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LIVE REPORT

BUZZ THE BEARS / ALL OFF / But by Fall

2015.06.22 @下北沢LIVEHOLIC

Writer 山口 智男

この夜のトップ・バッターはメンバーが言うところの"地獄の3年間"を経て、今年3月にリリースした2ndミニ・アルバム『Believers' War』で見事、復活を遂げたBut by Fall。個人的に彼らのライヴを観るのは久しぶりだったので、現在の彼らがどんなライヴを観せてくれるのか楽しみだった。"下北!俺たちがBut by Fallだ!"とKento(Vo/Gt)が第一声を放ち、演奏はメンバー曰く"未だにライヴで助けられている"という1stフル・アルバム『Take Back Your Romance』からの「Quattro Knives VS the World」でスタート。KentoのヴォーカルにKazuya(Gt/Vo)のハードなスクリームが絡むアップテンポなロック・ナンバーだ。その後、バンドはTatsuya(Dr)が繰り出すダンサブルなビートに支えられ、Kento、Kazuya、Akkie(Ba)――フロントに立つ3人が"下北、声上げろ!""思いっきり遊んで帰ろうぜ!"と交互に客席を煽りながら、バラードの「Every Single Day」を含む新旧のレパートリーを披露。一気にラストまで駆け抜けていった。この日、But by Fallが改めて印象づけたのは、メロディック・パンクからスタートしながら、メタリックなサウンドからダンス・ビートまで、さまざまな影響を反映させた多彩な曲に挑戦してきた彼らが根本のところでは、多くの人に愛されるいい曲を作り続けてきたバンドだということだった。それは今後もバンドの大きな武器になるはずだ。遅ればせながらバンドの復活を祝福したい。

But by Fallが作った熱気を受け取り、さらに大きなものにしたALL OFFは2004年結成の5人組ラウドロック・バンド。ちなみに筆者はライヴ初体験。結論から言えば、始まりと終わりでは印象ががらっと変わった面白いバンドだった。"下北、調子はどうですか? ALL OFF始まるぞ!"so-hey(Vo)がオーディエンスに呼びかけ、演奏が始まった途端、オーディエンスがヘッドバンギングからモッシュになだれ込んだ「Rising Up」を始め、昨年、リリースした1stフル・アルバム『ALL OFF』の収録曲を中心に全8曲を披露。最初はゴリゴリのハードコア・バンドかと思いきや、スカ・ビートやシンガロングを誘うアンセミックなメロディを交えながら劇的な変化を遂げる「Rising Up」以下、チャラいパーティー・チューンからラップ・ロック、そしてso-heyが歌い上げるエモいロック・ナンバーまで、曲ごとにクルクルと変わるイメージに面食らいながら、最終的にはALL OFFというバンドのイメージがしっかりと記憶に残っているのは、人を食ったジョークを交えながら、真摯なメッセージを訴えかけるso-hey以下、メンバー5人のキャラ及びプレイがそれぞれに立っていたからだろう。モッシュ、シンガロング、ツーステップ、タオル回しとオーディエンスをライヴに参加させることで、最後まで楽しませたALL OFFはバンドの魅力をぎゅっと凝縮したような「Just Tonight」でライヴを締めくくり、トリのBUZZ THE BEARSにバトンを渡した。

泣きの新世代メロディック・パンク・バンドと謳われる3人組、BUZZ THE BEARSは新しいライヴハウスのオープンを祝うライヴだったためか、1曲目の「タイムマシーン」以下、この日は泣きの部分は抑え、最後までアップテンポの曲をテンポよく演奏していった。"オー・オー"というオーディエンスのシンガロングを聴き、越智健太(Vo/Gt)が満面の笑みを見せた「ロンリーナイト」、ファンが輪になって、踊り始めた「サタデーナイト」。序盤から会場全体を和やかなムードが包み、一体感が生まれた。"月曜日なのにこんなに集まってくれてありがとう!"越智が短い挨拶を挟む。その後、モッシュしたり、跳びはねたりしながらもオーディエンスのシンガロングは最後まで止まず、切なさや懐かしさといった魅力も持つこの3人組のレパートリーがいかにファンに愛されているか、その事実を改めて印象づけた。そして9月に新しいアルバム『Q』をリリースすることと、10月から始まるツアーのファイナル公演を渋谷CLUB QUATTROで行うことを発表した彼らは最後にファンと一緒に「約束」を歌い、この日1番の一体感を作り上げたあと、終演を惜しむファンのために予定になかったアンコールに応え、この日、LIVEHOLICに集まった人たちの気持ちを満たしたのだった。

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