MENU バンドTシャツ

激ロック | ラウドロック ポータルサイト

LIVE REPORT

"MEGA VEGAS 2025"DAY2

2025.03.23 @神戸ワールド記念ホール

Writer : 内堀 文佳 Photographer:Viola Kam (V’z Twinkle) 、鈴木公平

2023年から3年連続、通算5回目の開催となる、Fear, and Loathing in Las Vegas(以下:ラスベガス)の主催フェス"MEGA VEGAS"。2025年も、彼等の地元 神戸に位置する、兵庫県内最大の屋内会場 ワールド記念ホールを舞台に繰り広げられた豪華ラインナップによる異種格闘技戦が2日目を迎え、この日はThe BONEZ、RAISE A SUILEN、SPYAIR、coldrain、Crossfaith、SHANKの6組が集結。最高気温が20度を超え温かい一日となったものの、まだ主役は長袖だった当日、筆者がいたスタンド席ですら汗ばむぐらい場内の熱気が凄まじく、フード・ブースのブリュレクレープの冷たさが身体に染みた"MEGA VEGAS 2025"2日目公演をレポートする。


SHANK


MAD CADDIES「Backyard」をSEに登場した"MEGA VEGAS 2025"後半戦の先鋒 SHANK。1曲目「Set the fire」でタイトル通り場内のテンションに火を付ける。スカ調の「620」では松崎兵太(Gt/Cho)が怪しい雰囲気を纏うイントロのフレーズを経て軽快に刻むカッティング、庵原将平が歌いながら奏でるグルーヴィにうねるベースライン、リズムが重要なこの曲を支える早川尚希(Dr/Cho)のビートが合わさり、オーディエンスに拳を上げさせ、ツーステを踏ませ、ダイバーを誘発させる。
初めてラスベガスに会ったときはフェスの打ち上げで暴れていて、"なんて野蛮な人たちなんだろう"、"仲良くなれないんじゃないか"と思っていたが、"ここ呼ばれたってことはたぶん仲良くなれたんだと思います。嬉しいです、ありがとうございます"と庵原が語り、「Departure」へ。そのまま続けて「Life is...」、「Keep on Walking」、「Good Night Darling」を繰り出していく。ストレートに明るく爽やかなサウンドからツーステを踏みたくなるスカ・チューン、疾走感がひたすらに気持ちがいいナンバーと、編成はシンプルだがバラエティ豊かな楽曲たちを披露してきたが、どれもグッド・メロディが心を掴んでくる。

両手に持ったペンライトを頭上でくるくる回す観客に"何それ?"、"テンション上がってるっていう意味ですか?"と庵原が聞いていたが、観客が違うシーンのアーティストに出会うだけでなく、異なる手段で感情の高ぶりを表す各シーンのファンがごちゃまぜになっているフロアのカオスっぷりが見られるのも"MEGA VEGAS"の醍醐味。
楽しい時間が過ぎるのはあっという間、気が付けば持ち時間は残り3分。最後に「Love and Hate」を鳴らし、セットを締めくくった。


RAISE A SUILEN


紡木吏佐(チュチュ)がDJ台の上に立ち「Apocalypse」からRAISE A SUILEN(以下:RAS)のターンがスタート。チュチュに焦点を当てた曲なだけあって電子音がメインとなり、サビでは手を上下にバウンスさせることで、ロック・フェスの会場というよりクラブのフロアのような空間を作り出していく。各メンバーが、それぞれが演じるキャラクターの声を披露しつつ自己紹介すると、次の曲に行く前に"みんなの声を聴きたい"とRaychell(レイヤ/Ba/Vo)の歌に合わせてコール&レスポンス。スタンド席はもちろん、袖で観ていたSo(Fear, and Loathing in Las Vegas/Clean Vo)にも振り、満面の笑顔で歌う姿がステージ横のヴィジョンに映し出される。そうして演奏された「Bad Kids All Bet」でのシンガロングは、初めて彼女たちのライヴを観るという人でも参加できたことだろう。

