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LIVE REPORT

山人音楽祭2016

2016.09.24 @ヤマダグリーンドーム前橋

Writer 塩﨑 陽矢

妙義ステージ:山人MCバトル
唯一野外ステージだった"妙義ステージ"では、"山人MCバトル"が開催された。初戦のTK da 黒ぶち vs NAIKA MC戦は、NAIKA MCに軍配が上がり、続いて、崇勲 vs サイプレス上野(以下:サ上)戦は、サ上が勝利。1回戦最終試合はGOLBY vs N∀OKI(ROTTENGRAFFTY)。バトル前に先攻後攻決めに揉めたN∀OKIの揚げ足を取って攻めたGOLBYが勝利した。即興で飛び出す言葉やスキルの高いフロウでぶつかり合うこのMCバトルに、オーディエンスもどんどん集まってきた。その後、敗者復活戦により勝ち上がった崇勲とNAIKA MCによる決勝戦が行われ、甲乙つけがたいバトルの末、"山人MCバトル"初代チャンピオンに輝いたのは......NAIKA MC! 数々の名バウトを生んだ"山人MCバトル"、来年の開催にも期待が高まる!


赤城ステージ:WANIMA
MCバトルを見終え、"赤城ステージ"に向かっていると入場規制がすでにかかっていた。入口付近で聞き覚えのある"開催宣言"が......WANIMAの演奏が始まったのだ! エンジン全開の「THANX」でスタート・ダッシュを切り、"ロック×エロ"を自分たちのスタイルのひとつとして確立した「いいから」でシンガロングが巻き起こる。FUJI(Dr/Cho/食いしん坊)は長渕剛のモノマネで、KENTA(Vo/Ba/ワンチャン)は、髪型が似ていることから"10年前のジーフリ茂木です!"と爆笑を誘うなど、キャラ立ちもバッチリ。続く「リベンジ」では"山人"と何度も連呼し、限りないジーフリへの愛を見せる。普段無口なKO-SHIN(Gt/Cho/無口)が珍しく"お前たちー! そんなもんじゃ、山人にはなれんぞー!"と声を荒げ、それを合図に「Hey Lady」をドロップ! 高速ビートにモッシュやクラウドサーフでフロアは沸騰状態に。"大丈夫?"、"疲れてない?"、"ちゃんとご飯食べてる?"など、KENTAは曲間ごとに観客に問いかけることも多く、彼らは会いに来てくれる人と常に向き合い、その場の楽しさをしっかりと共有してくれる。それこそがWANIMAが人を惹きつける最大の魅力だと思う。ラストは最新シングル「ともに」でオーディエンスと"ともに"それを体現する見事なライヴで幕を閉じた。アリーナのステージもまったく違和感ない、近い将来そんな日が来ることを予感させる堂々たるパフォーマンスを見せてくれた。


赤城ステージ:10-FEET
敬愛する所属事務所の仲間にバトンを渡すべく登場したのは10-FEET。"京都大作戦か?"と錯覚するほどのタオルが掲げられ、代表曲「RIVER」で初っ端から手がつけられないほど盛り上がるフロアに、TAKUMA(Vo/Gt)はいつもより多く煽ったり声を荒げたりと気合十分。「風」、「1sec.」と、曲が終わるたびに"ありがとうございました!"と告げるTAKUMAからは、1曲1曲に懸ける想いがヒシヒシと伝わってくる。"トリのジーフリはもちろんやけど、いろんなバンドをできるだけ見てくれ!"と熱弁する姿からは、何年経っても変わらないバンド仲間との友情、オーディエンスとの絆、そういう様々な縁も含め、人と人の繋がりを何よりも大切にするその想いが伝わってきた。だからこそ彼らの周りには自然と人が集まり、老若男女問わず愛され続けるのだろう。フロアを縦に揺らした「goes on」で勢いよくライヴを再開させ、TAKUMAの語り口調のような歌い出しから始まるエモーション全開の「アンテナラスト」で胸が熱くなる。ジーフリが最高のスタートを切れるよう、ラストでは「その向こうへ」を披露し、メンバーがステージを去ったあとも歓声と拍手は鳴り止むことがなかった。


