INTERVIEW
Roselia
2023.12.12UPDATE
2023年12月号掲載
Member:相羽 あいな(湊 友希那/Vo) 櫻川 めぐ(宇田川 あこ/Dr)
Interviewer:米沢 彰
フェスへの出演を目指し結成されたRoselia。ゲーム"バンドリ! ガールズバンドパーティ!"や"劇場版「BanG Dream! Episode of Roselia」"の中で描かれたストーリーを現実のものとし、日本最大級のフェスのステージへの出演も果たした彼女たちが、次のステージへと歩みを進め始める。今の彼女たちを象徴するような、背景の異なる3曲からなるニュー・シングル『VIOLET LINE』のリリース、そしてバンドとして初となるツアー"Roselia LIVE TOUR「Rosenchor」"を控えたRoseliaに訊いたインタビュー。
"貴方は独りじゃないから大丈夫だよ"っていうメッセージ性があって 本当に温かさを感じる楽曲だなって思った
-激ロックへの登場は約1年半ぶりとなります。前回(※2022年5月号掲載)がミニ・アルバム『ROZEN HORIZON』のリリース時でしたが、この間の活動などについて教えていただけますでしょうか?
相羽:劇場版の内容をテーマにした単独ライヴ("Episode of Roselia")がリリースの5月に富士急ハイランド・コニファーフォレストであって、9月には東京 有明アリーナでの単独ライヴ("BanG Dream! 10th☆LIVE DAY1 : Roselia「Sonnenschein」")があって、2022年はなんといっても"COUNTDOWN JAPAN 22/23"に初めて出演させていただきましたし、ベルーナドームでの"BanG Dream! Special☆LIVE Girls Band Party! 2020→2022"もようやく開催できて。
櫻川:コロナで2年間できなかった思いを乗せての"BanG Dream!(バンドリ!)"ファン揃い踏みのライヴで。出演できる"バンドリ!"のバンドさん全部との共演だったしね。嬉しいことが本当にいっぱいあったね。
相羽:今年はMorfonicaとの合同ライヴ("BanG Dream! 11th☆LIVE DAY2 : Roselia×Morfonica「星空の夜想曲」")があったり、"JAPAN JAM 2023"にも出演させていただきましたし、本当にいろんなことに挑戦させていただいた1年半だったかなと思います。
-いわゆるロック・フェスへの出演は2022年末の"CDJ(COUNTDOWN JAPAN)"が初となるかと思いますが、出てみて感じたことや、特に印象に残っていることなどありましたら教えてください。
櫻川:すごいご褒美だなって思いました。声優の自分たちがイチから楽器を始めて、いろんなステージに立たせていただけて、いつも夢みたいだなって思ってたんですけれども、その最上級と言っても過言ではないような音楽のステージでしたね。本当にすごい光景でした。オーディエンスの声援と、動きと、熱気を感じられて。みんなで作り上げるフェスのステージ、しかも何日間も盛り上がるっていう中に自分たちもいられていることが、夢みたいだったよね。
相羽:あとはRoseliaの湊 友希那としては"フェスに出る"っていう目標があってRoseliaを結成した経緯もあるので、自分たちリアル・バンドでも出演できたっていうのはやっぱり感慨深いものがありましたね。そのあとにみんなとライヴを観に行ったりできたのが、人生の中で大切な一部になっているなと思います。
-もともと2020年に"CDJ"の出演が決まっていましたが、フェスそのものが中止となって悔しい思いを抱えることになったのではないかと思います。振り返っていかがでしたか?
