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LIVE REPORT

打首獄門同好会

2018.03.11 @日本武道館

Reported by 吉羽 さおり

2004年に結成し"生活密着型ラウドロック"という新たなジャンルを打ち立てて、日常に起こるあれこれや好きな食べ物について歌い、虫歯やダイエットの苦難などを綴ってきた打首獄門同好会。ささやかなる日々の出来事を爆音のラウド・サウンドへと昇華するという、ユルいけどフルスイングなスタイルが徐々に話題となって、これまでライヴハウスを拠点にツアーを行ってきたバンドが、2018年3月11日、満員の日本武道館のステージに立った。ストーリーだけを見ると、とても美しく感慨深いものだが、それだけで終わらないのが打首(打首獄門同好会)というバンドだ。この武道館公演が決定した1年前から、"目指せ!!武道館 2017-2018 戦獄絵巻"と題して、さまざまなお題を達成しながら武道館を目指すというドキュメントをエンターテイメントに昇華して、たくさんの人を巻き込みながら、武道館へと突き進んできた。ちなみにそのお題には、夏秋冬春の連続リリースや、47都道府県ライヴ全国制覇、フェス全国制覇などがあったのだが、のちに四国のフェス出演だけクリアしていないことが発覚。急遽、フェスの代わりと言ってはなんだが、四国八十八ヶ所お遍路の旅を敢行。フロントマン 大澤敦史(Gt/Vo)と、毎度打首の遊びに巻き込まれている盟友、アシュラシンドロームの青木亞一人(Vo)とのお遍路VTRが武道館の開演前に上映され、観客の笑いを誘っていた。八十八ヶ所制覇の瞬間は、会場一体で拍手喝采となる盛り上がりぶり。満員の武道館は開演前から、バンドのチャレンジを見守ってきた温かい連帯感と、ワクワクとした高揚感でいっぱいになっていた。



"日本武道館へようこそ。結成13年半、最高の祭の日がやってきました!"という大澤の挨拶に始まり、"お祭りフレーズ、カモン!"と「DON-GARA」でド派手にスタートしたライヴ。この曲では、男鹿ナマハゲ太鼓がゲストで登場して、そのビートに華を添える。男鹿ナマハゲ太鼓とは昨年の"OGA NAMAHAGE ROCK FESTIVAL"のステージでも共演している。1年を通した企画の回収をしていくのも、この武道館公演の醍醐味だ。「歯痛くて feat.Dr.COYASS」では、ラッパーにして打首のかかりつけ歯科医、Dr.COYASSが登場。"普段は、痛いところあったら手を上げてと言っているけれど、全員、手を上げて!"と会場を盛り上げる。オール・スタンディングのアリーナは熱気に満ちており、各所でサークルが出現して汗を振り飛ばしている。「New Gingeration」ではステージに巨大な新生姜バルーンが登場し、「島国DNA」ではアリーナの6ブロック対抗で、曲中でどのブロックがマグロのバルーンを高く、そして活きよく飛ばせるかを競った。判定人はバンド、漁港のリーダー、森田釣竿(Vo)だ。また、中盤で披露した「47」はこの日初披露の曲。武道館公演当日にリリースされたミニ・アルバム『春盤』に収録され、まさにツアーで全県を巡ってきた彼らだから歌える曲だ。本人たちいわく"地理の勉強に役立つ"メタリックな1曲で、初披露ながら抜群のキャッチーさがあり、観客は拳を上げていた。「きのこたけのこ戦争」では、バックドロップシンデレラから、豊島"ペリー来航"渉(Gt/Vo)とアサヒキャナコ(Ba/Cho)が登場し、続く「88」では大澤とお遍路をした青木亞一人が登場......したかと思うと、スタッフによってフライング用のベルトが素早く装着され、イントロと同時に上昇。この大舞台でも打首の思いつきに巻き込まれ、苦手な高所から盛り上がるフロアを見つめることに。バンド、アシュラシンドロームの硬派なフロントマンを、最高のリアクション王にできるのは打首くらいのものだろう(続く「10獄食堂へようこそ」でようやくステージに着地し、歌うことができた)。おなじみ"うまい棒"がフロアに配られる「デリシャスティック」は、観客が手慣れた様子で周囲の人に行き渡るように配っていく。こういうちょっとした共有感がまた、大きな一体感を生むのだろう。ラストの「カモン諭吉」では万札の紙吹雪が舞い、なんとも夢見心地の気分にもさせてくれるライヴとなった。



アンコールの「布団の中から出たくない」では、MVに登場したキャラクター、コウペンちゃんの着ぐるみが登場したり、「フローネル」ではステージ脇の高いバルコニー状になったところに、一瞬、KenKen(RIZE/Dragon Ash etc/Ba)が登場したりという贅沢さで、観客をどよめかせた。友情出演だらけのステージは、打首のここまでのキャリアの集大成であり、自らの日常をラウドなサウンドとアイディアでアトラクション的なエンターテイメントにしていく、ひとつの到達点となった。

1年間、武道館というゴールを目指し全速力で駆け抜けてきた打首獄門同好会は、このライヴ後、しばし春休みをとって英気を養っている。大成功で幕を閉じた武道館公演を経て、ここからの活動や新たな展望にも期待したい。

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