榛名ステージ:HAWAIIAN6
"榛名ステージ"のトリを務めるのはHAWAIIAN6だ。ABBAの「Dancing Queen」をSEに登場した彼らは大歓声で迎えられ、笑みをこぼす。HATANO(Dr)が、"上(の階のアリーナ)よりも5分の1のサイズ感だけど、5倍楽しむぞ!"と、早くも1曲目の「MAGIC」でカオティックな空間を作り出す。いつも我々の限界を引き出してくれる彼らのスタイルは、どんな場所でも変わらない。「THE LIGHTNING」、「TINY SOUL」、「RAINBOW RAINBOW」と、初期の曲を立て続けに披露するワンマン公演のようなセットリストに、フロアのボルテージは最高潮に! YUTA(Gt/Vo)は何度も手を広げて煽り、クールなGURE(Ba)も感情剥き出しでシャウトする。そしてそのまま「Light And Shadow」をお見舞いし、トリのジーフリのために温存しているオーディエンスの体力を見事に削っていく。彼らはバトンを繋ぐ気はないのか? いや違う。これがHAWAIIAN6なりの最大級の愛情表現なのだ。主催イベントを開催する者同士、長年苦悩の道のりを歩んできた盟友だからこそ、信頼して任せられた"榛名ステージ"のトリをしっかりと務め上げ、「I Believe」、「Promise」と珠玉のナンバーで大円団を迎えた。


赤城ステージ:G-FREAK FACTORY
どのバンドも限られた時間の中で、ジーフリへの感謝を述べ、しっかりとバトンを繋いできた。それは決して目に見えるものではないけれど、誰もがハッキリと感じることができるものだろう。Seitarou Iesaka(Dr/Cho)、Toshiyuki Harada(Gt/Cho)、Nobuyuki Yoshihashi(Ba/Cho)が定位置につき、ジャム・セッションを繰り広げる最中、Hiroaki Moteki(Vo)が出演者、スタッフ、オーディエンス、群馬県、そのすべてに感謝を述べたあとマイクを握る。Motekiの自由自在なラップと楽器隊の変幻自在のバンド・アンサンブルが濃密な世界観を描き出す「Unscramble」。"圧倒される"とはまさにこのことだろう。2年間溜めに溜めたバンドの想い、そしてそれを待ちわびていたオーディエンスの想いが交錯した瞬間であった。"限りない故郷に愛を 作り上げる力を/情けない故郷に愛を かざす手を広げろ"と歌う「日はまだ高く」では、モニターに映る何人ものオーディエンスの目に涙が見え、そして笑って、泣いて、最後には再び笑ってを繰り返す。なんて美しい光景なのだろう。ジーフリの万感の思いがしっかりと届いていることを確信した瞬間だった。Motekiが"10年後のWANIMAです"とMCバトルのような的確なアンサーを返し笑いを誘う一幕も。"やれんのか山人!"と「SOUL CONNECTION」でコール&レスポンスを繰り返しながら、最新シングル「ダディ・ダーリン」へと繋ぐ。この記事を読んでいる人は今一度この曲を聴いてみてほしい。彼らが発信する音楽は、本当に大切なことはなんなのかを教えてくれるはずだ。Yoshihashiのイントロから鳥肌立ちっぱなしの「Too oLD To KNoW」で、Motekiがフロアに降り立ち、オーディエンスに支えられながら仁王立ちする様は(見た目もあってか)まさに"山人"。最後に、心の深層にまっすぐ届く名曲「EVEN」で本編を締めくくった。
鳴り止まない拍手と歓声が巻き起こる中、HEY-SMITHのホーン隊を招いてのアンコール一曲目は、「MONKEY GOVERNMENT」。スカのリズムが心地良く、祝祭ムードはまだ終わらないようだった。そして本日二度目となる「日はまだ高く」をプレイすると、会場全体が大合唱! 出演者もステージに集まり、感動のフィナーレを迎え"山人音楽祭2016"の幕は閉じた。

今回、筆者は上京して3年目にして、初めて群馬を訪れた。様々なイメージがあった群馬。その初めの一歩が"山人音楽祭2016"であって良かったと、心からそう思える1日になった。"北関東オールドルーキー、ローカルヤンキー G-FREAK FACTORY"から受け取った思いは人々の心でずっと生き続けるのだろう。そして、また来年も求めに来るのだ。限りない群馬の愛を。



"山人音楽祭2016"
9月24日(土)ヤマダグリーンドーム前橋

ACT:G-FREAK FACTORY / SA / キュウソネコカミ / サイプレス上野とロベルト吉野 / SHANK / 四星球 / 竹原ピストル / DJダイノジ / 10-FEET / 東京スカパラダイスオーケストラ / tricot / NakamuraEmi / NAMBA69 / HAWAIIAN6 / HEY-SMITH / My Hair is Bad / MONGOL800 / ヤバイTシャツ屋さん / RHYMESTER / ROTTENGRAFFTY / WANIMA
山人MCバトル:NAIKA MC / 崇勲 / TK da 黒ぶち / GOLBY / MAKA / SAM / N∀OKI(ROTTENGRAFFTY)/ サイプレス上野(サイプレス上野とロベルト吉野)/ 我次郎MIC(司会)/ R da Masta(DJ)