相羽:とても悔しかったです。正直念願だったので。出演が決まったときは、"やった! 決まった!!"ってなって、"ゲームの中でのキャラクターの目標がやっと2020年、叶うんだ!"と思っていたら、なくなったっていうのを聞いて......。落ち込んだよね。
櫻川:みんなで結構落ち込んだよねー。でも、いざ2年後の2022年に出させていただいたときに、"今年で良かったね"って全員が言っていたんですよ、終わったあとに。
相羽:言いました! 2年間のうちにそれぞれスキルとか経験とか、いろんなものが上がってただろうし、もしかしたら2020年に立ってたらボロボロだったかもしれない。だから2022年で良かったって。
櫻川:うちらはこの2年間でやれたことがあったし、やってこられたんだって実感もできた"COUNTDOWN JAPAN 22/23"のステージでした。曲もね、これだったらRoseliaの良さをフェスでも出せるっていう曲たちを持っていったので。今の技術だからできるようになった曲をここでできて良かった、本当に心がひとつになったように感じた、ってステージを降りて真っ先にそういう話を5人でした覚えがあります。
-どんなアーティストも、コロナ禍の期間中に"今は何もできない"って言って何もやらない人たちと、いつかできるようになったときのためにって考えて、自分たちなりに積み上げた人たちの差が、あとでめちゃめちゃ出るんじゃないかなって、個人的にすごく思ってたんですよね。
相羽:一時期中止になったりもしましたけど、コロナの間もありがたいことにライヴをさせてもらえたのもありますし、コロナ期間だからこそ、どうやったらライヴを楽しんでいただけるかって、スタッフさん含めみんなですごい試行錯誤して、ライヴの作り方をみんなですごく考えて。声が出せないぶん、より集中して観られるだろうし、演奏面もステージングも演出も、よりちゃんとしなきゃって本当にみんなとずっと考えていたので、止まっている感じは全然なかったですね。
櫻川:Roseliaに限らず、コロナ前と変わらず"バンドリ!"チームのみなさんが私たちに練習の機会をくださったというのが、何よりも大きいと思っています。今思うと本当に全然休んだことがないぐらいの記憶なんです。それを実現するために、感染予防対策を本当にしっかりやってくださったので、すべてのバンドに対して止まらない姿勢と"バンドリ!"チームの素晴らしさを改めて感じたここ数年間でした。
-今年は"JAPAN JAM 2023"に出演して、初の野外フェスの経験になりましたね。
相羽:いやー気持ち良かったですね。
櫻川:すごく遠くまでお客様がいましたね。
相羽:野外ライヴは富士急ハイランド・コニファーフォレストで経験させてもらってるんですけど、やっぱりフェスならではの空気感とか、空間の広がり方があって。
櫻川:先のバンドさんが終わって私たちのほうに来てくださる人の動きだったり、ちょっと観てみようって人を動かせたときの空気感だったりね。そういう方々に向けて自分たちの曲だけじゃない、"バンドリ!"ならではのカバーということで「残酷な天使のテーゼ」を演奏させてもらったときに、"あ、知ってる曲だ"って人が流れてきてくれるのも見ていて。"フェスの良さって、音楽で繋がっていくところなんだな"っていうのを演奏しながら感じられたよね。
相羽:あとは屋外だったので、よりお客様の顔が見えたんですよね。太陽の光にみなさんがすごく照らされていて。Roseliaを知ってくださってる人の表情と、そんなに知らないんだろうなっていう表情とがMC中に見えたりするんですけど、でもそんな方もみんな、曲中ではすごく楽しんでくださっていたりとか、そういう細かいところまで見えたのが印象に残ってますね。
櫻川:あとヘドバン! ヘドバンが見えました! 普段の室内のステージだとフロアのほうは暗転してるからね。それにしても暑かったなー! あの日!
相羽:暑かったね。私たち天候に恵まれがちなので。
櫻川:晴れ女が揃ってるからね。本当にいい天気で、みんなが汗をかいて、力をさらに出して盛り上げてくれて、自然と前列の人たちをRoseliaファンのみんなが巻き込んでくれて、どんどんヘドバンの波が大きくなっていくのは本当に野外ならではで感動しました。
相羽:"COUNTDOWN JAPAN 22/23"も"JAPAN JAM 2023"も、"初めて観たけどかっこ良かった"っていう声をSNSで見たときに"あー良かった"ってホッとしました。初出演だったからすごいドキドキしてたんですけど、悪い内容は見当たらなくて。"やっと観れた"とかそういうお声を見て、"みんなと頑張ってきて良かった"ってすごく思いました。
-ゲームや映画で描かれているRoseliaの結成のきっかけは、音楽フェスに出演するという目的がはっきりとあったことも含めて、昨年末から今年の経験は大きな糧になっているのではないでしょうか?
