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INTERVIEW

SPYAIR

2015.11.13UPDATE

2015年11月号掲載

SPYAIR

メンバー:IKE(Vo) UZ(Gt/Prog) MOMIKEN(Ba) KENTA(Dr)

インタビュアー:沖 さやこ

-ニュー・アルバム『4』、様々な音楽性の曲や、様々な作り方の楽曲があって、方法が広がっている印象がありました。遊び心がある作品ではないかと。

UZ:ありがとうございます。このアルバムは、この2年の間のいろんな時期に作った曲が収録されているので、この2年間がぎゅっと詰め込まれたものになったと思います。『MILLION』(2013年リリースの3rdアルバム)を作り終えた直後に、次なるアルバムの設計図を作って、その設計図に沿うように曲を作っていたんですけど......あのTwitter事件がありまして(※IKEが2014年5月に"SPYAIRを辞めます"とツイートをした際のこと)。その瞬間に設計図だけでなくバンド自体も白紙状態になって......話し合いを重ねてバンドを復活することになって。でもメンバーそれぞれいろんな気持ちの変化もあったので、もともとあった設計図通りにアルバムを作ろう!とはならず。

-気持ちの変化というと、具体的にはどのようなことが?

UZ:1曲作るのも、今までとは全然感覚が違ったんですよ。音楽から離れた時期があったから、曲を作る感覚が戻ってくるまでに時間がかかったというか。そういうときに助けてくれたのが、「ROCKIN' OUT」(Track.1/2015年3月リリースのシングル表題曲)のプロデュースもしてくれた大島こうすけさんだったんですよね。"この状態だと自分だけでは曲を作れないな"と思ったので大島さんの手を借りて少しずつ曲を作っていって。だからとにかく曲を作って、ひとつひとつ形にできてきて......そのうちに"お、これはアルバムにできるんじゃないか"と。これまでは設計図に基づいた楽曲作りをして、アルバムを構築していきたいタイプだったから、そうじゃないやり方でもひとつ作品として作り上げることができたのは自分でも驚いてますね。"あ、意外とちゃんとまとまるんだな、立派な作品になったな"って(笑)。

-体当たりで作っても形にすることができたと。

UZ:"全体をちゃんと考えて作らないと最後まで聴けるアルバムになるわけねえじゃん"と思っていたところがあったんです。でもこのアルバムはこのアルバムで振り幅が大きくなって、すげえ楽しいアルバムになったなと思うし。時には体当たりするのも悪くないなと。

-"曲を作る感覚が戻ってこない"時期について詳しく教えていただけますか。

UZ:まったく作れないというわけではなかったんですけど、なかなかしっくりこない......という感じが続いてたんです。復活を決めて最初に作ったのは「COME IN SUMMER」(Track.4)、その次が「Far away」(Track.5)なんですけど、この2曲は"悪くないんだけど、なんかひと押し足りないな......"と思ったので大島さんにプロデュースしていただいて、アレンジを手伝ってもらって。そのあとにドラマ"THE LAST COP/ラストコップ"の主題歌の話をいただいて「ファイアスターター」(Track.2/2015年7月リリースのシングル表題曲)を作って、そこでやっと"あ、戻ってきた""これだこれだ!"という感覚がすごくありました。そういう過程をそのままアルバムに入れてるんですよね。

-ああ......「ファイアスターター」や「アイム・ア・ビリーバー」(Track.3)のようなシングルで見えていたSPYAIRは、その時期を乗り越えたあとのSPYAIR。『4』にはそれよりも前の葛藤や試行錯誤の時期も収められているということですね。それは以前のSPYAIRでは考えられなかったことですよね。

UZ:そうなんですよ。 "設計図通りだ!"と思えないと世の中に出したくないタイプだったんですけど、今回は、この2年間の俺たちのいろんな表情を包み隠さず詰めてもいいんじゃないかなと。

