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INTERVIEW

打首獄門同好会

2019.03.06UPDATE

2019年03月号掲載

打首獄門同好会

Member:大澤 敦史(Gt/Vo) 河本 あす香(Dr) junko(Ba)

Interviewer:吉羽 さおり

-たしかに今作を見ると、コラボが続いている感じですね。

大澤:ようやくこのバンド名が市民権を得ていろんな話をいただけるようになって、ふたつ目にきたのが「YES MAX」で、エースコックのスーパーカップMAXのCMの話だったんです。話の段階では、テレビCMかWEB CMのどちらが来るかわからなかったんですよ。これも自分の中で面白いなと思ったのは、CMということで15秒とか30秒を意識して曲を作るのが初めてだったんですよね。普通に気持ち良く曲を作ると、4小節×4の倍数が一番気持ちいい組み合わせだと思うんですけど、それだと15秒に収まらないということで、2小節のところが生まれたりするんですね。自分の自然な発想ではないところで曲のアレンジが変わってくるのが、15年目ともなると楽しめるようにもなっているんですよ。これまで散々自分の好きな曲を作ってきたので。

-制約がある面白さもわかってくる。

大澤:縛りがある方が逆に楽しい時期になってきて。

-この「YES MAX」はコラボならではの直球の面白さがありますね。曲中、思い切り"スーパーカップMAX!"って叫んでいるという(笑)。

大澤:この"スーパーカップMAX!"っていう語感が良すぎて。とりあえず最後だけは決まったんです。叫んで終わろうと。

河本:(笑)

大澤:みんなで"マーックス!"って言いたいという。

-MVも上がっていましたが、映像を観てさらにこの曲の感じ、熱い曲調に納得しましたね。これは戦隊モノだったのかと(笑)。

大澤:あれも、結局WEB CMになることが決まったとき、どういう映像にするか話し合って決めようとなったんですね。こっちもアイディア出していいんだ? っていう。まず曲だけできていて、最初は学生とかが出てくるということで話していたんですけど、学生の話で丸々1曲撮るのは難しいんじゃないかなって。そのとき俺がぽろっと"マーックス! って言ってるときに、なんか爆発してるイメージがあるんですよね"って言ったんです。そしたら向こうのスタッフが、"それ俺も思ってた。爆発だよね?"、"じゃあ、爆発させましょう"っていうことになったんです。

junko:(笑)

大澤:爆発させるということは、我々は戦隊じゃないかなと。戦隊モノで怪人と戦うっていうことでいいんじゃないか、それで行きましょうということに決まったんです。あともうひとつ課題があったのが、テレビCMの方に笑福亭鶴瓶さんが出ているんですよ。なのでWEB CMでも鶴瓶さんを何かしらでイジろうっていうテーマがあると聞いて。ただ出演は難しいと。"出演できないけど、イジるんですか!?"っていう。

河本:難しいよね。

大澤:CGなのか絵なのかわからないけど、鶴瓶さんが怪人役ですかねっていう感じになって。それでいろいろやっているうちに、話の食い違いもあっていつの間にか鶴瓶マスクが完成しているという話が飛び込んできたんです。

河本:なるほど、と。

大澤:よし、今からそれをフランケンシュタインっぽくできますか? とお願いして。怪人も最初は衣装を作ろうと思ったんですけど、予算的に本格的なものが作れないし、かといってただのタイツじゃまずいなといろいろ検索をしたんです。本当に世の中いろんなものがあるなと思ったのは、着ぐるみのコスチュームをレンタルしている会社があって。怪人を貸し出していたんですよね。そんな感じで、怪人のマスクが取れたら、鶴瓶マスクが出てくるっていうのはどうですかっていう感じになったんです。設定にしても、悪の鶴瓶博士のDNAを組み込まれた改造人間っていう、無駄な設定もつけたりとかして、いろんなことが組み合わさって、あのシチュエーションができました。

-結果、これもやりたい放題じゃないですか。

大澤:エースコックさんに"いいんですか?"って言ったんですけど、なんのストップもかけられずでした。WEB CMというのが相性いいんだろうなと思いましたね。

-アルバムの1曲目となるのが、ライヴのオープニングに持ってこいの「こどものねごと」です。こういうパターンは初ですか?

大澤:昔はよくやっていたんですよ。ミニ・アルバムとかそのサイズでは、1曲目がスタートの曲っていうのが定番だったんですけど、しばらくやっていなかったんですよね。武道館企画でシングルのリリースが続いたので、逆に言うとできなかったんです。ぶっちゃけフラストレーションが溜まっていて。"あの枠、しばらく作ってないな"っていう。

-この1曲にいろんな要素を凝縮した、必殺技を詰め込んだ曲ですよね。

大澤:しばらく、ライヴの1曲目とかどうしようかってなりがちだったもんね。

河本:うん。

-武道館以降のライヴのあり方や進み方として、よりそういったところにシフトしてるのもあるのかと思いました。

大澤:そうですね。ひと区切りして、セットリストも拡張したいっていう気持ちもありますね。この曲は、コンセプトが決まるのは早かったです。ただアレンジの一部で、ああでもないこうでもないというのがありました。想定がライヴなので、ライヴハウスがどうなるかを思い描いて、これが正解かなっていうイメージでやるんですよね。ここでテンポがこうなったら、フロアはこういう衝動に駆られるはずだとか。こういう動きを、ライヴ1曲目でフロアに持ち込みたいというのを想像しながら、探り探りで作った感じですね。

河本:テンポ関係は、もうちょい早い方がいいんじゃないかとか、遅い方がいいんじゃないかとか、レコーディング前にいろいろと話しました。

大澤:この感じになりたいからこのテンポでは攻めが足りない、とかね。ただ技術的に、このテンポは無理だからっていうのは却下、できないからやらないはなしで。聴き手の心情とこちらの与えたい心情に見合ったテンポを1個ずつ探していくんです。

-そこはこだわりなんですね。

河本:「YES MAX」もテンポの細かいこだわりがあったね。

大澤:意見が割れたよね。ただ「YES MAX」の場合は、15秒、30秒という以外にも時間の遊びがあって、トータルで(ラーメンができあがる)3分という遊びもあるんです。

河本:だから、これ以上はテンポを落とせないってなって。それならわかりました、頑張りますっていう。そういうのはちょいちょいありますね。