INTERVIEW
SPYAIR
2015.11.13UPDATE
2015年11月号掲載
Member:IKE(Vo) UZ(Gt/Prog) MOMIKEN(Ba) KENTA(Dr)
Interviewer:沖 さやこ
-いや、大丈夫だと思います。ラスト前のUZさんのラップは、スピード感やエモーショナルな部分が効果的に出ているなと思いました。
UZ:最初はラップを入れるつもりなかったんですよ。けどこの曲でプロデューサーとして参加してくれたtasukuさんから "ここにラップ入れません?"と言われて。
IKE:それでMOMIKENもススッとラップの歌詞書いてきてね。
MOMIKEN:うん。これを作ってるときはもうだいぶ調子が戻ってきてるときだったんで。
IKE:UZ史上最速ラップですよ。噛んだら終わりだね(笑)。
UZ:そうなんすよ。ライヴで歌えるか心配で(笑)。
-ははは。UZさんのラップ、復活後から結構増えてますからね。ラップだけでなくTrack.10「4 LIFE」ではメイン・ヴォーカルを担当してらっしゃいますし。この曲は活動停止期間中にIKEさん以外のメンバー3人でIKEさんに向けて作った楽曲なんですよね。
UZ:曲自体を作ったのは昨年のZeppツアーを回っているときで。"辞めます"ツイートの前にIKEの喉の調子が悪くてライヴを中止して2週間くらい空いたときですね。歌詞はその事件のあとに。
MOMIKEN:あの事件が起きたあとにUZから"こういう曲があるんだけど"と聴かせてもらって。そのときはIKEが戻ってくるかどうかもわからない時期だったんです。だからもし彼が帰ってこなくて3人でステージで歌ったとしたら彼もどこかでこの曲を耳にするかもしれない、そしたら自分たちの想いが伝わるかもしれない......という話から3人で作っていったんですよね。
-......なんて泣ける話なんですか。
MOMIKEN:ですよね~(笑)。
UZ:そういうエモさ極まりない曲になっています(笑)。
IKE:あ~......恥ずかしいっすねぇ......(笑)。やっぱり俺は恥ずかしいですよ。でも時間が経てば何も考えずに聴ける曲にもなっていくと思うし。そうなったときにまた新しい何かが見えてくるんでしょうね。俺はこの曲でSPYAIRを客席から観られるんですよ。
UZ:これはSPYAIRだけどSPYAIRじゃないからね。
KENTA:そうなんだよね。複雑な曲なんだよ。
-4人それぞれがいろんなものを背負っている曲ですね。
IKE:バンドは曲がないと進んでいけないじゃないですか。曲がないと理由づけもできなかったりして。この曲はいろいろあった事件のうちのひとつの記録として大事な1曲ですよね。
KENTA:この曲を笑ってライヴでできるようになって、笑って観れるようになったときが、(わだかまりが)全部なくなったときだろうね。
UZ:んー、結構遠いっすね(笑)。単純にSPYAIRの音楽が好きっていう人には"歌ってるこいつ誰?"で終わると思うんだけど、SPYAIRの歴史や人間関係を含めてSPYAIRを好きでいてくれる人には特別な曲になると思う。だからこの曲に関してはみんなしばらく憂いを帯びますよね。お涙なしには......な歌詞ですもんね。
IKE:ちょっとグッとくるんだよな......。ずるいっすね、音楽って。
UZ:俺らの青春です。
KENTA:遅いなー!
-ははは。バンドは青春でしょう。
UZ:30過ぎて青春って何?って感じだけど、俺らはそれを堂々とやってますね。
IKE:バンドって青春していられるんですよね。青春してても成り立つというか......。普通にこの歳で青春してたら仕事にはならないもんね(笑)。激ロックに出てるバンドもみんな青春だと思うし。音楽に携わる人たちはそういうものを共有できてると思うから、いいなあって思いますよね。
-「4 LIFE」から「イマジネーション」(Track.11)の流れがまたいいんですよね。2曲とも似たニュアンスのある曲ではあるけれど、「イマジネーション」の方が洗練されているから「4 LIFE」の青さが強調されるんです。だからこそ4人の大切さが沁みますし。
KENTA:それに「Stand by me」(Track.12)は歴史を語る曲ですからね。この2曲に挟まれる「イマジネーション」は本当にずるい立ち位置だね(笑)。
IKE:「イマジネーション」が曲の繋がりですごくいい場所にいて。たぶん今までの聴き心地と変わると思うんですよ。『4』の「イマジネーション」になったのかな......と思ってて。
-そうですね。それでラストの「Stand by me」という流れが、ものすごく響いてくる。「Stand by me」はIKEさん、UZさん、MOMIKENさん、KENTAさんの4人の像がすごく出ているんですよね。曲の終わり方もまた。
UZ:ひとりずつ減っていって、最後ヴォーカルだけで終わるんですよね。
IKE:......もうひとりになりたくないですけどね(笑)。バンド感がしっかり含まれている曲だと思います。バンドらしいなー......って、ある意味1番思ってるかも。
UZ:そういう音にしたいなって。メンバーそれぞれが自分の音に責任を持っているし、らしさが出てきたから。そういうものを活かした音楽をやっていきたいな......という気持ちがすごくあって。それがすごく反映されていて、今後に繋がっていくんじゃないかなと思いますね。バンドが生々しくなっていく。歌詞も今の俺らの年代感があるし。
IKE:「Stand by me」は俺らより上世代の人なら"わかる~!"って言ってもらえると思うよね。という意味でも『4』は若い人が求めていることも、自分たち世代やそれ以上の世代の人たちが求めているものも、幅広く網羅できてるアルバムじゃないかなと思ってるんです。聴きやすいものに仕上がったんじゃないかな。
-いろんな世代に響く、それがSPYAIRのロックだと思います。
IKE:ロックというジャンルに......俺は実は壁があると思ってるんです。すごくロックが好きな人はどうもロックという枠から出られないと思ってて。そんな壁を開けるようなアルバムになってると思うし、ロックはちょっと......と思ってる人にはロックに触れるきっかけになってくれたらいいなと思うし。せっかくEDMからバラードからド直球のロックまで様々なジャンルの音楽が入っているので、どれか掬い上げて拾って、美味しいなと思ったらSPYAIRだけじゃなくてもっと他のアーティストの音楽を食べてみればいいと思うし。他のジャンルとの繋がりの1枚になってくれたら最高だと思います。