MENU バンドTシャツ

激ロック | ラウドロック ポータルサイト

LIVE REPORT

WANIMA

2016.02.27 @Zepp DiverCity

Writer 西廣 智一

WANIMAの全国ツアー"Are You Coming? Tour"ファイナル公演が2月27日、Zepp DiverCityにて開催された。
 
このツアーは昨年11月に発売された1stフル・アルバム『Are You Coming?』を携えて、同年11月21日から32公演にわたり実施されたもの。全公演ソールド・アウトという快挙を成し遂げたツアーでは各地で様々なバンドとの対バンが繰り広げられ、最終公演では彼らがリスペクトするMONGOL800との共演が実現。ステージ上と客席が終始笑顔に包まれた、歓喜の一夜となった。
 
トップバッターのMONGOL800はキヨサク(Ba/Vo)の"遊びましょーっ!"というユルい挨拶とともに、ライヴをスタートさせた。軽快なスカのリズムでフロアが温まり始めると、バンドはすかさず代表曲「あなたに」をドロップ。すると会場の熱気は急加速し、観客が一丸となった大合唱が沸き起こった。新旧の人気ナンバーを次々に繰り出すものの、バンド自体は非常にリラックス・モード。MCでは"こんな感じでどんどん進めちゃってもいいですか?(演奏時間は)短いですけど、MONGOL800と遊びましょう"と優しく語りかけ、再び曲に戻るとレゲエや沖縄民謡のエッセンスを注入したメロディック・パンクで会場を盛り上げる。終盤に突入すると人気のナンバー「小さな恋のうた」も飛び出し、曲後半では観客のみによる大合唱が発生。さらにアットホームな客席を前にしたキヨサクが"ちょっと俺、WANIMAを沖縄に呼びたいわ"と、11月5~6日に地元・沖縄での開催が決定した主催イベント"MONGOL800 ga FESTIVAL What a Wonderful World!! 16"にWANIMAを出演させたいとアピールする場面もあった。こうして会場がハッピーな空気に包まれたところで、MONGOL800は最後に「PARTY」を演奏して、全9曲におよぶライヴを終えた。
 
転換を経て会場が再び暗転すると、WANIMAのライヴではおなじみのSE、Scatman John「Scatman」が大音量で流れ始める。このビートに乗せてステージに登場したメンバー3人は、満面の笑みで客席に挨拶。KENTA(Vo/Ba)はバンド・ロゴの入ったタオルを高く掲げ、FUJI(Dr/Cho)は手拍子で観客を煽る。そしてKO-SHIN(Gt/Cho)が笑顔で一礼すると3人向き合い、拳をぶつけ合ってから演奏姿勢へ。KENTAは"みんな、手振って!"、"その場でジャンプ!"などと次々に煽り、"やっぱりどう考えても、MONGOL800とお台場が好きな我々。PIZZA OF DEATHから、WANIMAです。「Are You Coming? Tour Final」、開始します!"と力強く宣言して、「ここから」にてライヴに突入した。フロアの熱量は早くも沸点に達し、クラウド・サーファーが続出。バンドは矢継ぎ早に「夏の面影」を演奏すると会場は観客の大合唱に包まれる。ブレイク・パートで演奏をストップすると、KENTAがクラウド・サーファーに向けて"なんで人の上転がっとる?"と冗談を放つ一幕も。そのまま、今度は間髪入れずに「エル」へとなだれ込む。バンドのサウンドはひとつの大きな固まりとなってフロアへ飛び出していき、その固まりは満員のフロアを転がっていくことでより大きなものへと進化して再びステージに戻る......そんな"音楽と感情のキャッチボール"はライヴが進むにつれて密度、濃度を増していった。
 
