INTERVIEW
Crossfaith
2018.08.06UPDATE
2018年08月号掲載
Member:Koie(Vo) Kazuki(Gt) Tatsuya(Dr)
Interviewer:村岡 俊介(DJ ムラオカ)
2015年9月にリリースしたフル・アルバム『XENO』以来、満を持して約3年ぶりにフル・アルバム『EX_MACHINA』(読み:エクス・マキナ)をリリース。今作は作品全体を覆うテーマとして、"そう遠くない未来"を舞台にしたコンセプト・アルバムとなっており、今回の取材では歌詞世界についても突っ込んで訊いている。リリース後には様々なジャンルをマッシュアップしたオルタナティヴ・パーティー"NITROPOLIS"の開催、そして"World Tour 2018"と、ビッグ・イベントを控えているKoie、Kazuki、Tatsuyaに話を訊いた。
-アルバムの話をする前に、6月12日から6月末まで"EUROPE SUMMER 2018"と称したタイトなヨーロッパ・ツアーを行っていたけど、手応えはどうだったかな?
Koie:めちゃくちゃ良かったですね。いわゆるヨーロッパのフェスを巡業していく、みたいなのは4年ぶりで。4年同じステージに立ってないって結構長いんじゃないかと思うんですけど、実際その場所に行ってライヴしてみたら、前回よりもお客さんがかなり増えてて。もう、大成功と言っていいんじゃないかなと。Crossfaithってバンドがまだ認知されてて、こんなにたくさんの人が日本以外の土地で集まってくれるっていうのは嬉しかったですね。改めて、やっぱりヨーロッパ攻めるべきだなって思いましたね。
Tatsuya:今回は、初めて出るフェスも結構多かったんですけど、それでも俺たちのステージ時間が始まると、後ろの方からたくさんのお客さんが来てくれて。注目されてるんだなっていうのが改めてわかって、ヨーロッパすごくいいなって思いました。
-さっき"まだ"認知されてるって表現が出たけど、お客さんが増えてるっていうのは、ヨーロッパに行かない間にも、ネットとかを通して新しいファンが増えてきてるってことだよね。
Koie:そうですね。2014年以降は、バンドとしてすごく動きがあったので。『XENO』(2015年リリースの4thフル・アルバム)を出したり、あとは『New Age Warriors』(2016年リリース)から『FREEDOM』(2017年リリース)、『WIPEOUT』(2018年リリース)とシングルのリリースもあったりとか。その作品が、ちゃんと海外でも響いてたのかなって思いましたね。
Kazuki:ほんとに、4年間行ってなかったっていうのを感じなかったですね。
-"おかえり!"的なファンもいつつ、"はじめまして!"の新規ファンもいつつ。
Koie:4年前の"Download Festival"では俺たちは2番目に出て。ゴールがヘッドライナーだとしたら、それは自分たちの中でのひとつの中継地点というか。そのときの自分たちにできることをやって気づいた、"こういうところは俺ら、まだ足りへんな"ってところをちゃんと補完してこれたんやなっていうのを、今回のツアーでは感じられましたね。さらにたくさんのお客さんを巻き込んでいけるバンドに、俺たちはなってきてるんじゃないかなって。
-今回のヨーロッパ・ツアーってフェス以外のライヴも?
