DISC REVIEW
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結成15年を迎えたFACTの記念すべき5作目のフル・アルバム。ミュージック・ビデオにメンバーの素顔を出すなど、節目の今年、何か吹っ切れたようにこれまでの作り込まれた"FACT"という殻を脱皮して、新たなスタートを切った彼らの新作に、期待しない訳にはいかないだろう。これまで自分たちの琴線に触れたもの全てを呑み込み、進化を遂げ、新しいものを生み出してきた彼ららしいアルバムだ。ラウドでダンサブル、というテッパンの路線を突き進みつつも、ハードコアの高速ビートやスクリーム、シャウト、ヘヴィなリフが変態的なまでに絡み合った、まさにFACTサウンドとしか言いようのない音楽がここに集結している。こんなにも多面性があるのに、どっから聴いてもFACTでしかない、という恐るべき個性を確立しつつも、まだまだこれから変幻自在な可能性を秘めていそうな、生まれたてのこのサウンドをバンドがライヴを通してどんな風に育てていくのかも楽しみだ。 山本 真由