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FEATURE

Ken Yokoyama

2014.09.19UPDATE

横山健というひとりのパンク・ロッカーの生き様を追ったドキュメンタリー映画が、新曲CDと特典映像を加えたパッケージで、ついに待望のリリース!

Writer 柴 那典

横山健というひとりのパンク・ロッカーが一体どんなことを考え、どんな風にバンドと、音楽と向き合っているのか。それを包み隠すことなく明かすドキュメンタリー映画がこの『横山健-疾風勁草編-』だ。昨年秋に上映されたその映画版に、Ken Yokoyamaの新曲CDと特典映像を加えたDVD+CDのパッケージ作品がリリースされる。

Hi-STANDARDのメンバーとして、ソロ・アーティストKen Yokoyamaとして、レーベルPIZZA OF DEATHの社長として、そして二児の父親として。日本に暮らす40代の大人の男として。時にはくだらない下ネタに子供のようにはしゃぎ、時には"兄貴"としてキッズたちの思いを受け止め、時には納得いかないことに苛立ちを抱え、そんなすべてをさらけ出しつつステージに立ちギターを掻き鳴らして歌う男の生き様が、DVDには描かれている。一貫しているのは何事にも"筋を通す"という姿勢だ。

筆者は、横山健という人と直接会ったことや話を交わしたことのある書き手ではない。彼の音楽は折にふれて聴いてきたけれども、ハイスタが青春だったタイプでもないし、Ken BandやBBQ CHICKENSのライヴに足繁く通っていたような人間でもない。ただそれでも、このDVDを観ればわかる。ロック・バンドには、意味と必然がいる。それが人を惹きつけるエネルギーの源泉になる。もちろんそんなものなくったって、アンプからデカい音を鳴らして歌えば、音楽は成立する。だけど、そこにはパンク・ロックの強度が宿らない。彼はそういうことを知っている。だから"今、なんで自分はこれをやっているのか?"ということを自らに問いかけ続ける。

ドキュメンタリーは2011年9月、横浜スタジアムで行われたAIR JAMの終了後の舞台裏から始まる。

"まず最初に思ったのは、Ken Bandを必死こいてやってた7〜8年は何だったのかなって。台無しにしちゃった気持ち"と、大舞台を終えても釈然としない面持ちで彼は自分自身の葛藤を語る。AIR JAMの開催とハイスタの復活に歓喜したファンにとっては衝撃的な幕開けだ。しかし、ドキュメンタリーは最初からこんな構成になることを予定していたわけではなかった。

そもそもドキュメントは2010年までで一区切りする予定だったのだという。序盤では、2009年から始まるアルバム『Four』のレコーディング風景に密着しつつ、MINORxU監督のインタビューによって、横山健自身が少年時代からの生い立ち、音楽との出会いやバンド結成のエピソードなど、今に至る半生を語りおろしていく。家族との関係や"思いつくことを全部やれば絶対上手くいくはずだと思ってた"というバンド初期の信念、そしてハイスタが現象となっていく過程の貴重なエピソードも明かされる。

2000年春、ハイスタの活動が絶頂を迎えていた中で、彼が精神を病んでいたことも明かされる。バンドが活動を止め、3人が袂を分かち、ソロでの活動を始めるまでのことも語られる。

基本的に彼のひとり語りが続くドキュメンタリーだが、映像から見え隠れするのは、ライヴ・サウンド・エンジニアの西片明人氏や、彼が率いるPAチームのSPCの一員である梅木一氏などの存在感の大きさだ。西片氏はハイスタの専属PAをつとめてきたキャリアの持ち主。エンジニアが、単にステージの音だけじゃなく、バンドマンの人生に深く関わっていく姿も描かれている。

そしてそのことは、このドキュメンタリーの後半、震災後に起こったことのひとつの伏線にもなっている。

3.11を経て、彼の音楽活動と人生は急展開を迎える。約1か月後に、横山健、難波章浩、恒岡章の3人はハイスタの復活とAIR JAMの開催を決める。東日本大震災への復興支援に尽力する中で、横山健は、かつての確執も"意地を張っていた"と認めるようになる。一方、西片氏はプロジェクト"東北ライブハウス大作戦"の中心人物となり、復興支援活動として物資を送ったり、被災地にライヴハウスを作るための活動を始める。横山健自身も、何度も被災地に足を運ぶ。

そんな中で、冒頭にあった2011年9月のAIR JAMが開催される。そして翌年。津波の大きな被害を受けた宮古、大船渡、石巻にはライヴハウスが建てられる。そして1年後には、念願でもあった東北開催のAIR JAMが実現する。ライヴ後の彼の表情は、2011年の舞台裏とは真逆の晴れ晴れとしたものだった。冒頭で語っていた彼の葛藤も、いつの間にか、解消されていたのだろう。

今年5月に発売された書籍『横山健 随感随筆編』の中では、BBQ CHICKENSが"心の洗濯機"、ハイスタが"ふるさと"、そしてKen Bandが"日常"であり"闘う場所"であり"オレの全て"と書かれている。こうしてアウトプットが明確になったというのも、震災以降の激動の2年半でつかみとった成果なのだろう。

CD不況が続いてきた音楽業界の停滞にも、震災以降の混乱にも、横山健という人は体当たりで"筋を通す"やり方を選んできた。

誰かに指図されるわけでもなく、周りの流れに合わせるわけでもなく、自分自身で考え、判断する。真っ当だと思うことを選ぶ。そうすることで好きなことをやり通してきた。それがパンク・ロックの生き方であることを、彼は背中で伝えてくれる。



『横山健 -疾風勁草編- 』
2014.09.24 ON SALE!!
PZBA-9 ¥3,800円(税抜)
DVD (本編117min+特典映像37分) +CD
[監督] MINORxU
[企画・制作] PIZZA OF DEATH RECORDS
amazon | TOWER | HMV


Ken Yokoyama 『横山健 -疾風勁草編-』特集!!

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