LIVE REPORT
OZZFEST JAPAN 2015 -DAY1-
2015.11.21 @幕張メッセ
BULLET FOR MY VALENTINE
ベーシストのJason "Jay" Jamesの脱退は衝撃であったが、無事に5枚目のニュー・アルバム『Venom』をリリースし、日本に戻ってきてくれたBULLET FOR MY VALENTINE。新メンバーJamie Mathias(Ba)も初お目見えということで、OZZFESTの中でも注目のライヴである。「No Way Out」でスタートするも、初っ端のギターの音が出なかったり、途切れたりとトラブルがあったが、すぐに態勢を立て直した。Jamieのベースは重厚で安定感があり、演奏はまったく劣化していない。「4 Words」はBFMV初期のアンセムだが、やはり曲が成長しているように思う。間の取り方も非常に絶妙だ。壮大なスケール感を持つの「You Want A Battle」ではメンバーみんながヘドバンし、ザクザクとしたリフとツーバス、破壊力抜群の「Raising Hell」のMatt Tuck(Gt/Vo)とMichael Padget(Gt)のギター・ソロ合戦はまさしく炎のようであった。そして往年のアンセム「Scream Aim Fire」が始まると、フロアのボルテージが一気に高まり、拳が上がる。硬い音が最高だ。すっかり貫禄のついたメンバーの表情と演奏力が比例していて、とても頼もしい。隅から隅まで巻き込む強靭な演奏は圧巻のひと言だ。祝祭空間をさらに彩る「Tears Don't Fall」、「Your Betrayal」ではMichael"Moose"Thomasのドラムの粒立ちが際立ち、シンプルなMCのあと、ラストの「Waking The Demon」では大合唱と大きなサークル・モッシュが生まれた。さすが、2000年代のメタル・シーンを牽引してきたバンド。OZZFESTに相応しい圧巻のパフォーマンス。ライヴが終わっても、アンコールを求める声が飛び交っていた。(KAORU)
VAMPS
OZZFESTへの出演など誰も予想してなかっただろうけど、実は2014年にイギリス最大級のロック・フェス"Download Festival"に出演も果たしている他、海外ツアーも積極的に行っているVAMPS。音楽ファンなら誰もが知っているであろうカリスマ・ヴォーカリストHYDE率いる5人組だ。
オープニング「MIDNIGHT CELEBRATION」で濃密な世界観を広げ、キラー曲「DEVIL SIDE」へ、そこからハード・ロック・ナンバー「LIVE WIRE」へと繋ぎ、ギアをがんがん上げていく。
会場である"幕張"にかけて、HYDEは"幕、張ってまっかー"なんていう小ボケを客席に投げかけ、観客が小笑いしたところで、"幕張メッセー! here we go!"と曲に繋げた。HYDEってこんなキャラだったのか......と独りごちるも束の間、「EVIL」、「VAMPIRE DEPRESSION」が投下され、その楽曲の荒々しくも妖艶な世界観に一気に引き込まれてしまった。さらに、RAMMSTEINを彷彿させるクールなナンバーとなった、フィンランドのハード・ロック・バンドAPOCALYPTICAとの最新コラボレーション・シングル「SIN IN JUSTICE」も初披露された。
HYDEは"Ozzy大好きなんで、出れて嬉しいでーす。敬意を表してサタニックな曲ばかりやってます"なんて飄々と語っていたが、ステージではぶっ飛んでて、ハード・ロックを敬愛するバンドであることが痛いほど伝わってくる。
ラストは「BLOODSUCKERS」、「SEX BLOOD ROCK N' ROLL」で、一気にギアをトップに。"もっと気持ち良くなりてー! もっかいヤらせろー!"なんて言葉が飛び出すほどハチャメチャにぶっ飛んだライヴに、釘づけになっている観客も多かった。(MAY-E)
EVANESCENCE
いよいよトリ前。歌姫Amy Lee率いるEVANESCENCEの登場だ。2012年に単独公演を果たしており、3年ぶりの来日となる。1998年のデビュー以来、いわゆる嬢メタル流行の先駆け的存在と言えるバンド。オリジナル・メンバーはAmyのみだが、現在のメンバーも最強の布陣だ。デジタリックなSEが鳴り響き、ステージからは放射線状のライトが照らされる中、「Never Go Back」からスタート。Amyの伸びやかな美声と、ピアノの旋律、重厚なサウンドが会場を包む。そして代表曲「Going Under」がプレイされると、大歓声が起きる。"また会えて嬉しいわ"というシンプルなMCのあと、サンサブルな「What You Want」へ。SKRAPEでデビューしたWill Huntのドラムが、まぁ素晴らしい! 派手なパフォーマンスでフロアを踊らせ、掴みはばっちりといったところだ。ザクザクとしたリフと重厚な重心に支えられながら、少しシャープ気味に、自由に歌われる「The Other Side」、「Made Of Stone」からは、ドラマティックな世界観に我々を誘い、テンポも一貫してスローになっていく。ピアノを弾きながら、どこか感情を押し殺したような抑制されたAmyのヴォーカルは、どこまでも美しい。しかし、スローな曲ばかりがストイックに続き、少し中だるみしている感も拭えなかったというのが正直なところだが、これが今のEVANESCENCEのモードなのだろう。その中でも「Whisper」のオペラチックな演出が素晴らしかった。ラストは往年のアンセム「Bring Me To Life」がプレイされ、原曲のラップ部分を観客に歌わせ、大合唱で締めくくられた。(KAORU)
KORN
"OZZFEST JAPAN 2015"初日のトリを飾るのは、ヘヴィ・ロック界のカリスマ・バンドKORNだ。"KNOTFEST JAPAN 2014"以来、約1年ぶりという彼らにしては短いスパンでの来日となった。そして今回のKORNのステージは、1年前のKNOTFESTで見せた集大成的ライヴとはまったく趣の異なるものだった。
静寂からゆるやかに始まった1曲目「Blind」。イントロのハイハットの音が聞こえてきた瞬間、幕張メッセは大歓声に包まれる。重低音に合わせて深いヘッドバンキング、そして大合唱......と、ここまではいつもの光景だが、この日の「Blind」はアウトロまできれいに流れてきて、おやおや?と思っているうちに、そのまま「Ball Tongue」へ。そう、この日は「Need To」、「Clown」、「Divine」、「Faget」、「Shoots And Ladders」と1stアルバムが完全再現されるというスペシャルなセットだったのだ。
KORNの1stといえば、ヘヴィ・ロック・シーンで永遠に語り継がれるであろう不朽の名作である。時折、悲鳴にも似た声を上げて歓喜するファンもたくさんいるなど、ファンにとって思いがけない一夜となった。しかし、なぜ21年経った今になって1stの再現なのか? いつものごとくステージではMCらしいMCもなく、その真意はわからないため、おとなしく取材の機会を待つことにします。
「Shoots And Ladders」からメドレーで「Somebody Someone」へと繋がり、そこからの後半戦は「Falling Away From Me」、「Here To Stay」、「Did My Time」、「Got The Life」、「Freak On A Leash」といった、"ベスト・オブ・KORN"というべきヒット・ナンバーのオンパレード。これぞパイオニアというべき圧倒的な存在感で、OZZFEST初日の幕を降ろした。(MAY-E)