FEATURE
SiM
2012.11.05UPDATE
Writer 山本 真由
例え曲を知らなくても、聴けば自然と体が動く、その空間に居る者を陶酔させ熱狂させる不思議な力がSiMのライヴにはある。単純にパンクともハードコアとも言えない、レゲエやスカ、そしてラウドやメタルの要素をミックスさせたオリジナルなサウンド、エネルギッシュでどこか妖艶ですらある圧倒的な表現力は、ライヴハウスを完璧にSiMワールドに導いてくれる。そんなSiMのライヴの魅力が詰まった本作は、彼らの作るパーフェクト・ワールドへリスナーを招待する特別チケットだ。
2010年から行っているバンドの主催イベント“DEAD POP FESTiVAL”では、“壁を壊す”という強烈な合言葉の下に、ジャンルの壁、先入観という壁、新しいことに挑戦する壁……あらゆる壁を文字通りブチ壊し、爆発的なステージを完成させた。そして、今年の4月にはcoldrain、HEY-SMITHと共に“TRIPLE AXE TOUR ’12”を開催、今最も勢いのあるライヴ・バンドが集結したこのツアーは、軒並みソールド・アウトを記録し、国内ラウドロック・シーンに新たな伝説を刻んだ。
そんな彼らが、留まることのない勢いとパッションの全てをぶつけた、LiFE and DEATH TOUR 2012 FiNALワンマン・ライヴの模様をそのまま真空パックした最強の映像作品。それが、この『DUSK and DAWN』DVDだ。
伝説を作ろう、見たこと無い伝説を――
という、バック・ステージでのMAH(Vo)の宣言から始まる怒涛の1時間半。最新作『LiFE and DEATH』からの「Amy」や前作『SEEDS OF HOPE』収録の「KiLLiNG ME」等、より攻撃的でヘヴィな方向に振り切った彼らの現在のスタイルを代表するキラー・チューンはもちろん、初期の代表曲「Set me free」やSiMのルーツを感じさせる「Rum」等、これまでのバンドの歩みを凝縮したような、単独公演ならではの豪華なセット・リストで構成されている。そして、彼らの最大の魅力でもある血管ブチ切れんばかりのテンションのステージ・パフォーマンスも、ライヴCDではなく、DVDだからこそ存分に楽しむことができる。さらに、時にアグレッシヴに煽り、時にオーディエンスに優しく語りかけるMAHのMCもきっちり収められているので、ライヴの空気感や緊張感も余すことなく味わうことができるだろう。
今回のライヴ撮影は事前告知を行っており、ライヴ中にもしきりに“1番カッコいいのは誰だ!?主役はお前らだ!”“SiMのサークル・ピットが凄いのを見せてやろう”等とオーディエンスに映像として残ることを意識させていたが、“DVDを見ているお前に言いたい、ライヴに来いよ!”と、DVDを見ているリスナーに対しても呼びかけている。1番のお楽しみ、本当の本番は、実際のライヴハウスにこそあるということだ。
2年程前の『LIVING IN PAiN』リリース時のインタビューでも“SiMは誰にも負けない究極のライヴ・バンドを目指していくんでみんなついて来てください!”と語っていたように、そのスタンスを確実に貫いた究極の彼らライヴは必見だ。
そして本作は、メインのライヴ映像以外にもオフ・ショットやミュージック・ビデオ等の特典映像が収められたディスク、インタビューやライヴ・フォト、Amyのストーリーが描かれたコミックが収められた書籍がセットになっているという超ボリューム満点の作品となっている。
さらに、2Daysの購入者限定プレミア・ワンマン・ライヴも発表されており、ライヴハウスで全てが完結するという彼ららしい粋な構成だ。
今回のこのDVD収録のファイナル・ワンマン・ライヴを実際にLIQUID ROOMで体験した方も、そしてまだSiMのライヴを実際に見たことのない方も、この作品で彼らの伝説の追体験ができるはずだ。そして、彼らがまだまだこれからも築き上げていくライヴという伝説に、貴方自身も一緒にその姿を刻んでいきたいと思うことだろう。See ya in the pit!
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