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INTERVIEW

SiM

2015.12.09UPDATE

2015年12月号掲載

SiM

Member:MAH(Vo) SHOW-HATE(Gt) SIN(Ba) GODRi(Dr)

Interviewer:増田 勇一

-本日は11月6日。つまり武道館公演終了からまだ丸2日経っていないわけですけど、まずはあの夜を振り返りつつ、今現在の気持ちから訊かせてください。

GODRi:なんか実際やってみて、変な意味じゃなくいつも通りの達成感でしかないというか。まだ終わってから時間が経ってなさすぎて特別な感触というのを感じられてないだけかもしれないけど。たぶんここ1週間はちょっと余韻に浸りつつ、いろいろ考える時間になるんじゃないかなと思いますね。あれはいったい何だったのか、みたいな。

SIN:俺もそうですね。"いや、武道館やったんだよな?"みたいな感じで。なんか、何もかもがいつも通りすぎて信じられない。しかもあっという間に終わったという感覚だったし、終演後は打ち上げとかも特になくそのまま家に帰って、カップラーメン食べて......(笑)。なんか不思議なくらい"やったぞ!"という感覚がないんです。

SHOW-HATE:俺も一緒になっちゃうんですけど、帰りの車の中でも"武道館やったんだよなあ......"とか話してて。冷静に考えるとすごいんだけど、実感の部分ではまだなんか......。でもきっと、終演後も興奮を引きずってたんでしょうね。帰って寝ても、疲れてるはずなのに3時間で目がさめちゃって、そのあとも全然眠れなくて。だからまあ、余韻に浸るのはこれからかな、と。味わったことのないあと味というか。実際、会場入りしてあのステージを見たときの興奮はヤバかったですけど。実はめっちゃ緊張してたんですけど、あのステージを目にした途端、めっちゃ楽しみに変わっちゃって。予想をはるかに超えたクオリティでドーンとそこにあったから。こんなステージが用意されてるんなら、もう楽しむしかないなって。

MAH:もうホントその通りで。俺も会場入りしてから本番までは、意識的にいつも通りに過ごすようにして。特別なことやると、何か間違えちゃいそうだから。で、ステージに立って、気づいたらもうアコースティック・セットになってて、次に気づいたときにはアンコールになってて、いつの間にか関係者の前で挨拶してて(笑)。で、その1時間後ぐらいにはもう家に着いてて、いつもの自分の家の周りの景色見ながら"あれ? さっきまで武道館のステージにいて1万人に囲まれてたんだけどなあ"って感じで。家に帰ってドアを開けたら、もう何も知らない顔で猫が出迎えてくれて、餌をくれって言うわけですよ。で、"俺、武道館やってきたんだけどねー"とか言っても全然知らん顔じゃないですか(笑)。もうなんか、全部嘘みたいに何もかもがいつも通りで。

-ライヴ全体を通じて特別な場面というのがたくさんありましたよね。それこそアコースティック・セットみたいに、普段やらないことをやる場面とか。

MAH:そうですね。あとやっぱ、"アルバム発売!"ってTwitterを使って発表したときの歓声がすごくて。あのとき、俺らはステージの下にいたんですよ。あのときに流れてた映像は前もって撮ってたやつで。で、実際、ステージの下でツイートしたわけなんですけど、その瞬間の反応がヤバかった。

SHOW-HATE:ああ、あれは本当にヤバかった。

MAH:あの歓声の大きさを聴いて、"わーっ、やっぱ武道館ってすげえな"って思った。

-映像上、ビッグ・ニュースの正体が何かをTwitterでチェックするよう指示が出て、お客さんが一斉にスマホを取りだしたときの光景も面白かったですよ。しかしそれはともかく、SiMはずっとこの公演について"最初で最後の武道館"と銘打ってきたじゃないですか。あれを撤回して欲しいんですよ! だってまたあの場所で観たいですもん。

MAH:ははは! 実はさっき、まさにブログにも書いてたんですけど、武道館が俺らにとってすごく特別な場所になった気がしてて。冷静になって考えてみると、特別な場所すぎて、逆になんか意識できずにいたというか、デカすぎでよくわかんなかったというか。でも実はやっぱ、あのTHE BEATLESがやった場所で、俺らもTHE BEATLESの「Come Together」(1969年リリースの12thアルバム『Abbey Road』収録)のカバーを1stアルバム(2008年リリースの『Silence iz Mine』)でやってたりするわけで。今にして思えば、あの時点ですでに宿命だったというか、当時からたぶん、武道館という会場については頭の中にあったと思う。ただ、あまりにも自分たちから遠すぎて、無理だろうって思ってたし。

SHOW-HATE:うん、それは間違いない。

MAH:それになんか、武道館には神聖な場所であって欲しくて。そんじょそこらのバンドじゃ出られない場所であって欲しかったんですよ。だけど最近は、そんなことないじゃないですか。だからなんか、都内にあるただの大ホールっていう感じに見えてきちゃってて。"そうじゃなくて、THE BEATLESがやったあの場所でしょ?"というのが本当は根底にあったから。日本におけるロックの聖地というかね。なんかそれが、神聖な場所じゃなくなってきてる気がしてしまって。それもあって、あんまりやりたくなかったのかなって。なんか意外に敷居低いんだな、みたいな。集客力さえあればできちゃうんだ、みたいな。で、その流れに乗ればSiMも武道館やれちゃいますよ、みたいに見られたくなかった。

SHOW-HATE:うん。ホントに神聖な場所が神聖でなくなりつつあるというか、みんなが普通にやり始めてて。そこについての違和感は、やっぱすごくありましたね。

MAH:だからなんか......これは他の会場でやる場合についてもそうですけど、もっと1本1本のライヴに意味を持たせたいというか、常々そういうことを思ってて。だからワケのわかんないイベントには出ないし、"別に意味がないんだったら武道館でやる必要なくない?"みたいな感じがずっとあった。だけど、今だったらそれを見つけられるんじゃないかなって。やる意味というか。