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激ロック | ラウドロック ポータルサイト

INTERVIEW

EVANESCENCE

2021.03.23UPDATE

2021年03月号掲載

EVANESCENCE

メンバー:Amy Lee(Vo/Pf)

インタビュアー:山本 真由

ラウドロック・シーンを代表する圧倒的歌唱力の女性ヴォーカリスト、Amy Lee率いるEVANESCENCEが、なんと実に約10年ぶりとなる完全新作のフル・アルバムをリリースする。もちろん彼らは、この10年眠っていたわけでも、立ち止まっていたわけでもない。2017年には、既存曲をオーケストラ、エレクトロニクス・アレンジにしたアルバムをリリースしているし、それ以外にもAmyのソロ活動、バンドとしてもライヴ活動を中心に精力的に動いてきた。今作は、そんな冒険の期間を経て、本格的なロック・アルバムに辿り着いた回帰作であり、この10年に吸収してきたあらゆるものを表現に持ち込んだ意欲作でもある。今回は、そんな新作の成り立ちやこれまでの活動について、Amy Leeに詳しく語ってもらった。

-激ロックでは、前作『Synthesis』(2017年リリースの4thアルバム)以来のインタビューとなります。前作は、EVANESCENCEの過去の楽曲をオーケストラや、エレクトロニクスを用いたアレンジで蘇らせたものということで、それに伴うツアーもオーケストラとの共演という異色なツアーとなりましたね。そういった新しいスタイルの活動ではどのような収穫がありましたか?

あの経験は本当に勉強になったわ。まず、曲を作った当初から長い時間が経って、改めてスタジオでそれらをひもとく機会ができたこと自体が素晴らしかった。イチから取り組み直して、何年も経ったあとの大人になった自分たちとして愛情を注ぎ込むことができたしね。「Bring Me To Life」(2003年リリースの1stアルバム『Fallen』収録曲)を初めてレコーディングしたときなんて、私ハタチだったから! あの頃は自分がどんな人間で何をやりたいのか、このバンドがどんな音になるのかをまだ模索している途中だった。だから、何年も経ってからまた同じ曲に愛情を注ぎ込むことができたことには、すごく充実感を覚えることができたの。でも、勉強になったのはツアーだった。私、ライヴ・オーケストラと共演することをずっと夢見て......"夢見て"いたの! というのも、私たちの音楽には常にその要素があったから。シンフォニックな要素というか、5人じゃとても出せないようなスケールの音を作ってきたと思う。だから、それが実現したのはまさに夢が叶ったことだったけど、いざやるとなるとね......。実際そうしたんだけど、何も隠し立てのない音へと削ぎ落とすのは勇気がいったわ。例えば、大がかりなライティングとか、ストロボ、アクション、ラウドなギターやドラムス......そういうのがあると私が......ちょっと隠れることができるから(笑)。

-(笑)

髪をあっちこっちに振り乱して、オーディエンスもクレイジーになって......そういうときって、私はそんなに人目にさらされているわけじゃないの。でも、38人のミュージシャンと共演するときって......同じオーケストラと一緒にツアーしたんじゃなくて、行く先々で違うグループとやったんだけど、パフォーマンスのたびにぶっつけ本番に近い形だったのよ。そういうチャレンジを受け入れるのはすごく怖かった。"もし間違っちゃったらどうしよう、みんなに聞こえちゃう! とにかく素晴らしいパフォーマーになって、自信を持ってステージに立って歌わなくちゃ!"って。でも、いったん恐怖を乗り越えて、ショーを何回かやってからは、その"密な雰囲気"にとにかくのめり込んでいった。しかもステージ上でよ。自分の世界に深く入り込んでいったから、オーディエンスを群衆として認識すらしなくなっていたの。スタジオでの自分に近い状態だったね。メンバー全員が、居心地の悪さを心地よくなるまで体験して、とにかく音楽を信頼して身を委ねるという経験をしたの。すごく勉強になった経験だったし、私たちもパフォーマーとして成長できたと思う。今までと違うことをしたおかげで、いつも安住していた場所から抜け出すことができたから。『Synthesis』ではそういうことができて本当に良かった。あれがあったからこそ、またロックに返って楽しもうというモチベーションができたし、ワクワク感も新たにできたからね。

-今回のアルバムは、かなり長い時間をかけて作ったそうですが、昨年はパンデミックの影響により予定されていたツアーが中止となってしまいましたね。ロックダウン下、曲作り以外ではどのように過ごされていたのでしょうか?

