DISC REVIEW
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アルバムの幕開けとなる「やんごとなき世界へ」は、ビート迸る賑やかな本格的なサンバ。何が始まったのかと思っていると、メタリックなギター・リフが炸裂するメタルコア・ナンバー「きのこたけのこ戦争」へと突入する。頭から、予測不可能な打首ワールドの深部へと、勢いよく連れていくアルバムだ。彼らにかかれば、歯の痛みも(「歯痛くて feat.Dr.COYASS」)、魚も(「島国DNA」)シンガロング・チューンとなり、納豆(「Natto Never Dies (Strings Edition)」)はクラシカルなジャーマン・メタルへと姿を変える。身の回りの素材を自由自在に、轟音サウンドや歌謡曲ばりにキャッチーな曲へとねじり上げていく、そのパワーは凄まじい。禁じ手なしと言わんばかりに、プレイヤーとしての満足度と大合唱の高揚感も満たしてしまうから、恐れ入る。 吉羽 さおり