DISC REVIEW
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2024年は結成20周年となり、5年ぶりの47都道府県ツアーはじめ様々な企画を準備しているという打首獄門同好会。アニバーサリーを幕開けるのがこのニュー・アルバムとなる。前作『2020』以降にリリースした「シュフノミチ」や「死亡フラグを立てないで」、「地味な生活」のほか、今年に入ってMVが公開となったUHA味覚糖"ぷっちょ"非公式コラボ・ソング「部長ぷっちょどう?」など全12曲を収録。今回のツアーの最高のSEになりそうな「20!+39!=59!」で始まり、そして"生活密着型ラウドロック"という独自のスタイルを築いたがゆえに音楽シーンで孤高の存在となっている20年を歌う「フワフワプカプカ」、また「少年よ、君に伝えたい事がある」はこれから楽器やバンドを始めるキッズにぜひ聴いてもらいたい先輩からの愛と哀愁のアフォリズムが叫ばれる。アルバムの掴みから、打首の真骨頂が連打される。自虐や諧謔でシビアな現実を乗りこなし、相当にテクニカルで難解な3人のアンサンブルであるのに、子供でも口ずさめるキャッチーさも両立する、その妙技が極まった作品だ。「部長ぷっちょどう?」のぶっ飛びぶりはMVで確認してもらうとして、「クッチャネ」のハイパー・ミクスチャー・サウンドや、アルバムのラストがこの曲なのかという「KOMEKOMEN」のシュールさも必聴。 吉羽 さおり