DISC REVIEW
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へヴィロック・バンドの重鎮"KORN"、2年ぶりのニュー・アルバムが登場だ。彼らほどの知名度の高いバンドがデビューしてからからほぼ2年周期でアルバムをコンスタントにリリースしている例はほとんどないのではないだろうか?メンバー・チェンジやレーベル移籍などの障壁を越えつつもコンスタントに質の高いアルバムをリリースしている彼らには本当に頭が下がる思いだ。さて作品の印象だがはじめに感じたことはBrian "Head" Welchが抜けてサウンドが大きく変化した前作『See You on the Other Side』の流れを汲むアルバムとなっているということだ。前作から大きなウエイトを占めるようになってきたマシーナリーでゴシックな電子音も前作以上に各トラックにフィットしてきているように感じる。『Untouchables』の頃から叫ぶだけではなく歌えるようになってきたJonathan Davisのヴォーカルも今作では歌えるというレベルからハイレベルなヴォーカリストに成長し力強い安定した歌を聴かせてくれる。不穏で倒錯したイントロからなだれ込んでいく「Starting Over」は無機質な電子音と囁くようなコーラスとJames "Munky" Shafferの荒ぶる重低音ギターとの3者の絡みが最高に気持ちいい。リード・トラック「Evolution」は、Jonathanの"歌"、"生"の楽器隊、硬質な"電子音"それぞれのバランス感覚が絶妙な素晴らしいトラックだ。鬱積した感情が常軌を逸っしたテンションのもとに吐き出されていた初期のサウンドや、KORN至上最もメタリックに振り切れた作品である『Take A Look In The Mirror』のような鋭く尖ったサウンドが聴けなくなってしまったことには少々寂しい思いはあるが、それを忘れさせるほどクオリティの高いアルバムだ。貪欲にネクスト・レベルに突き進んでいく限り彼らのヘヴィロックNO.1の座は揺るがないだろう。 ムラオカ