Koie:普通のショーもありました。BULLET FOR MY VALENTINE、ASKING ALEXANDRIA、DEDとはオランダのアムステルダムでやりました。
Kazuki:それが初日(6月12日)だったんだよね。
Koie:あとは、夏フェス・シーズンで回ってるバンドがサイド・ショーみたいな感じでやるライヴに出演したり。UNDEROATHとは、フェスも入れたら4本くらい一緒にやったかな。昔からずっとUNDEROATHは好きやし、かなり影響を受けてるバンドのひとつで、ヴォーカル的に言うなら、シャウトを始めたきっかけがSpencer(Chamberlain/Vo)やったりもして。なので、すごく感慨深かったですね。しかも、彼らはいったん解散して再結成して、また走り出したバンドで。正直、再結成のバンドってしょっぱいバンド多いじゃないですか(笑)。でも、UNDEROATHはまったく変わってなかったですね! そういう、"やるからには全力でやる"っていうアティテュードも、俺らと通じるものがあるなって。実際、そういうところを彼らも認めてくれてて、"世界中一緒にツアー回ろうぜ!"って言ってくれたりして、すごく嬉しかったですね。周りの友達とかに言いふらしたいです(笑)。
-お互い、走り続けてきたバンドだからこそ実現した出会いだよね。彼らが再結成してくれなかったら実現しなかったわけで。
Koie:そうですね。
Tatsuya:一緒にツーマンでライヴしたときに、毎回ちゃんと俺らのライヴを観てくれてたんですけど、"Crossfaith もUNDEROATHもライヴっていうリアルなものに重点を置いてるっていうところに近いものを感じる"って言ってくれて。昔から聴いてる、憧れのバンドでもある彼らにそう言ってもらえるのは、すごく嬉しかったですね。
-今回のヨーロッパ・ツアーで築いた人間関係がまた"ACROSS THE FUTURE"(※Crossfaith主催イベント)に繋がっていくわけだね。
Koie:間違いないですね!
-それでは、アルバムの話に移るけど、前作フル・アルバム『XENO』から約3年、ついにフル・アルバム『EX_MACHINA』が完成しました。個別の曲に関しては後ほど質問させてもらうので、まずはアルバムが完成しての今の気持ちや達成感などを教えてくれるかな。
Koie:『XENO』を作ったときって、Kazukiが病気でバンドを離れていたこともあったなかで、"もう一度バンドが息を吹き返す"、"誰も到達できないものを提示する"という思いで制作したというのがあったんですが、今作は、俺たちがどうやってネクスト・レベルにいくのかって話し合いから始めました。なので、アルバムのコンセプトはしっかりとあるんですけど、そのコンセプトを導き出すには、まず、自分たちを知ることから始めていったんです。話し合いから始めて、そのなかで"俺たちが出すべきは、このアティテュードや"ってまとめていって。音楽的な面でもそうやし、活動的な面でも、日本でも海外でも積極的にライヴする稀有な存在でもあると思うし、それがなんでそうなったかというと、他のバンドと同じことをするのが嫌だったってのもあるし、海外の音楽から影響を受けていて、そのアティテュードをアルバムに封じ込めたいってところが大きかったのかなと。そういうところからコンセプトを考え始めましたね。
-なるほど。
Koie:メンバーそれぞれ、バンドに対して思ってることとか、世の中に対して思ってることとか、ブレインストーミングみたいに出し合って。そうやって今回のアルバムのコンセプトができました。まさに集大成的なアルバムができたなって思います。俺たちの中では、『XENO』っていう壁がすごく高かったんですけど、それを越えていくために試行錯誤して、シングル3枚出して、ようやく辿り着いたアルバムになりましたね。
Tatsuya:今回はそういうコンセプトもありつつ、楽曲的にも"こんなんやってみたかった"っていうのが全部の曲に反映できたかなって。ハードスタイルを取り入れたり、めちゃくちゃ激しい曲を作ってみたり、バラードではないけど、Crossfaithがやるうえでのアグレッシヴさを大事にしたままのメロウな曲を入れたり。なので曲によっては、完成するまでにすごく時間がかかったものもあって。さらに1stアルバム(2009年リリースの『The Artificial theory for the Dramatic Beauty』)から引き継いできているドラマチックな雰囲気をより進化させた曲も実現できて、かなり満足のいくアルバムになりましたね。
-達成感ハンパないね!