3曲終えたあとのMCではKENTAとFUJIの小芝居から、FUJIが大塚愛の「さくらんぼ」を歌い始め客席の笑いを誘う。そんなKENTAも下ネタを交えたトークで観客を爆笑させつつ、「リベンジ」でライヴを再開。続く「Japanese Pride」ではハンドマイクを手にしたKENTAが"お互いどれだけ楽しみ続けるか勝負だ!"と叫び、フロアを沸かせる。そんなKENTAの歌を支えるように、FUJIは力強いビートを叩き出し、KO-SHINも鋭いギタープレイを聞かせる。さらに2人はコーラス・ワークでもKENTAの歌に華を添え、鉄壁のアンサンブルで観客を魅了。またプレイ面だけではなく、「いいから」では観客の大合唱に合わせてKENTAがダンスする場面もあり、すべての点においてライヴは終始ツアー・ファイナルに相応しい盛り上がりを見せた。
 
ライヴ中盤ではスロー・テンポで心地良いレゲエ・ナンバー「SLOW」、パワフルなメロディック・パンク・チューン「TRACE」から、KENTAの"18で東京に出てきて、お客さんが2~3人だったころから歌ってきた曲、歌っていいですか?"という言葉に導かれるように「THANX」へと続く。フロアでは常に観客の合唱が鳴り響きながら、頭上をクラウド・サーファーが転がっていく状況。そんなカオスで最高潮と呼べる環境の中、バンドは「雨あがり」、「BIG UP」と1stミニ・アルバム『Can Not Behaved!!』からの楽曲を連発する。「BIG UP」ではステージ後方に設置された2つのミラーボールが回転し、眩い光を放ちながら会場をダンス・ホールへと一変させた。
 
終盤にはKENTAが"4歳から一緒のKO-SHINとコピーしてたモンパチさんをツアーに呼べて嬉しい"と感慨深げに語る。続けて"全国のみんなと一緒に作っていったライヴが、忘れかけていた気持ちを思い出させてくれた。この恩は音楽でみんなに返していきます。これからもWANIMAについてきてください!"と感謝の気持ちを伝えると、「1106」をエモーショナルに歌い上げた。そして"ラスト1曲いいですか? また必ず逢える日まで!"と叫んで、「また逢える日まで」で元気よくライヴを終えた。
 
圧倒的なステージングで観客を魅了したWANIMAに対し、フロアからはアンコールを求める熱いハンドクラップが鳴り響く。しばらくするとメンバー3人がステージに勢いよく再登場。KENTA自らが"アンコール!"と叫んで会場を盛り上げると、「HOME」でライヴを再開させた。会場の明かりがついた中で、客席の笑顔を前に演奏するバンドは、"ずっと続くように!"とそのまま「つづくもの」を連発。"お台場ーっ!"、"WANIMAーっ!"などのコール&レスポンスを繰り返しながらフロアの熱気をさらに高めていき、最後の最後にファスト&ショート・チューン「昨日の歌」で全32本におよぶ全国ツアーを締めくくった。
 
ツアーを終え感無量と言わんばかりの笑顔でステージに並んだ3人。ここでKENTAが"KO-SHINの一本締めでライヴを終えよう"と提案すると、突然KO-SHINが"少しだけ気持ちを伝えさせて......"と話し始めるという驚きの展開に。KENTAが茶々を入れる中、KO-SHINは"......本当にありがとうございました。これからもよろしくお願いします!"とシンプルな言葉で感謝の気持ちを伝え、そのまま一本締めをして無事ツアーを完走した。
 
これにてWANIMAの"Are You Coming? Tour Final"は完了したのだが、観客の大半はその場を動こうとせず、先ほどよりも大きな声とハンドクラップでアンコールを求め続ける。結局バンドがステージに戻ることはなかったものの、熱のこもった声援とハンドクラップは終演を告げるアナウンスが流れてもなお続いた。オーディエンスにとってそれほどまでに中毒性の高いWANIMAのライヴは、今後も様々な形で行われる。と同時に、全国各地で密度と濃度の高い"音楽と感情のキャッチボール"を繰り広げることだろう。

  • 1