DISC REVIEW
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2014年5月、IKE(Vo)が声帯ポリープと急性声帯炎を併発したことで開催中だったツアーを中止し、沈黙を守っていたSPYAIRが声明を出したのは7月下旬。"解散しません"と宣言し、新曲「GLORY」を公開した。このベストはその楽曲を1曲目に、逆時系列でシングル曲が並んでいるため、曲が進むごとにバンドの歴史が巻き戻っていくような感覚になる。そしてラストに我々を待ち受けるのは、ピアノとストリングスが用いられた壮大なロック・バラードの新曲「あの頃、僕らは同じ未来を」。歴史をひとつひとつ丁寧に遡り、立ち返った先に現在の4人の音が鳴るということは、このベスト・アルバムは第1期のエピローグであり、第2期のプロローグなのだ。困難と苦労を全員で乗り越えた彼らは、間違いなくこれまで以上に強い絆を結び、邁進していく。このアルバムは"第2のスタート・ラインに立つ"という意思表示であり、高らかで晴れやかな宣誓だ。 沖 さやこ