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INTERVIEW

EVANESCENCE

2021.03.23UPDATE

2021年03月号掲載

EVANESCENCE

Member:Amy Lee(Vo/Pf)

Interviewer:山本 真由

-そうだ、彼女が加入してから初めてのスタジオ・アルバムでしたね。

そうなの。一部......半分くらいかな、は一緒にやることができたんだけどね。それまでも一緒に曲は書いていたし、4曲一緒にレコーディングすることができたから。でも、残りはリモートだった。でもね、ファイル共有は私にとって以前からクールなことだったの。"みんな! 何かアイディアがあったら、なんでもいいからDropboxのフォルダに入れておいて。そこからコラボしましょう"って言えるからね。それでクリエイティヴな気分になったときにそのフォルダからネタを引っ張り出して、何か歌を入れてみたファイルを戻しておくの。"ねぇみんな、こういうのどう思う?"みたいな感じでね。そうしたら少しはテニスができるでしょ(笑)。それを何度か繰り返して、最終的に一緒に何かやれるまでの状態に持っていくの。そんな感じで、ファイル共有で結構いいところまでいけるんだよね。Jenは......Jenがこのバンドにいると何がいいって、今回は初めて自分以外のヴォーカルを入れたのよね。あっ、違うか。「Call Me When You're Sober」(2006年リリースの2ndアルバム『The Open Door』収録曲)のときに妹ふたりにバックで歌ってもらったね(笑)。あれは"ギャング"のヴォーカルが必要な箇所があったから。......でも、それ以外はなくて、今回はJenにヴォーカルで結構参加してもらったの。それによって深みとダイナミクスが生まれたと思う。アルバムを作るときは、いつもメンバーのパーソナリティができるだけ音に出るものにしたいと考えているの。どんなに小さな箇所でもいいから。そりゃ新しいメンバーを入れたところで、すぐにクールなものを期待できるかどうかはわからない。そういうこともあって私が曲を書くんだけど、メンバーには必ずチャンスを与えたいの。その人のプレイの仕方や、ちょっとしたメロディとかで個性が出ることがあるからね。Jenはかなり多くのものをもたらしてくれた。心から誇りに思ってる。距離があったのは最悪だったけどね......7~8月にようやく集まってライティング・セッションができたのに、4人だけで、彼女がいられなかったから。でも、私たちがレコーディングを進めるなかで彼女もギターを録音することができて、クールなヴォーカル・パートもプラスしてくれた。おかげで個性的な面をアルバムにプラスすることができたね。

-同じ場所にいられなかったのは残念でしたが、もしかしたら移動がなかったからこそ、思ったより多くの貢献ができたとか、そういうことはあったと思いますか?

そうは思わないかな。一番貢献してくれたのはやっぱり一緒にいたときだったから。でも、この状況を乗り切ってくれて、一緒にいられなくても、最大限の貢献をしてくれたことは本当に素晴らしいと思うし尊敬しているわ。

-なるほど。そして今作は、様々な特典が入ったデラックス・エディションもリリースされますね。そんななかで、気になったのがAmyの日記ですが、これはどのような内容なのでしょうか? 制作時の様子が窺えるような内容なのでしょうか。それとも単に真っ白な紙であなたがひと言書いているだけとか?

もう少し内容があるよ(笑)。日記帳で、自由に書ける白紙のページがあるの。基本的にはそうなんだけど、冒頭に私がちょっと文章を書いていて、バンドのクールな写真が何ページかあって、それから五線紙のページと、日記帳のページがあるの。それで、日記帳の1ページ目には私の前書きがある。私が1日目を書いているような感じね。五線紙の1ページ目には「Far From Heaven」の楽譜が印刷されているわ。

-へぇ!

"私たちが書き始めたから、あなたが書き終えてね!"みたいな感じね。

-ファンにもクリエイティヴになってもらう仕掛けがあるんですね。

そうよ。

-いいですね。アルバム制作日記のようなものかなと思っていましたが。

もう少し細かいものを入れようかなとも思ったけど、そこまで量がまとまらなかったんだよね。ただ、後日もっといろいろ写真を入れたりしたものを出そうとは思っているよ。もっと高くなるけど(笑)。そのアイテムにだけ特別に入れるものとかね。そっちはちゃんとした形にしたいから、今回はもっと日記帳的なものにフォーカスしようと思って(笑)。でも、ボックス・セットの中で一番お勧めなのはカセットなんだよね。

