LIVE REPORT
山人音楽祭2017
2017.09.23 ＠ヤマダグリーンドーム前橋
Writer 荒金 良介
妙義ステージ：山人MCバトル
そのあとは、アリーナの外にある妙義ステージへ足を伸ばし、昨年から始まった山人MCバトルを観戦。山人MCバトルとは、12人のラッパーが集まり、フリースタイルによるバトルを繰り広げ、そこで勝者を決めるというもの。SAMと昨年優勝したNAIKA MCが激突している真っただ中で、緊張感漲るやり取りが交わされている。その様子を眺めているだけで、胸の鼓動は収まらない。バンドもそうだが、ラップも現場が一番で、言葉が胸にグサリと入ってくる。今年、NAIKA MCは残念ながら敗れてしまい、結果的にこの日の優勝をもぎ取ったのはSAMだった。この山人MCバトルは、主催者であるG-FREAK FACTORYらしいアイディアであり、アーティストも大いに刺激を受けたのではないだろうか。事実、バンドマンも興味津々でステージを注視していた。
赤城ステージ：10-FEET
赤城ステージで"最後の曲です！"といきなりTAKUMA（Vo/Gt）が宣言したあと、「VIBES BY VIBES」で火蓋を切った10-FEET。ここ最近は1、2曲目を終えて"アンコール始めます！"というパターンが多かったけれど、出会い頭は初めてかもしれない。この日も当然1曲だけで終わるわけではなく、残りのアンコールをたっぷりと披露。ライヴでは後半にプレイされることも多い「goes on」を2曲目に持ってくる、攻めのセットリストに観客も興奮。G-FREAK FACTORYの夢を追い続け、地元群馬を活性化させたい！ という想いに勇気を貰っていると告白するTAKUMA。歌モノ路線を貫く「ヒトリセカイ」、「太陽4号」で聴く者の心を揺さぶると、「その向こうへ」、「RIVER」と人気曲を繰り出し、ビシッと締めくくってくれた。
赤城ステージ：BRAHMAN
続いて登場したBRAHMANは「GOIN' DOWN」でスタートダッシュを駆け、1曲目から大勢の観客を巻き込んでいく。"仲間だからって、容赦しねぇからな！"とTOSHI-LOW（Vo）が鋭利な言葉を投げ掛けると、「賽の河原」へ。鋭く重厚な音色を奏でると、「BEYOND THE MOUNTAIN」、「SEE OFF」、「其限」と繋ぎ、「ANSWER FOR...」ではG-FREAK FACTORYのHiroaki Moteki（Vo）と熱い掛け合いを披露する様子に観客も沸いた。「鼎の問」ではスクリーンに原発に関連する映像が流れ、また、今日の出演者ILL-BOSSTINO（THA BLUE HERB／MC）を迎えると、コラボ曲「ラストダンス featuring ILL-BOSSTINO(THA BLUE HERB)」を披露。両者が掛け合う炎をキープしたまま、"怒りを見せろ！"という言葉と共に「不倶戴天」で観る者のハートを射抜いていた。
榛名ステージ：NAMBA69
榛名ステージに現れたのは、昨年6月に元ARTEMAのko-hey（Gt/Cho）が加入し、4人体制になったNAMBA69。バンドの好調ぶりを示すように、今年4月に出たミニ・アルバム『HEROES』は文句なしの傑作だった。それはライヴにも顕著に表れ、現4ピースが織り成す音のキレ、厚み、カタマリ感にぶっ飛ばされっぱなし。スカもメタルも飲み込んだ最新ミニ収録の「MANIAC」も凄まじいライヴ映えで、サークル・モッシュを誘発。カバー曲「TAKE ME HOME,COUNTRY ROADS」でシンガロングを巻き起こすと、「HEROES」、「未来へ ～It's your future～」で鮮やかにフィニッシュ。何度も鳥肌が立つほど、素晴らしいライヴであった。
赤城ステージ：G-FREAK FACTORY
そして、ついにトリのG-FREAK FACTORYの出番がきた。Hiroaki Moteki、Toshiyuki Harada（Gt）、Nobuyuki Yoshihashi（Ba）、Seitarou Iesaka（Dr）の4人が赤城ステージに立つと、ヘヴィ・ミクスチャー路線の「SOMATO」を放つ。それからバンドの代表曲のひとつ「日はまだ高く」をここでプレイ。"限りない故郷に愛を"という歌詞を観客も大声で歌う光景が見られた。"一緒に俺らの故郷を背負ってくれるか？ 仲間が力を貸してくれて、今年も田舎に事件が起きた！"とMotekiが語ると、ゲストに地元の三線奏者を招き、「REAL SIGN」を披露。お経のような歌い回しと三線の音色が融合した曲調が、実に新鮮に響いた。そして、「風林花山」も地元群馬という土地で聴くと、より一層歌詞に込めた想いが伝わってきた。名曲である。「Too oLD To KNoW」は女性コーラスとパーカッション、「ダディ・ダーリン」はヴァイオリンなど、多彩なゲスト奏者を迎えて曲調を華やかに彩る演出も効果的だった。本編最後の「EVEN」に入る前に、"この場所で平和を感じようぜ！"と茂木は呼び掛けていた。地元に根を張り、何度も這い上がって、前に進んできた彼ら。G-FREAK FACTORYが鳴らすレベル・ミュージックは、だから聴く者の琴線を強く深く直撃するのだ。熱い咆哮と魂の演奏に、心の底から感動した。
