DISC REVIEW
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バンド主催の"京都大作戦2020"が、新型コロナウイルス感染拡大により中止を余儀なくされた10-FEET。その彼らから前作『ハローフィクサー』以来、1年3ヶ月ぶりになるシングルが到着した。表題曲は歌を前面に押し出したミドル・テンポの曲調で、アコギを隠し味的に用いた温かな質感を持つサウンドが印象的。柔らかなスケール感で聴き手を包み込んでくるナンバーだ。"どうやらここでお別れみたい"と冒頭の歌詞からハッとさせられるが、TAKUMA(Vo/Gt)は5月23日のブログで、5月10日に父親が亡くなったことを告白。その心境もここには綴られているのだろうか。胸の奥底に響くエモーショナルな1曲である。カップリングの「彗星」、「あなたは今どこで誰ですか?」はどちらも2分を切るショート・チューンで、ライヴ映えする疾走感に長けている。作品全体を通して、人と人の接触が危ぶまれる現在のコロナ禍に沁み入る3曲と言えるだろう。 荒金 良介