-カセットですか。

そう。カセットが入ることに一番ワクワクしているわ。そっちのほうが制作時の様子がわかる内容になっているからね。よくあるパターンとは違って、いろんな音源のスクラップを集めたものなの。例えば、みんなでひとつの部屋に集まって曲を書いているときの様子とか、携帯の留守電に入っていたメッセージとか、ボツになった曲の断片とか、そういうのをコラージュ的な感じで集めたの。早くみんなに聴いてもらいたくて楽しみ。

-そんなお宝音源がカセットに入っているなんて、いっそうスペシャルなボックス・セットになりますね。スペシャルと言えば、今作はCDのみ日本で先行リリースが決まっていますが、EVANESCENCEの新作を待ち望んでいた日本のファンにとっては嬉しいニュースですし、感謝しています。

クールね!

-発売日の調整は、事務的な理由もあるのかもしれませんが、日本のファンはダウンロードや、サブスクが当たり前の社会になった今でも、フィジカルで音源を買うことが多いんです。

らしいね。CDを日本先行にできて光栄に思ってる。というか、私たち日本についてはいつもスペシャルな気持ちがあるの。日本はスペシャル・エディションや、スペシャル・コンテンツの宝庫だしね。別バージョンとか。だから、日本に行くといつもレコード店に行くの。アメリカでは手に入らないスペシャル・バージョンがたくさん売っているんだもの。

-日本のファンが、ダウンロードに先駆けて、世界で初めてEVANESCENCEの新作を手に取るということについてはどう感じますか?

素晴らしいことだと思う。私、フィジカル・アルバムが大好きなの。ロック・バンドとしても必ず作るべきものだと思っているのよ。デジタル時代も大好きだし、今まで通りのアルバムしか出せないようなやり方に縛られない、自由なリリースができることが素晴らしいとは思っているけどね。曲単位で、作ったら特に大義名分もなく出せるっていうのはいいことよ。でもバンドとしては、アルバムを出すというのはカルチャーの一部だし、フル・アルバムを出すべきだと思っているの。特に、私たちみたいなタイプのバンドはね。アートワークや、パッケージングも大好き。集めてもいる。みんなと同じよ(笑)!

-今回のパッケージも写真で拝見しました。かっこいいですね。実物を見るのが楽しみです。

嬉しいわ。

-さらに、昨年は和楽器バンドとAmyのコラボ楽曲「Sakura Rising」も話題となりました。多くの人が不安を抱える日々の支えになるような希望を感じる楽曲でしたが、このコラボレーションはどのようにして決まったのでしょうか? また、実際行っていかがでしたか?

最高だった! "自分たちはこんなこともできるんだ"っていうのが、期待を大幅に上回ったの。和楽器バンドとは日本でレーベルが同じで、レーベルに引き合わせてもらったわ。もともとどんな意図があったのかわからないけど、曲を聴かせてもらって、"コラボできたらいいね"なんて話になったんだよね。彼らがオーケストラとコラボすることになって、私も日本に行って彼らのカバーする「Bring Me To Life」に参加することになったの。"超楽しそう!"って思った。だって、日本に行けて、クールな日本のバンドと一緒にステージに立てるんだよ? 自分のショーみたいなプレッシャーもなく、ひたすら楽しめるって思って。"YES! やるわ! やる気満々よ!"という感じだった! で、"YES"と言ってから話を詰め始めたんだけど、"ちょっと時間をとって一緒に曲を作ってみるのはどうだろう"という話になったの。すごく野心的なアイディアだと思った。誰とでもできるものじゃないから、あの人たちと一緒にそんなことができるなんてマジックみたいなものだし。でも、私は彼らの音楽が大好きだし、自分がとっつきやすい何かがあるような気がしたの。それでちょっと考えて"OK、やってみましょう。ただ、2日間で何かできるかどうかはわからないけど"と答えたわ。"トライしてみる! ベストを尽くすわ"ってね。でも、心の中では"試してみるだけでも、きっと楽しいだろうけど、きっと何も形にならないだろうな"って確信していたから、パフォーマンスに専念しようって思っていたの。パフォーマンスでは素晴らしい時間を過ごすことができて、「千本桜」を日本語で歌うことも少し覚えたのよ。私は日本語しゃべれないし大変だったけどね。でも、日本の文化は大好きだし、すごくワクワクして楽しかった! それにチャレンジすることは大好きだからね。"やるよ! 日本語で歌うんだから!"なんて思って(笑)。それにフォーカスして頑張った。そのあとスタジオ入りしたんだけど......その前の晩いろいろ考えていたの。自分のバンドのときもそうなんだけど、ある程度アイディアを持ってそういう場には臨みたいからね。ただ座って"アイディアないのよね~"なんて時間を潰すだけなのは嫌だし。最初は何もなかったけど、ライティング・セッションの前の晩は時差ボケで、朝3時に目覚めてしまったの。そのとき頭に曲が浮かんでいたのよ! ヴァースのほんの一部分だったけどね。すぐ携帯を手に取って、録音メモをとった。翌日スタジオで町屋(和楽器バンド)に会ったとき......小さなスタジオに入っていったら......あ、素晴らしいスタジオだったよ。すごくたくさん人がいて、ちょっとビビっちゃった。知らない人ばかりだったしね。通訳さんとレーベルの渉外担当の人と町屋とプロデューサーと、エンジニアがふたりいて、しかもその様子を録画してたの(笑)!