ほとんどの時間は憑りつかれたようにアルバム作りをしていたわ。日常生活の一部になったのは本当に良かったと思う。自分ではコントロールできないものに対する、フラストレーションのはけ口になっていたからね。パンデミックもそうだけど、私たちの国(アメリカ)にはびこる不公平とか、世界情勢とか、いろいろなニュースを聞くたびにフラストレーションが溜まったり、自分の無力さを思い知ったり......そんななか、音楽に自分のパワーを見いだしたの。これが私の生業だから、もやもやした思いを音楽にぶつけて、ポジティヴなもの、実りあるものへと変換しようと思った。もともと私が曲を作るようになったのもそういう気持ちからだったしね。そのための燃料があったというのは、いいことだったわ。音楽以外では、私はママで、息子のJackは6歳なの。3月にツアーに出て息子と離れてしまう予定だったけど、それがなくなったから、急に一緒の時間がたくさんできたのよね。離れるのは、息子が大きくなればなるほど大変なのよ。あの子にはちゃんとスケジュールに沿った学校生活を送ってほしいけど、あまり長い間離れるのも嫌だし。通常はツアーについてきてもらう時期と、家に帰ってもらう時期と分けているの。そのうちまた長い間離れる時期が来てしまうけどね。ともあれ、ツアーがなくなったことで息子と過ごす時間がたくさんできたから......よそのママたちと同じよ。先生役、コメディアン役(笑)、実践的な楽しみを作る役になって。うちの子は科学にとても興味を持っているから、いろんな実験を一緒にやったわ。スライムをたくさん作ってみたり、ものを爆発させてみたり、それから"象の歯磨き粉"というものも作ったの。化学反応を起こして作るものなんだけどね(笑)。YouTubeの科学系ハックのビデオをたくさん観て、変なものをいろいろ作っているの。結構たくさんやったよ(笑)。

-ネガティヴなものをポジティヴに転じさせるというのは、ご家族の伝統なんですね。

ありがとう。そうするようにはしているね。でも、"伝統"ってどういう意味? Jackのこと?

-ええ。バンドだけでなく、ご家庭でも、こういう時間を利用して科学を探索しているということなど、とてもポジティヴだと思います。

そうね。というか、私たちにできるのはそのくらいだから。私たちの音楽は......ダークじゃない? でも、いつも希望を持てる内容にしている。実は私の人生も......自分たちの身に降りかかることっていうのはコントロールできない。私たちがコントロールできるのは、その出来事をどう扱うかだけ。そして、誰もが違うものを扱っている。自分の身に降りかかる嫌なことの多くは、自分ではどうにもできない。だけど、コントロールしたいという気持ちを解放して、与えられた時間の中でその出来事をどう扱うかをコントロールするようにするの。自分でシャットダウンして、怒りを抱えたネガティヴな人間になって、その怒りを他人にぶつけて傷つけて、苦しみを長引かせてしまうことだってできるし、あるいはそのネガティヴな出来事に対し受けて立つ方法を見いだして、"今感じているこの苦しみを無駄にはしない。何かいいものに転じさせてみせる"と言い聞かせることだってできるのよ。

-そんな強さを今回のニュー・アルバム『The Bitter Truth』からも感じ取ることができます。ここからはアルバムについて質問していきますね。完全新作としては実に10年ぶりの作品となりますが、リリースを発表したのは去年の4月、実際のリリースは今年の3月になります。今作をこの時期にリリースすることはいつ頃から計画されていたのでしょうか?

発売日はあえて長い間言わずにいたんだよね。シングルは出し続けていたけど、同時進行で曲も書き続けていたから。珍しいことだけどね。だから、リリース日に関しては曲を全部完成させるまで言いたくなかったの。でないと時間通りにできなかった場合とんでもない落とし穴になるからね(笑)! それで、完成したときにすぐリリース日を決めたの。完成したのはたしか......11月だったかな。"よし、できた! さて、いいリリース時期はいつだろう? 早ければ早いほどいいよね。どうすればアートワークとかを早く準備できるだろう?"と考えた。その結果こうなったことも、とても誇りに思ってるよ(笑)。

-シングルをリリースしながら、その時点での自分の立ち位置を確認しているような感じだったのでしょうか?

そうね。それが私の考えだった。このやり方でやれて、とてもラッキーだったわ。コロナ禍の前、去年の1~2月に4曲レコーディングして、そっちは完成できたんだけど、もっとたくさん曲を書かないといけないことはわかっていたから、ツアーから帰ってきたらまたやろうと思っていたの。その時点では自分たちでもベストと思える曲ができていたから、じゃあこれをひとつずつ出していこうという話になって。ファンにも楽しむネタを与えたいし、いろいろがっかりの多いなかで何かいい出来事になるんじゃないかってね。

-そうして「The Game Is Over」や、「Wasted On You」といった先行シングルがリリースされていますが、国内や周囲の反響はいかがですか? みなさんにとって希望となって喜んでいたのではないでしょうか。

ええ、私自身もすごく励まされたしハッピーだったし、ファンとの繋がりを強く感じた。久しぶりに新曲を出せてとても嬉しかったし。ファンのみんなはショーに行くのが大好きで、こっちはそのショーの内容を新しくしたりもっとクールなものにしたりできるけど、ある程度時間が経ってしまうと、やっぱりファンが一番望んでいるのは新曲ってことになるもんね。ファンが心から望んでいるものを発表することができて、私も心からハッピーよ(笑)! リアクションはすごく良かったの! いろいろフィードバックを貰った中で、特に、「The Game Is Over」を気に入ってくれている人が多いという印象があるわ。

-あの楽曲は、イントロの鐘が鳴るところから"これからどう展開するんだろう?"とワクワクさせられます。

やったぁ(笑)!