INTERVIEW
KEMURI
2018.02.06UPDATE
2018年02月号掲載
Member:伊藤 ふみお(Vo)
Interviewer:高橋 美穂
-"命"というテーマは、今作だからこそ生まれてきたものなんでしょうか。
解散もあったけど、1stアルバムから20年以上経っているバンドが、"さぁ、これが今の私たちです、聴いてください"って、何を歌ったら俺は俺を許すんだろう? みたいなことは結構考えて。今は、前よりも、もうちょっと深いところで"P.M.A."を歌えてると思うけどね。"P.M.A."って、"強く願えば夢は叶う"っていうことだったし、もちろん今もそれはあるけど、やっぱり命あってのものだから。長くやってると、自分がほんとに好きな何かに、なんとなく1枚フィルムをかけるような動きをするようになるんです。経験とか、自負とか、プライドとかによってね。周りもそれを望むし、そうなるとそれなりの立ち振る舞いをしなきゃいけない。自分もそういうところがあったかもしれないけど、いやいや、やっぱり自分の好きなことだけ、腹いっぱいやろう! と感じた1年間だったかな。どんな生き方をしても、人間は限られた時間しか生きられないわけだし。どこでどういう生き方をするかも、早い段階で腹括った方がいいって、今回のアルバムを作ってから、今まで以上に強く思っています。
-歌詞だけではなく、音楽的にも、好きなことを思いっきりやりたい! という姿勢は出ていますよね。「STILL HOPE」は特に新鮮な曲調でした。
いやぁ、「STILL HOPE」みたいな、そこまで速くない8ビートの、いわゆるパンク・ロックを、ほんっとにね、上手くできるようになったと思う。再結成後のKEMURIは。
-可能性が、どんどん広がってきていますよね。
やっぱ、スカ・パンクという切り口でやってるから、音楽的じゃないと言われれば、音楽的じゃない感じがあるんだけど。他に、素晴らしいミュージシャンも素晴らしいシンガーもたくさんいるし。でも、誇れるアルバムだと思う。これ、俺たちにしかできないって。
-アルバムのラストを飾る「Ko-Ou-Doku-Mai」の"絶望も 希望も 夢も 突き刺さったままの心で!"という歌詞も、KEMURIらしいと思います。希望や夢だけじゃない、絶望も突き刺したままの心で突き進むっていう、リアルな生き様が聴こえてきました。
臭いものに蓋をしないっていうかね。絶望を感じることもあるけど、だからスカ・パンクなんだよね。でも、20年前の自分が、今の自分を見てたら、やっぱり未来は明るい! って思うと思う。未だに歌を歌って、アルバムを出して。感謝って言うと違うのかな......でも、ありがとうございます、って思う(笑)。
-"スカ・パンク"の、音楽性を超えた意味合いが感じられますね。
楽しいとか、かっこいいとか、それも大切だけど、それを踏み越えたうえで見えてきたものが『【Ko-Ou-Doku-Mai】』で。今は、これを越えて何が見えてくるか、意識がそれしかない。また、これから歌い続けていくなかで、どこまで見えるのか? っていう。
-3月から9月まで続くツアー("KEMURI TOUR 2018【Ko-Ou-Doku-Mai】")でも、その片鱗が見えるのではないでしょうか。
ほんとですね。ライヴでやるのは大切なことだと思うから、頑張ります。