Koie:そうですね! 達成感はだいぶありますね。今作はこれまで以上にメンバーのやる気も充実してたし。今までいろんなプロデューサーと仕事して培ったものとか、アルバムを作る面でのノウハウも自然と身についてきてますし、データの行き来も、アイディア出しも、ほんとにみんなが集中して、全員の力でできあがった感じですね。
-これまでの作品は、海外のプロデューサーと組んで制作していたけど、今回このタイミングでセルフ・プロデュースというかたちにこだわった理由は?
Kazuki:今まで海外のプロデューサーと組んで仕事をしてきたうえで、"次に俺たちは何をしたいのか"と考えたときに、自分たちで完結するものをこのタイミングで出してみたいっていう気持ちがあったので。今まで培った経験があったからこそ、セルフ・プロデュースという挑戦をすることができました。
Koie:そうですね。自分たちで最初からアイディアを作って、それから自分たちの中だけで完結できるものにしたかったんですよね。もちろん、今までプロデューサーと仕事してきて、いろんなことを教えてもらったり、楽曲のアイディアをたくさん貰ったり、いいことはたくさんあったんですが、やっぱりプロデューサーはプロデューサーでメンバーではないんですよね。いい曲を作ろうとか、売れる曲を作ろうってことが大きいと思うんです。なので、もっと俺たちのバンドの背景とか、今までの歴史を踏襲したアルバムを作りたかったというのがありました。
-やはり、3年間の活動をこのアルバムにおいて完結させるのは、自分たちの力で成し遂げたいという思いがあったんだね。
Koie:そうですね。
-では、次のリリースはまた外部のプロデューサーとタッグを組むことがあるかもしれないってことだね。
Koie:はい。今回セルフ・プロデュースでやって、それで"あ、やっぱりプロデューサーがいた方が良かったな"って面ももちろんありましたからね。でも今回のアルバムは、今までで一番いい作品ができたので、自負はあるんですけどね。
すでに創造されたものを作るより、自分たちでキャンバスの端から端までをイチから描けるようなものを作りたかった
-なるほど。今作はコンセプチュアルな作品という打ち出しだけど、アルバム全体を覆う大枠的なテーマはありつつも、ストーリー仕立てのガチガチなコンセプト作品というわけではないよね?
Koie:1曲目から最後の曲までひとつのストーリーとして繋がっている、いわゆる、『American Idiot』(GREEN DAY)みたいな感じではないですね。ストーリー仕立てではないですけど、流れはしっかりあって、最後にしっかりバンドとしての言いたいことがまとまっているって感じですね。
-テーマとしては"機械仕掛けの神"、読み方が"エクス・マキナ"と。このテーマを選んだきっかけ、理由は?
Koie:CrossfaithはもともとSFチックというか、非現実的な歌詞世界の音楽をずっとやってきたのでその延長線上というか。『New Age Warriors』とか『FREEDOM』や『WIPEOUT』で見せたかった世界観も、そういうサイバーな感じというか、もうすでに創造されたものを作るより、自分たちでキャンバスの端から端までをイチから描けるようなものを作りたかったというのがあるので。そして、そのテーマを近未来に定めようっていうのが、このテーマを選んだ理由ですね。その設定が何年先なのか具体的に決めてあるわけじゃないんですけど、テクノロジーが発達していったうえで近未来はどうなっていくのか、人間は本当に必要なのか、感情は本当に必要なのか、みたいな感じで。今のこのインタビューも、自分で体験して、それを載せてというプロセスがあるわけじゃないですか。でも、そういうプロセスが、今の世界からどんどんなくなってきているというか。それが少し寂しいなって思うこともあって。あとは、情報や物事が多いなかで、これから自分がどうやって生きていく道を決めていくのだろうとか。でも、そこに直面すると、自分の中で新しいものが見えてくることを考えたときに、"個の覚醒"っていう――俺たちがCrossfaithっていう個であるように、今生きてるすべての人々が、自分自身が生きてることを大切にして、自分でものを考えたりだとか、物事を疑ってみたりだとか、そういうことも含め、自分と対峙する、みたいなことをメッセージとして伝えられたらいいなと考えてます。