さて、2023年にRASが"MEGA VEGAS"に初出演した際はラスベガスが楽曲提供した「Repaint」でSo、Minami(Vo/Key)、Taiki(Gt)とのコラボレーションが観られたが、今回SoとMinamiがステージに呼び込まれて披露されたのは「Keep the Heat and Fire Yourself Up」。"BanG Dream!(バンドリ!)"発のバンドたちはオリジナル曲だけでなくカバー曲も発表しており、今回ステージでコラボしたこの曲は以前RASがカバーしていた。RASアレンジに本家の2人の声が加わったバージョンが聴けたのは、なんとも貴重な体験だ。そんな2人の登場や、Tetsuya(Ba)がペンライトを持ってフロアでそれを観ていたことがMCでのRaychellの呼び掛けによって判明したことによってさらに沸いた会場に「V.I.P MONSTER」、「OUTSIDER RODEO」をお見舞いしてフィニッシュした。


Crossfaith


SE「The Final Call」からそのまま1曲目「ZERO」に突入したCrossfaith。"この2日間で一番ヘヴィなサウンドでぶちかましに来たぞ!"というKoie(Vo)の言葉に違わない、圧倒的に重く激しい爆音をオーディエンスに叩き付け、各所でモッシュ・ピットが発生した。こんなにもヘヴィでありながら電子音や疾走するサビ等、随所にキャッチーな要素や展開も入れることで、場内のボルテージを上げるスピードをどんどん加速させていく。「Catastrophe」では会場全体がジャンプしたりヘドバンしたり、拳と共に怒号を上げたり、あらゆる方法でエネルギーを爆発。Teru(Prog/Vision)もステージ前方に出てきてラップを披露しつつフロアを煽る「L.A.M.N」、そして久しぶりの「Devil's Party」も投下され、テンションは上がり続ける一方だ。

ここでKoieが"乾杯するね"と缶ビール......ではなく、"MEGA VEGAS"とCRAFTROCK BREWINGがコラボしたオフィシャル・クラフト・ビールの入ったプラカップを掲げ"乾杯!"と一口。カップに貼ってあったTaikiの顔のステッカーもはがして口に含んでみたが、すぐに吐き出した。そんなコミカルな一幕も束の間、まだまだ暴れ倒していくべく、Minamiをステージに呼び「Countdown To Hell」へ。2人が極悪シャウトを響かせ、Teruもその咆哮に加わり、どこまでもヘヴィネスを増強していく。さらにはウォール・オブ・デスも発生して上がり続ける熱気は天井知らずだ。"好きなように踊るならこの曲しかないっしょ!"とKoieの3カウントでサイリウムが宙を舞った「God Speed」、そして名曲「Monolith」で畳み掛けフロアも最後まで大暴れの限りを尽くした。


SPYAIR


Crossfaithとcoldrainに挟まれる形で4番手を務めたSPYAIR。前後の両者が放つサウンドとは異なるかもしれないが、ライヴに懸ける気合は変わらないことをYOSUKE(Vo)が開幕のシャウトで見せつけ、早速「現状ディストラクション」へ。続けて「イマジネーション」と、YouTubeのMV再生回数が4,500万回再生以上(「イマジネーション」は4,900万回再生以上)を誇るトップ2の楽曲を繰り出し、大量のダイバー、大音量のコーラスで彼等が会場を自分たちのものにしていることが分かる。"なかなか檻から出てこないSPYAIRを檻から出してくれました"とラスベガスに感謝しつつ、この日一番ポップなバンドかもしれないが、誰よりもハートに訴え掛ける意気込みをYOSUKEが語り、彼が加入してから初めての新曲として発表された「RE-BIRTH」を披露。イントロで爆音の咆哮を上げたかと思えば、サビでは透き通るような声で歌い上げ、今のSPYAIRの魅力を伝えていく。

KENTA(Dr)、MOMIKEN(Ba)、UZ(Gt/Prog)それぞれのソロ・パートも盛り込まれた「RAGE OF DUST」から、"Hey!! Hey!!/サムライハート"の大合唱を巻き起こして、長年愛されてきた名曲「サムライハート(Some Like It Hot!!)」に繋げる。YOSUKEがアリーナを区切るブロックの間の通路を歩いて、後方にいる観客とも触れ合いに行き、広いワールド記念ホールを小さなライヴハウスと同じぐらい距離感が近くて温かい空間にしていく。"今日でバイバイは嫌だからさ、またどっかで会おうぜ。約束。約束の証に、最後、今日は元気なお前たちと一緒に歌いたいなと思います"と届けられた「オレンジ」では、ステージの照明に加えて会場中のペンライトがオレンジ色に輝き、ラスサビ前のフロア最前はリフトでいっぱいに。温かい曲とこの温かい光景が合わさり、思わず涙腺が刺激されてしまった。