-(笑)

"ちょっと! すごいプレッシャー!"って思った(笑)! "まぁいいや、うまくいかなかったとしても私のせいじゃないってことにしようっと"って自分に言い聞かせたよ。で、町屋に"あのね、ベイビーみたいに小さなアイディアを夢に見たんだけど、聴いてくれる?"と言って、彼に歌って聴かせたの。ドラム・ビートは口でやってね。そうしたら彼ってすごいの! "わかった"と言ってPro Toolsに向かって、いきなり曲を組み立て始めたの。私の歌った通りによ! もう"ワオ! あなたってすごい!"と思った。しかも仕事が速いの。サンプル音をいろいろ使ってあっという間にデモができてた。それから彼がギターを取り出して、その続きの部分に一緒に取り組み始めて......本当に美しくクリエイティヴな展開だったよ。夢に出てきたのは曲の全部じゃなくて、一部だけだったから、残りは和楽器バンドとのコラボだったの。むしろ彼らがほとんどやってくれたようなものね。とにかく本当に素敵な展開で、コラボできて本当に感謝してる。一緒に作った「Sakura Rising」は本当に気に入っているよ。一緒に考えた歌詞のアイディアは、最初は今とはちょっと違う内容だったけど、歌詞って通常最後に仕上げるものだから。私がアメリカに戻った時点ではメロディとアイディアはできていたけど、歌詞がまだだったの。数週間後ゆう子(鈴華ゆう子/和楽器バンド)がメールをくれて、"ちょっと方向性を変えて、今私たちが乗り越えようとしているものについて書かない? 今世界中が突然パンデミックで未曽有の状況に陥っているけど、私たちにはみんなで力を合わせようって呼びかける機会が与えられているわけだから"って。最高のアイディアだと思った。それで書きかけだった歌詞をボツにして、最初から書き直したの。とてもクールで美しい経験だった。相手はそんなに英語が話せないから、彼女のアートを"読む"作業が大事だったの。それを私なりに解釈して、今度は自分が歌詞を書く。彼女のと同じではないけど、表裏一体のものをね。本当にユニークな経験ができたと思う。お互いの歌詞が誰にも気づかれないような絶妙な形で合っていてね。最初はその箇所にいろいろ注釈を書いていたんだけど......まぁ説明するのはやめるわ。複雑すぎるからね(笑)!

-それにしてもいつでもチャレンジを厭わないのはすごいですね。パンデミックがあろうと世界情勢がクレイジーであろうと。この先のチャレンジも楽しみにしています。

ありがとう。チャレンジがあるからこそ、面白さが持続するのよ! だからこそ、やりたいと思えるし、ワクワクしていられるし、情熱も持っていられる。居心地のいい場所に安住しているだけじゃ嫌だから。チャレンジはあるべき。そうしたら取り組みながら成長を感じることができるし、新たな高みに行くことができると思う。

-では最後に、日本のファンへメッセージをお願いします。

今具体的な日程が欲しいところなのに、"いつか"としか言えないけど、日本にまた行きたくてウズウズしているよ。メンバーみんなそう。去年日本に行くはずだったから、楽しみにしていたんだよね。行ける状態になったらすぐ行くよ。日本は私たちにとってとてもスペシャルなご褒美みたいな場所だから、毎回楽しみにしているの。遠いところだから、そうしょっちゅうは行けないけど、いつも"本当に"楽しみなんだよ! みんなが恋しいし、愛してる! 私たちの成長を早く見せたいよ!

-ありがとうございました! 日本でお会いできることを楽しみにしています。

ありがとう! ラーメン食べに連れてって(笑)! 無事でいてね!