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INTERVIEW

KEMURI

2018.02.06UPDATE

2018年02月号掲載

KEMURI

Member:伊藤 ふみお(Vo)

Interviewer:高橋 美穂

2月7日に通算13枚目となるアルバム『【Ko-Ou-Doku-Mai】』をリリースするKEMURI。日本でスカ・パンク・シーンを切り拓く功績を残しながらも、2007年に解散。2012年に再結成を果たしてからは、コンスタントなリリースを続けてきた。今作では、結成時から掲げてきた"P.M.A."(Positive Mental Attitude=肯定的精神姿勢)を掘り下げながら、ストレートなパンク・ロックからパーティー・チューンまで、幅広く響かせている。そこに込められた真意とは? フロントマンである伊藤ふみおに訊いた。

-歴史の分だけたくさん節目があるバンドですけど、今作がレーベル移籍後第1弾ということで、今作の制作に影響をもたらした部分はありますか? それとも、もっと自然体で、13枚目のアルバムを作ろう! という感じだったんでしょうか。

そこは後者です。前作の『FREEDOMOSH』(2017年3月リリースの12thフル・アルバム)を作り終わってから、今作を録り終わるまでの自分たちを入れ込んだうえで、今どこを見ているのかを伝えられるようなアルバムにしたかったんですね。また、今回はレコーディングも日本でやったんです。再結成してからのレコーディングは、音楽に没頭して、メンバー同士でコミュニケーションを図るために、1ヶ月くらいアメリカに滞在してやってきて。それはそれで良かったんですが、今回はマイペースだけじゃ立ち行かない生活......家族がいるから自分の思いどおりにはいかないっていう意味ですけど、そういうなかで作詞をしたことで、肩の力が抜けた感じも投影できたんじゃないかな。

-とはいえ、アッパーな曲が多いですよね。再結成後、コンスタントにアルバムをリリースされていますけど、よくこんなにもエネルギーが出続けているなと。

やっぱ、KEMURIっていうバンドがそういう役割なんじゃないかな。あとは、メンバーみんな音楽好きなんだと思う。スカ・パンクが好きで、KEMURIが好きで、より良くしたいって思ってるから。行く末を考えたら、毎年アルバム出すなんてこと、できないですよ。でも、作って出すことは、自分たちが是としてやってるから。

-「LIVE LIKE OUR MUSIC!」の歌詞(和訳)に"俺は生きたいんだ... 俺たちの音楽のように生きたいんだ!"とありますが、みなさん自身が、KEMURIという存在に後押しされているところもありますか?

あるかもしれないですね。ずっと"P.M.A."を歌ってきて、何回言ってもどうなんだろう? っていう想いもあるし、やっぱり違うこと歌いたいっていう時期もあったし。でも、腹括ってね、自分たちが言ってきたことをもう1回言って、自分たちにわからせることが必要なんじゃないかなって認識があって、この歌詞になりました。

-この曲に限らず、ご自身たちを鼓舞するような歌詞も多いですよね。"【Ko-Ou-Doku-Mai】(孤往独邁)"というアルバム・タイトルにも、そういう意味がこもっているように思えるのですが。

やっぱりね、自分がやりたいことだけできりゃいいやっていう感覚じゃないわけ。イチ個人の"伊藤ふみお"としても、KEMURIで歌う"伊藤ふみお"としても。もっと日本が外国に誇れるような国になればいいなとか、スカ・パンクのシーンがもっと盛り上がればいいなとか、そういう想いがあったうえでの、俺は俺の道を行く(=孤往独邁)っていうことなんだけど。最初からつるんで何かをやるような真似はしたくないっていう、今までKEMURIがKEMURIたり得た、そういうところを大切にしようと思って付けた言葉です。

-孤往独邁を貫きつつ、社会や世界に対して、視界が広がっている感じもします。「SAD BOMB」、「NO MORE WAR!」あたりは、今までになくストレートですよね。

「SAD BOMB」、「NO MORE WAR!」も、"これは反戦の歌ですね"ってインタビューとかで言われることが多くて。たしかにそうなんだけど、どういうアプローチかというと、生命賛歌なんだよ。この2曲に限らず、アルバム全曲。命あるからこそっていうテーマを、いろんな切り口で歌詞にしてるのよ。もちろん戦争は悪いっていうことも言いたいんだけど、結局、命を賛美しているから戦争はダメなんだって言いたいわけ。大変な思いをして命は生まれてくるのに、何か勘違いしちゃうんだろうね。それを改めて言わなきゃいけないなって。それで、命さえあれば未来は明るいっていうことを「MIRAI」では言いたかったんだよね。命は絶対的なものだから。

-あぁ、よく考えれば全曲そうですね。「FATHER OF THE BRIDE」は、花嫁の父の心情が描かれていますけど、娘の大切な命をここまで育んできたっていう意味では、生命賛歌と言えますもんね。

そうだよ! だからこそ『【Ko-Ou-Doku-Mai】』なわけ。他の誰でもない自分の人生をしっかり生きる――その気持ちをなるべく小さいころに知らなきゃいけない。その気持ちは、50歳でも5歳でも同じように持つべきだと思うし。そうじゃないと、何かが破綻する。