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INTERVIEW

RAISE A SUILEN

2023.11.02UPDATE

2023年11月号掲載

RAISE A SUILEN

Member:Raychell(レイヤ/Ba/Vo) 紡木 吏佐(チュチュ/DJ)

Interviewer:宮﨑 大樹

"最強"を謳うガールズ・バンド RAISE A SUILENが、初のミニ・アルバム『REVELATION』を完成させた。本作はメンバーそれぞれに焦点を当てたという意味でも、バンドにとって初の試みであり、5人の個性が楽曲に表れつつも、バンドとしての芯を損なわない快作に仕上がっている。各曲について、レイヤ役のRaychellとチュチュ役の紡木吏佐に話を訊いた。


キャラソンまではいかないけれども、RASなりのキャラソンみたいな感じになった


-激ロックでRAISE A SUILENにインタビューするのは約1年半ぶりです。前回(※2022年2月号掲載)は9thシングル『CORUSCATE -DNA-』がリリースされる時期だったのですが、それからのRAISE A SUILENの活動を振り返ると、バンドにとってどんな時間でしたか?

Raychell:去年は"GBP2022(BanG Dream! Special☆LIVE Girls Band Party! 2020→2022)"とかポピパ(Poppin'Party)さんとの合同ライヴ("BanG Dream! 11th☆LIVE DAY1 : Poppin'Party×RAISE A SUILEN「GALAXY to GALAXY」")をやらせてもらえて、やりたかったことができたなと思います。あとは"サマソニ(SUMMER SONIC 2022)"など出たかったフェスにも出させてもらえたので、RAS(RAISE A SUILEN)としてひと皮もふた皮も剥けましたし、楽曲もこの1年半の間にすごく増えたんです。単独ライヴも東京有明アリーナ("BanG Dream! 10th☆LIVE DAY4 : RAISE A SUILEN「SOUL ROAR」")だったり富士急ハイランド(・コニファーフォレスト/"RAISE A SUILEN LIVE 2023「EXCLAMATION HIGHLAND」")だったり大きな箱でやらせてもらって、幸せでありがたい1年半だったなって思います。ただ"ロッキン(ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2022)"が台風でなくなっちゃったので、それだけは心残りです。

紡木:"サマソニ"は、外タレさんもそうですし、国内アーティストでも活躍されている方々ばかりの中でRASとして演奏ができることに対する喜びがあって、感謝でしたね。人生何があるかわからないなと改めて思った1年でした。

-夏以降のライヴ活動はちょっと空いていますよね。

Raychell:最後は7月に茨城で出させていただいた"LuckyFes 2023"ですね。真夏でめちゃくちゃ暑かったんです。なので"大至急ステージ上に氷嚢と経口補水液を全員ぶん置いてください!"って(笑)。観ているお客さんもつらそうでした。

紡木:あれは過去一でヤバかった。ステージ上は50度ですよ。DJコントローラーが鉄板のごとく熱くなってしまって、隙を見て氷で冷やしてスクラッチをやっていました。

Raychell:1曲やっただけで頭に血が上っちゃって、ボーっとするぐらい過酷だったんですよ。でもそれもすごくいい経験で、RASとしてのひと夏の思い出になりましたね。

-夏のライヴ以降は、主に今回リリースされるミニ・アルバム『REVELATION』の制作で活動していたんですか?

Raychell:そうですね。怒濤のレコーディングだったよね? 短期間でバッと録っていきました。夏くらいから始まって、最初に「Apocalypse」を録って最後は「POLARIS」だったかな。終わったのは最近ですね。

-『REVELATION』は、各楽曲でメンバーそれぞれに焦点を当てた作品になりました。そういう作品を制作することについては、率直にどう思っていましたか?

Raychell:RAISE A SUILENにはひとりひとりに焦点を当てた楽曲がなかったので、めちゃくちゃ嬉しかったです。"この子にはどんな曲がくるのかな?"、"どなたが作ってくれるのかな?"って、毎回楽しみにしていましたね。

紡木:キャラソンまではいかないけれども、RASなりのキャラソンみたいな感じになったなと思っていて。曲を聴けばそのキャラクターの人となりがなんとなくわかるような曲を5人ぶん作っていただけたのは、すごく嬉しいことでしたね。

-"RASなりのキャラソン"という表現はよくわかります。当て書きしているからもちろんそのキャラクターごとの曲なんですけど、全体を通してまとまりがあるし、なおかつRASらしいサウンドでカッコ良く仕上がっているから、ちゃんとRASの作品になっていますよね。ここからは、おふたりが演じるキャラクターの曲についてそれぞれお話を聞いていきます。まずはチュチュに焦点を当てた「Apocalypse」について。

Raychell:これは私たちの中で一番人気です。

紡木:めっちゃいい曲。単純にすごくどタイプです。RASとしても新しい曲ですし、自画自賛しちゃうと今回の5曲の中で一番好きかもしれない。サビで落ちるというのも今までになかった展開で、クセになりますよね。始まりの曲というか、"ショーケースの始まりだよ"みたいな語りから入る曲なのも展開として面白いですし、お気に入りの曲です。

-歌詞についてはどんな印象ですか?

