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FEATURE

KORN

2012.09.11UPDATE

2012年09月号掲載

90年代からシーンを牽引してきたあまりに偉大なバンド、KORNの軌跡―――

Writer KAORU

90年代からシーンを牽引してきたあまりに偉大なバンド、KORNの軌跡―――

イギリスではOASISやBLURなどの“ブリットポップ”ブームが吹き荒れる中、アメリカではNIRVANAのKurt Kobainが自殺し、“グランジは死んだ”と言われた94年。KORNはグランジのそれとはまた違う、特化された陰鬱さとヘヴィネスを兼ね備えたデビュー・アルバム『KORN』をリリースした。このアルバムがシーンに転機をもたらし、後の00年代ラウドロック勢の指針となる、あまりに独自性の強いサウンドを構築していった。Jonathan Davis 自身が体験した虐待によるトラウマや苦悩を吐露した歌詞の世界観は殊更に取り上げられ、多くの人が感情移入し、あるいは心酔し、計り知れない影響を及ぼした。そして96年『Life Is Peachy』、98年『Follow The Leader』、99年『Issues』という、ロック史を語る上で絶対にはずせない金字塔的な作品を生み出し、90年代という混沌とした時代に幕を下ろした。
00年代に入ってからは、それまでに築いたサウンドからの脱却、或いは原点回帰と路線の模索を繰り返す。その中でも“原点回帰”をテーマとして掲げ、初のセルフ・プロデース作品でもある03年『Take A Look In The Mirror』は、日本では特に好評価を得たが、本国ではあまりセールス的に奮わなかった。後にリリースした05年『See You On The Otherside』では、プロデューサーにMatrixを迎え、インダストリアル的な手法を用いた新機軸を打ち出し、07年『Untitled』もエレクトロニクスを駆使した前作の延長にあった。こうしてみると、00年代のKORNは、90年代に比べると長い過渡期にあったと言えるが、10年代に突入してからは新ドラマーにRay Luzierが加わり、デビュー時と同じプロデューサーであるRos Robbinsonを迎えた徹底原点回帰作『KORN Ⅲ~Remember Who You Are』でまたしてもシーンを再燃させ、同年のLOUD PARKで5度目の来日も果たした。
今後のKORNは、このまま原点回帰路線で突き進むのかと思いきや……11年、誰もが驚愕するニュースが飛び込む。それは、“KORNが全編ダブステップの作品をリリースする”ということだった。そしてリリースされた『The Path Of Totality』を実際に聴いた瞬間、もうこれはブっ飛ぶしかなかった。KORN本来の持ち味を最大限に生かしながらも、アグレッションを更に増幅させるエレクトリックなベース・ラインとドラム、何よりそのメロディー・ラインの素晴らしさ。どれを取っても“KORNの最新作”として相応しい、あまりに鮮烈な作品だったのだ。「Get Up!」や「Narrcistic Cannival」など、スーパー・アンセム級の曲ばかりが並んでいる。ダブステップの流行ということも手伝って、『The Path Of Totality』は、これまでKORNに触れたことのなかった若いリスナー層までもこぞって巻き込んだのだ。更に、本国ではなんとビルボードのダンス・エレクトリック・アルバム・チャートの第1位を記録。KORNがダンス・チャートのトップを飾るなんて……一体誰が予想出来ただろうか。


SKRILLEXなど、気鋭のプロデューサーを迎えて制作された『The Path Of Totality』ツアーのハリウッドで行われたライヴDVDが遂にリリース!貴重なインタビュー映像も!

最新作『The Path Of Totality』をリリースしたKORNがハリウッドのパラディウムで行ったライヴをまるごと収録したDVD/Blue-Ray作品をリリースする。内容は、ライヴ映像に加え、ライヴ盤CDと、メンバーの貴重なインタビューも収録されているという充実したものとなっている。
ライヴでは、『The Path Of Totality』の制作に参加したSKRILLEX、EXISION、12th PLANET、KILL THE NOISE、DATSIK、DOWNLINK、FLINCHもステージに登場しており、1曲目の「Get Up!」ではSKIRLLEXのSonny MooreがDJではなくギターとして参加していることからびっくりさせられる。09年から正式加入したRay Luzierも素晴らしいドラミングを披露しており、同期音と生音を融合させ、エッジが更に際立ったリズムが強烈だ。Excision & Downlinkとコラボレーションした「My Wall」ではレイヴィーな照明とVJがKORN特有のヘヴィなサウンドと見事にマッチして独特の世界観を作り上げ、「Way Too Far」では12th Planetが、「Narrcictic Cannnibal」ではKill The NoiseがDJとしてステージに立ち、ライヴを更なる熱狂へと導いている。このように前半は、全編ダブステップという『The Path Of Totality』で打ち出した最新型のKORNサウンドを見事に体現しているのだ。

ライヴ後半は、往年のアンセムが惜しげもなく披露されており、「Here You Stay」ではモッシュが起き、サイリウムを持ってジョナサンが歌う「Freak On A Leash」、VJと一体化した映像が印象的な「Falling Away From Me」など、昔からのファンも嬉しい内容のセットリストだ。PINK FLOYDのカヴァー「Another Brick In The Wall」は04年にリリースされた『Live At Montreux 2004』にも収録されているが、長い尺の中でゆるやかに展開していく複雑な曲構成ながらも、KORN流の豊かな表現力で観衆を引き込んでいく様がグっと印象に残る。叙情的なギター・ソロも素晴らしい。もちろんラストは、何10年経っても色あせることのない、ラウドロックの歴史至上最も偉大な曲「Blind」で締めくくられている。KORNの歴史の始まりであるこの曲のライヴ映像を見ていると、今現在もKORNの核たるものはなんら変わっていないということがわかる。『The Path Of Totality』は、新進気鋭のDJ、プロデューサーを制作陣に加え、外からの風を入れることで手法的な新鮮さも目立ったが、同時にKORNが元来持っている重厚なリズム感とベースに重点を置いたアグレッションが、現代のダブステップ、ブロステップと相性が悪いわけがなく、極めてポジティブな意味で、成るべくしてなった運命のようなアルバムだったのだということが分かる。KORNにとって『The Path Of Totality』のレコーディングは、今までにしたことがないやり方で大変な試行錯誤を繰り返して完成させたわけだが、制作時の様子についてはインタビュー映像で存分に語られている。全てが必見の内容だ!92年の結成から、精神的な核は変わらないまま常に最先端の道を行き、いい意味でリスナーの予想を裏切り続け、シーンを牽引してきたKORN。彼らの第2のピークは正に今なのだ!!!

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