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LIVE REPORT

SiM

2015.11.04 @日本武道館

Writer 吉羽 さおり

11月4日、SiM"THE TOUR 2015 FiNAL -ONEMAN SHOW at BUDOKAN-"が行なわれた。開催前に、"最初で最後の日本武道館公演"と銘打ち、"いつもの延長線上ではなく「日本武道館でしか観れないSiM」を楽しみにしていて下さい"とオフィシャル・サイトに綴ったMAH(Vo)。その意気込み通り、この日のライヴは、舞台装置から座席の配置、構成、演出に至るまで、やりたいことをすべて詰め込んだものとなった。会場の中心、ちょうど国旗の真下部分に八角形のステージを組み、そのステージを囲むようなスタンディング・エリア(一部座席付き)は、通常の武道館のステージと客席との距離よりもグッと近い感覚。そんな間近のステージで、SHOW-HATE(Gt)とSIN(Ba)は縦横無尽に駆け回り、くるくるとダイナミックに回転しながらプレイをし、MAHもまた死角なしの状態でオーディエンスを盛り上げる。特効も満載で、大量のスモークに加え、爆発音、1階席でも熱を感じられるほど盛大に炎が上がり、中盤のGODRiのドラム・ソロではなんとワイヤーによるフライングまで披露! 音楽と相俟って、次はなにかが出てくるのかというアトラクションのようなワクワク感で、オーディエンスの歓声も悲鳴交じりの熱狂ぶりだった。

1曲目の「KiLLiNG ME」そして「WHO'S NEXT」から、"かかってこい!"、"跳べ、跳べ"と煽って、ヘッドバングするMAHの声に、スタンディング・エリアは早くももみくちゃで、オーディエンスのコールが会場内にこだまする。続けざまに、10月にリリースしたシングルから「CROWS」と「PSYCHO」とを連打し、"狂っていこうぜ"というMAHの声とともに4人のアンサンブルもますますアグレッシヴになり、熱気を上昇させた。そして、"このツアーのためにとっておいた曲がある"とMAHが言うと今年6月に発表した「EXiSTENCE」をプレイ。"フェスでの3万人の観客よりも、武道館の1万人と歌いたかった"というMAHの声に、シンガロングが大きく響きわたった。

中盤には、2階席の観客を2組、抽選で最もプレミアムなアリーナ正面席へ招待する、超スペシャルな席替えのプレゼントを行った。これは、今年のPaul McCartneyの武道館公演での粋な演出案をいただいたもの。そんな流れから、中盤に行った初のアコースティック・セットで「Same Sky」、そしてTHE BEATLESのカバーで2008年リリースの1stアルバム『Silence iz Mine』に収録された「Come Together」を披露した。"THE BEATLESが1966年にこの武道館でライヴをしたから、今こうしてロック・バンドがやることができる"とMAHは語った。MAHはこの日のアンコール時のMCで"小さな街の、小さなバンド。夢だけデカくて大口叩き続けて、やっとここまで来れました"と言い、"バンドをスタートして11年目で武道館。早くもないし、着実に来た"と続けた。今回のセットリストには、SiMとして歩んできたヒストリーと、ロック・バンドとしてスケールアップしていく意志と挑戦という熱い思いが込められていた。"まだいけますか。最初で最後だぞ"というMAHの声から、終盤は「Blah Blah Blah」と「JACK. B」でエクストリームな爆音を生み出し、フロアはモッシュとダイヴ、そして大合唱の嵐へ。むせかえるような熱気が、武道館に充満した。

アンコールでは、この春にニュー・アルバムがリリースされること、その先に横浜アリーナでのワンマンが決定したとアナウンスされた。"この先、もっと上にいきたいと思ってる。力を貸してください"、"武道館に爪跡残して帰るぜ"と、「f.a.i.t.h」ではスタンディング・エリアでウォール・オブ・デスが起こるという、武道館という会場ではありえない肉弾戦が繰り広げられた。最初で最後という気迫に満ちた、それでいて単なる祭りに終わらせない、その先をじっと見据えたタフなバンドの様を見せた武道館公演だった。

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