-AIR JAM 2012の出演がきっかけとなって6年ぶりのバンド復活となりましたが。出演の話があってから、どういうふうにバンドがスタートしていったんでしょうか。
伊藤:AIR JAMをやるのはいいけど、AIR JAMにだけ出るのは納得がいかないというのがありましたね。どうなるかわからないけど、まずアルバムをしっかり作って――1回やるのも、この先ずっとやるのも同じだから、KEMURIとして今のメンバーでアルバムを作って、ツアーもやって、っていう活動を視野に入れた再結成じゃないと自分的に納得がいかなというのは、まず津田に話して。そこからいろんなことが始まりました。さんざん話をして、活動をやるんだったら、再結成ツアーをやろうじゃないかと。頑張って曲を作ってみようじゃないかと。で、ギターの南は“俺は再結成ツアーで辞めます”ということだったので。それでT(田中‘T’幸彦)が入ることになって。実質的には今年入ってからですかね、新曲の制作を進めはじめたのは。
-AIR JAM後の再結成ツアーの手応えっていうのはどうでしたか。
伊藤:チケットは即、全部売り切れたし、そのときは南が最後のツアーとは言ってなかったけど、長年やってきたメンバーでの最後だから、楽しくやりたいと思って臨んだツアーで。AIR JAMのときもそうだったけど、予想以上に“こんなに待っててくれる人いるの?”っていう。今までどこにいたの? っていう(笑)。
津田:解散前とかねえ(笑)? 解散前の2、3年はどこにいっちゃったのっていう。
伊藤:非常に手応えのある。なんか、またできるかもね?って思えるものでした。
-それで新曲作りにもエネルギッシュに向かえた状態ですか。
伊藤:それはすごくあると思う。
-いざアルバムを作るとなると、ファンにとっては期待値はものすごく高いもので、今のKEMURIも聴きたいし、自分が1番好きだったKEMURIも聴きたいしっていう思いも強いと思うんです。バンドとしてもそうしたことは感じ取っていたかと思いますが、実際曲作りでは重きを置いた点はありましたか。
津田:今回のアルバムから初代のギターのTが帰ってきて、新しいこともしつつ、もともとのKEMURIの持ち味も絶対に出せるから。その両方の視点からいけばできるなと思ったんですよね。以前のKEMURIが好きな人も、新しいKEMURIが好きな人も。また、自分たちも新たに挑戦していけるっていうか。ここにきて、また違うKEMURIもできるのかなって思いましたけどね。
-実際、スタジオでみんなで曲を合わせていく瞬間っていうのは。
津田:楽しいですよ。むちゃくちゃ楽しい。
伊藤:これがほんとに楽しいんですよ。今、みんなといっしょに音楽をやってる瞬間が1番楽しい、ライヴもリハも。余計なことを考えないでね。ほんとに、楽しい。
-田中さんは今回、どういった気持ちでKEMURIに向かって曲を作っていったんでしょうか。
田中:ずっとライヴは観に行っていたりとか、個人的な付き合いはあったので、まったく音沙汰がなかったわけじゃないんですよね。だからそんなに、KEMURIに距離感は感じていなかったので、そこまで構えて入った感じではないというか。ある意味、ちょっと昔の延長線上の感じで挑めたかなっていうのは、個人的にはありますね。
津田:Tがまた新しい風を吹き込んだのはデカイと思いますよ、曲作りにしても積極的にたくさん作ってくれたし。
-田中さんは、KEMURIはこれをやったら面白いんじゃないかっていう曲作りもしたという感じでしょうか。
田中:そうですね、僕なりにこういう曲もあったらいいんじゃないかっていうアイディアは、詰めましたね。
-ちなみに普段はどのようにそれぞれ曲作りをされているんですか。
田中:僕はコンピューターでシュミレーションをして、ですね。
津田:僕は全部自分の頭のなかにぶっこんで、Tにデモを作ってもらってますね。あと、ドラムの(平谷)庄至君とに。
伊藤:全然、レコーディングで渡米するまでにできてない歌詞もあったし。
田中:バンドでばーと作った曲もありますしね。
伊藤:過去の3作に比べると、まったくもってライヴ感があるというか(笑)。行き当たりばったり感があって、現地の雰囲気もたくさん入ったアルバム制作だったと思いますね。