相羽:なりましたね。そして、これを最後にしないでもう1回出たいって思いました。やっぱりフェスって常連というか、結構連続で呼ばれたりするので、これで最後じゃないように頑張ろうって思いましたね。キャラクターの夢でもあったこのフェスをここで終わらせたくないって。
櫻川:爪跡を残せるようにって思いながら後ろでドラムを演奏していると、メンバーたちの覇気がやっぱりすごくて。単独ライヴとはまた違って、このフェスのために練習してきた想いだったりとか、フェスでRoseliaのかっこ良さを見せてやるっていう全員の覇気が。その最たる例はやっぱりリーダーであるあいあい(相羽)で。もう気合が違いますから。
相羽:これを最後にしないぞって。
-そういった経験を経て、今作で14枚目となるシングル『VIOLET LINE』のリリースがいよいよ近づいていますが、リリースを前に手応えなどあればうかがえますでしょうか?
櫻川:単純にかっこいい作品になったなって思いましたね。声が出せるようになったライヴを終えてからのシングルということで、ライヴでやる際はおそらくみんな声をくれるんじゃないかっていう3曲だなと。特に「VIOLET LINE」は、作編曲の藤永(龍太郎)さんとお話ししていたら、ライヴでは全部一緒にファンの人と歌ってほしいんだ、って。コール&レスポンスとかじゃなくて、あいあいの友希那さんの歌と一緒にみんなで合唱する曲が作りたかったんだっていう話を聞いて、なんと素晴らしいんだと。なので、ぜひいつかライヴで一番やりたい楽曲なので、その日に向けてみんなには聴き込んでいてほしいと思っています。
相羽:"Hands up!"のところとか、この楽曲は今までで一番って言っていいぐらいライヴでのイメージがしやすくて、クラップのパートも入ってるし、私が想像している以上にライヴ映えがすごいんじゃないかなと。感動的な歌詞もそうですけど、泣かないようにしなきゃって思うぐらい。"独りじゃない。皆がいるんだ!"っていうメッセージ性がすごく込められている曲だと思うので、いつかやりたいですね。
櫻川:激ロック読者のみなさんにお伝えしておきますと、この曲が"Roselia史上1、2を争うBPMの速さで手数もとんでもない"ということで、"これを読んでいるみんな応援してくれ~!"って思っています。ライヴでできるんでしょうか!? なんて(笑)。
一同:(笑)
相羽:ライヴで披露するときのために、みなさんいつでも歌えるように準備しておいてください(笑)。
-(笑)優雅に泳ぐ白鳥も水面の下でめっちゃ足をバタバタさせてるみたいな。でもその両面があるから出せる感じってあると思うんですよね。
相羽:いやでも、そうかも。聴いている感じは高揚感とか温かさとかあるんですけど、レコーディングのときに感じたのは"あ、結構体力使ってるな"みたいな感じで。音もゆったりに聴こえるんですけど、全然裏はゆったりじゃない、みたいな。それが疾走感もあるけど温かい、っていう今のRoseliaを本当に象徴していると思いました。
櫻川:キャラクターたち自身も成長しているところが描かれてからのシングルですし、私たちも成長していないと演奏できないような曲たちなので、音数とかもぜひ注目してみると面白いと思ってもらえるんじゃないかな。
-"繋がり"がテーマになっているというのをあとから知って、本当に最初に聴いた印象通りの楽曲で、バンドとしての伝える力や表現力を強く感じました。この楽曲を演奏するうえで意識していることや、自分なりのテーマや解釈などがもしあればうかがえますでしょうか?
相羽:この楽曲は"貴方"っていう単語が多くて、本当に"メッセージ・ソング"になっているし、コロナとかで孤独、孤立みたいなものを私も感じたりとかしていたんですけど、そういうときに"貴方は独りじゃないから大丈夫だよ"っていうメッセージ性があって。本当に温かさを感じる楽曲だなって思ったので、これまでのRoseliaの歩みだったり、今まで応援してくださったみなさんとのRoseliaの関係性だったりっていうのが、この楽曲にすごく詰まってるのかなと。だから本当にRoseliaを好きでいてくださる、この楽曲を聴いてくださってる"貴方"のためにっていう気持ちで。みんなのことも意識しながら、ひとりの"貴方"に捧げる、ということは意識して歌いました。