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INTERVIEW

打首獄門同好会

2019.03.06UPDATE

2019年03月号掲載

打首獄門同好会

Member:大澤 敦史(Gt/Vo) 河本 あす香(Dr) junko(Ba)

Interviewer:吉羽 さおり

初の武道館公演を成功に収めて1年。打首獄門同好会は、そのテンションをさらに上げ、キレッキレのミニ・アルバムを持って帰還した。そのタイトルは"そろそろ中堅"。最近では、junkoが還暦を迎えたというディープ・インパクトが世の中を賑わせていて、そこにさらに"中堅"というタイトルを持ってくるねじれっぷりはあるが、結成15周年を迎えてなお、攻めの姿勢で作り上げたアルバムである。収録曲の半数ほどがコラボ曲という内容でもあり、そのコラボも打首流のマナーでとことん貫いている。この3人にしかできない遊び、実験、捻くれっぷりを炸裂させた内容が痛快だ。

-2018年3月11日に行われた初の日本武道館単独公演を経て、そのあとはお休みを取ったりしていましたが、今回の制作はどのような感じでスタートしていったんですか?

大澤:この収録曲で言うと「はたらきたくない」からスタートしました。ゲーム会社から急にメールが届いて、テーマ・ソングを作ってほしいと。で、ゲームの詳細を見たら、中学生くらいのときにやり込んだゲームに関わっているスタッフが名を連ねていたんです。"このクリエイターが作っているゲームには関わりたい!"と思って、この話詳しく聞きたいですって。それが、武道館が終わって5月とか6月くらいだったのかな。

-たしかそのゲームが"WORK×WORK"という仕事をするという内容のものなんですよね。そこに対して「はたらきたくない」という曲で返すというのは、よく先方も受け入れてくれましたね。

大澤:これは正直俺たちのせいじゃないんです(笑)。ゲーム会社の人がおかしいんですよ。まだゲームの内容はできていなかったんですけど、ストーリーをざっくりと教えてもらって、"どういう曲を作ったらいいかご希望をうかがっていいですか"ってやりとりをしたら、"例えば曲のテーマは、はたらきたくないとか......"って向こうから言ってきたんですよ。

junko:はははは(笑)。

大澤:いや待てよ、と。働くゲームってことでいいんですよね、わざわざゲームまでして働くっていうことでいいんですよね? って。それでいいのかと思ったんです。一応こちらも気を遣って、"じゃあ、自分たちなりに考えた曲をいくつかデモで持っていきます。それでやるかどうか決めましょう"ということで、無難な曲も作ったんです。ストーリー的に主人公がバイトをしていたら、お客さんの王子のいろんな思惑に巻き込まれて魔王退治することになるとか、大変なことになるらしいという曲を作ろうとして、キャッチーなメロディで"僕はただのバイトなのに魔王退治で大変だ"っていう曲を作りました。これがひとつ目で、あとは、うちはこういう遊びもありますよっていう意味で、最初に言っていた「はたらきたくない」も一応作りましたと。遊び半分で、今までにない低い声を出そうとか、サビは"はたらきたくないねー"って言うとか、リフはこんな感じで、コードとメロディが合ってないようで合ってる感じがグランジっぽくて楽しいねっていうので、1コーラス作って。通らないかもしれないけど、これがふたつ目ですって聴かせたんです。

-なるほど。

大澤:ゲーム業界の方も、およそ感覚がおかしいんですよね。全員聴き終わったあとに"こっちだね"って指差したのが「はたらきたくない」で。"いいんですか!?"っていう。そういういきさつだったので、コラボとはいえ、向こうから面白いネタを振ってきてくれたし、こっちも好きな曲を出せたし、お互いウィンウィンな感じだったんです。コラボって制約がつきものなはずなのに、めっちゃやりやすくていいものができたじゃんっていう。そういうスタートだったんです。

-しかも、今までにないタイプの曲ですしね。

河本:そうそう、面白い曲で。

大澤:あのサビはjunkoさんが気に入ってたよね。

junko:だいたいいつもオケが先にきて、歌詞は知らずに聴くんですけど。何しろすぐに、"これいいって、絶対うちら売れる!"って思っちゃったんです。

大澤:実際、今やこの曲はライヴでも人気ですしね。

-なんとも言えないツボをくすぐる曲なんですよね(笑)。しかも、内容的には日々のテーマ・ソングにしたいくらいの曲です。

大澤:あんなに午前中のツイートが伸びる曲はないくらいですね。うちにはもう1曲そういう曲がありますけど。

河本:布団から出たくないやつね(2018年1月リリースのシングル『冬盤』収録曲「布団の中から出たくない」)。

大澤:2大巨頭があるんです。みんな布団から出たくないし、はたらきたくないっていう朝を迎えるんだなという。今年の冬はこれがペアでヒット数を伸ばしましたね。個人的にはイヤイヤ期と呼んでますけども(笑)。そのイヤイヤ期からのコラボ期が訪れました。