紡木:チュチュらしさしかないですよね。"ブッ壊してWe gonna show"とか、過去の自分をいかにして超えて、次へ行くぜみたいな感じ。壊したいものばっかりなんですよ。殴って壊して殴って壊して、それが彼女の原動力に繋がっているんだと思います。チュチュは自信家に見えるけど、2Aとかでは彼女の中にあるコンプレックスとか劣等感を音楽で潰すしかない、音楽で超えるしかないという気持ちが伝わってきました。チュチュらしさが全部詰まっているというか、一見するとちょっと鼻につくヒール感があるんですけど、それに対するバックボーンが描かれている曲なので、ぜひ聴いてほしいですね。

Raychell:最初は歌詞を読まずに、音だけを聴いて楽しんでもらいたいね。

紡木:そうですね。まずは音楽のグルーヴ感で"いい曲!"となってから、歌詞を見て、"あぁ、チュチュ頑張ってるね......"となってもらえたら嬉しいです。

-レコーディングはいかがでしたか?

紡木:今回は"ガルパ(バンドリ! ガールズバンドパーティ!)"のストーリーと関係していない曲なので、RASとしてのアルバムという中で表現できるチュチュの一面を出したい、ということは収録のときにお話していて。そうなったときに、2Aにはいつも通りのチュチュっぽい、彼女のかわいらしい部分を詰め込んでいて、逆に始まりの1Aの部分とかは、今までで一番下から押し上げていくラップになっているんじゃないかなと思います。初見で聴くと"この声ってチュチュなのかな?"と思うくらいガラッと変えていて。そういう違いとか、"チュチュってこういうラップもするんだ"と感じてもらえるものを出せたらいいなぁという気持ちでラップをしました。

-「Apocalypse」をはじめとして、『REVELATION』に収録された楽曲はまだライヴで披露していないですよね。

Raychell:どういう反応をしてくれるのかなと思って。11月5日のライヴ("BanG Dream! 12th☆LIVE DAY3 : RAISE A SUILEN 「REVEAL」")では5曲全部やるので楽しみです。

-ということは、現在絶賛リハーサル中ですね。合わせてみた感触はどうですか?

Raychell:私はこの曲がすごく難しいなと思っていたんですよ。レコーディングしたときはバンド・サウンド的なものではなくてデジタル感が強かったから、"これはバンドになって成立するのかな?"と思っていたんですけど、カッコ良くなっているんです。ちゃんとビート感も出ていますし、ノリがちゃんと生まれていて。生音になるとこういうふうになるんだなっていうのは、リハをしながら体感しましたね。バンドリーマー(※"BanG Dream!"ファンの呼称)のみんなも、音源を聴いてからライヴでこの曲を聴いたらびっくりするかもしれないです。

-続いて、レイヤに焦点を当てた「POLARIS」について話を聞かせてください。

Raychell:プロデューサーに"レイヤの曲はどんな感じになるんですか?"って聞いていたんですよ。そうしたら"王道ロックです"と言われて貰った楽曲がこれだったので、最初に聴いたときは"あ、レイヤっぽいな"と思いました。あと、サビのメロの取り方が難しくて、裏で取るんですよ。なので今までにない感じだと思いましたし、ベースが大変だなって思いました(笑)。

-ミニ・アルバムを締めくくる曲というところもあるし、レイヤがフロントマンだからというのもあると思うんですけど、彼女に焦点を当てつつも他のメンバー曲に比べてRAS全体を背負っているような印象を受けました。

Raychell:ありがとうございます! 私も歌詞からそういう印象を受けていて。"自分がRASを引っ張っていくんだ"という決意は、この歌詞から、メロディから伝わってくるなと感じました。改めて歌詞を読み込んでいくと、レイヤが抱えていた劣等感に対して花ちゃん(花園たえ/Poppin'Party/Gt)が導いてくれた言葉があるんです。その中でチュチュがレイヤを見つけ出してくれて、彼女の"私がRASを引っ張っていくんだ"という強い気持ちをこの曲で感じられたのは嬉しかったです。今までのアニメとかゲームの中ではそういう気持ちが出たことはありましたけど、曲として彼女の決意が見えたのがすごく嬉しかったなと思いました。"POLARIS"って"北極星"という意味なんですけど、彼女が目指したい、なりたいものが表れた素敵なタイトルを付けてもらえたな、素敵な曲を貰えたなと感じましたね。

-キャラクターに思い入れがあればあるほど沁みるタイトル、歌詞というか。

Raychell:そうですね。2Bの"泣かない そう約束した 僕のヒカリは 僕だけのものだからだと"というのは、花ちゃんがくれた大切な言葉が盛り込まれていますし、"僕たちらしくいくよ We are RAISE A SUILEN!"ってレイヤが最後のサビで言えているところが彼女の意志の強さだなと思います。

紡木:うん。自分と向き合って乗り越えた先でちゃんと言えているというのは、深みがあるなと個人的に感じました。

-歌うにあたって意識したのは、彼女の決意や気持ちの強さの表現とか、そういったところですか?

Raychell:そうですね。例えばAメロやBメロでは、今までの彼女の複雑でごちゃごちゃしていた、もやもやしていた部分が伝わるように歌いたいなと思いましたし、サビの部分とかでは、彼女の決意の強さを出していきたいなと思って歌わせていただきました。