KENTA:復活を決めたあとすぐのUZは"曲作りの楽しさってどんな感じだったっけ?"ってずっと言ってたんです。以前は速いペースで曲を作ってきてたし、一度曲作りに入るとできあがるまでワクワクしながら制作にのめり込んでいたのに、その時期はすぐ席を立ってしまったり。"集中力が持たない"とずっと言っていたり。活動停止中の6ヶ月で4人全員いろんなことが変わったんだなと思います。人生において(今までの考えなどを)根本から覆されるような出来事はあるんだなって。

UZ:ああ......そうだね。

KENTA:UZは曲を作ること、MOMIKENは歌詞を書くこと、それぞれすごくつらくて大変な作業ではあるんだけど、そのできあがりを楽しみにワクワクしながら作っていたんです。そんなふたりが"何をしたらいいかわからない"と言っていて......。それって大変なことじゃないですか。そういう時期を経てのこのアルバムなので、本当にこの2年間を切り取ったアルバムだと思います。10年後20年後にこのアルバムを聴いたとしても、絶対にこのときのことを生々しく思い出すと思うんです。それだけ4人それぞれのいろんな想いが詰まったものになりました。

MOMIKEN:KENTAが言ったように、たしかに手こずりました。活動が走っている状態で作るなら自分たちが行くべき道や伝えることも見えてたのかもしれないんですけど、そのときは活動自体が止まっていて、復活を決めて"じゃあ曲作りから始めましょう"っていう段階だったので、届ける相手の顔が見えにくくなっていて。届ける側の自分たちと届ける相手との関係がどうあるべきか?ということもかなりぼんやりとしてたので、どういう言葉を届けたらいいのかがなかなか整理できなくて。だから少しずつ感覚を取り戻していった感じですね。

-"バンドやるぜ!"というモードになったから復活宣言をしたわけではなかったと。その状況で復活を決めた理由は?

IKE:SPYAIR以外やることが何もなかったんです。それが復活を決めた1番大きな理由。誰かが求めてる求めてないとかじゃなく、歌うこと以外の術を知らないし、バンドをやっていくことに意味があると思ったし......だから"失くなったものを取り戻さなきゃ"という思いはすごく強くあったかな。SPYAIRがないと人生が暗い。そこしか行きたいと思える場所がないと思い知ったんです。それだったら"やるべきでしょう!"と。

-「ファイアスターター」の"名もない俺らに帰る場所はない"の一節は、活動停止中のIKEさんの言葉から生まれた歌詞だとMOMIKENさんがインタビューでも話してくださいましたよね。そのときのような状況だったと。

IKE:俺はSPYAIRから逃げようとしたけど、逃げ場所がなかった。どこに行ってもSPYAIRのヴォーカルで、SPYAIRを辞めたヴォーカルだったんです。人に会うたびに辞めた理由を訊かれて......これは耐えられるものじゃないなと。こんな人生クソくらえだ!と思っちゃったんです。そういうときにメンバーが少しずつ話す機会を設けてくれて復活の方向に向かっていって。ただ、復活は決めたものの、すぐには自信を持てなかったんです。だからこの前(「アイム・ア・ビリーバー」リリース時)のインタビューで話した"復活後にみんなを頼ろうと思った"というのは、そういうところもあって。みんなに前に立ってもらって俺は後ろにいこうと!

KENTA:それずっと言ってたよね(笑)。"俺は後ろにいる"って超保守派だった。

UZ:パート的にどうやったって無理なんですけどね(笑)。

IKE:まあそうなんだけど(笑)、気持ち的な問題でね。みんなについていこうと思ってた。そういう紆余曲折ある中でひとつずつできあがっていったのが『4』なので......実際、ニュアンスとしてそのときそのときの空気がめちゃめちゃ入っていると思う。すごく人間的というか......。でもそれは聴いてくれる人にとっては魅力的に映るかもしれないし――客観的に聴いて"あ、いいものだな"と思えるので、今までで1番広く届いていくアルバムになるんじゃないかなとも思います。この4枚目が1番キャッチーで、今後SPYAIRを代表する作品になっていくんじゃないかなと思ってます。ユルくやっているところもあれば、締めてるところは締めてて。そういう緩急が味になっているかと。