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INTERVIEW

打首獄門同好会

2019.03.06UPDATE

2019年03月号掲載

打首獄門同好会

Member:大澤 敦史(Gt/Vo) 河本 あす香(Dr) junko(Ba)

Interviewer:吉羽 さおり

-そして、最後が地元の曲「HAMAMATSU」ですね。超ハードコアで始まったと思いきや、レゲエになるという流れもいいですね。

大澤:曲に関しては完全に遊んでますね。これは私が浜松市"やらまいか大使"という大使になりまして。

-大使としてはぜひ曲を作らないといけない。

大澤:"浜松市出身なんですよね、大使になるのはどうですか?"って言われて、"俺が大使に!?"っていう。それで半信半疑で話を進めたら、本当に大使に任命されたんです。政治の世界やビジネスの世界、浜松市出身で活躍している人っていうので年に何人か選ばれるんですけど、果たして何をしたらいいんですかって聞いたら、"浜松市の魅力をよそのみなさんに伝えてくださればOKです"ということで、なんとなくだなぁと。それで、"じゃあ俺は音楽をやってるから、1曲くらい作りますよ"って約束して帰ってきたんです。それがこの曲ですね。

-では、この曲は先方に聴かせているんですか。

大澤:今のところ歌詞は送っているようですね。ただ、この曲は歌詞だけを見ると完全に地元紹介なんですけど、実は完全に俺が作ったというわけではなくて、毎年5月に行われる"浜松まつり"という、市民参加型の祭りがあるんですけど、それが主要なテーマになってます。それは市民がラッパを吹きながら行進するんですけど、ラッパであるテーマを延々と繰り返すんですね。それがこのメインで使ってるフレーズで。

河本:"パーパパ、パーパ"っていうところが。

大澤:子供のころからそのフレーズを延々と、練習期間を含めると祭りのひと月前くらいからやるんですよね。

-浜松っ子は、この曲を聴くと"あの曲だ!"となるわけですね。

大澤:身に染みつきすぎて、体育祭とかでもそれを始める奴がいるくらいで。

河本:すごい文化だと思うよね。

大澤:その"浜松まつり"の行進が"練り"っていうんですけど、面白くて。歩いて行って、例えば子供が生まれた家とか、スポンサーの店の前とかでわっしょい、わっしょい始めるわけですよ。そのときのアプローチが、特に"激練り"って言われるんですけど──

河本:名前が付いてる!

大澤:"激練り"という激しい練りがありまして(笑)、真ん中でやってる人を中心におしくらまんじゅうが始まるわけです。

junko:へぇー。

大澤:お互い背中で押し合うんですけど、挙げ句の果てに、ぐるぐると回り始めるんですよ。それ、今考えるとモッシュとサークル・ピットだなと。"浜松まつり"、ライヴハウスじゃんって思って。そう実感したからには、大使としてこれをテーマにしない手はないと。このテーマをバンド・アレンジして、そのフレーズを弾いてるときは祭りに忠実に、"よいしょ、よいしょ"って掛け声だけにして、あとはそのメロディのまま名物紹介をしようという曲になりました。

河本:今回、この曲が一番ライヴ向けなんじゃないかと思います。

大澤:説明が必要ですけどね。

河本:大使の仕事もすごいしてるしね。

大澤:大使の仕事、頑張りました。

-まさかメロディまで浜松ネタだったとは気づきませんでした。

大澤:そこは説明が必要なところなんですけど、これを読んで知っていただければと思いますね。

河本:大使としてね。

大澤:浜松市出身の奴だけ、こいつらこういうことやったんだなってわかってくれると思いますね。挙げ句の果てに、なんなら否定してほしいくらい。"お前わかってないな"って(笑)。"なんであれが入ってないんだよ"とか。


外部との絡みが増えてきましたね。いよいよこのバンド名のハードルを乗り越え始めたぞっていう


-今回のアルバムは、収録曲の半分くらいはコラボでもありますが、そのコラボも意表を突いたり、絶妙な打首らしさで打ち返したりとチャレンジにも溢れているのが、タイトルどおり中堅らしさであり、キャリアがあるからこそのものですね。

大澤:いろいろ外部との絡みが増えてきましたね。いよいよこのバンド名のハードルを乗り越え始めたぞっていう。まさか公的な機関ともコラボができるとは、不思議な感じですけど。あと残りの枠はただ好き勝手やってるだけですしね。

-武道館を経て、15年活動をしてきたことで、認知度も上がり、しかも好き勝手やってもらってもいいですというコラボもできるというのはいい状況ですね。

大澤:逆にこちらが、"一緒にこういうことをやりませんか"という話が来たときに、好き勝手やっていいならばいいですよという返し方もできるようになったんですよね。逆に、好き勝手できなさそうだから、この話はやめましょうというのもありますし。今はそういうコラボ期をいろいろ試してます。やってみたら意外と3曲とも面白くなりましたからね。

河本:どうする? 今度恋愛について書いてほしいとかあったら。

大澤:あえてうちにそれをオファーしてくるのは相当ロックだけどね。でも、普通にバンドにオファーするというところとは、ベクトルの違う方がきてくれるので、そういう意味では、ハードルを乗り越えたなりの良さがあります。ちょっと覚悟のできた人しか近づいてこない(笑)。ゲーム会社の人とかは、相当な覚悟を決めてきたと思いますよ。そもそもこのゲームは"全員好き勝手やりたかったんです"というプロジェクトだったみたいで。だからプロモーションも好き勝手やりたいっていうことで、打首にオファーしてくれたのは、こちらにしても名誉なことで嬉しいですよね。

-そして、15周年の"獄至十五ツアー"は47都道府県を回る草の根のツアーとなります。

大澤:武道館への道でやったことはやったんですけど、あのときはフェス出演とか人に呼ばれたライヴでも、その県に行ったとカウントしていたんです。47都道府県にいざ行ってみると、思った以上に良くて。行ったことのない県がことごとくいい県で、いい思い出になったんです。今度は自分のツアーで47都道府県ツアーを改めてやろうと思ったので、この15周年にぶつけた感じですね。

-15周年にしてだいぶハードじゃないですか?

大澤:まぁ、言っても1年かけて回るので。先輩バンドが身体張ってるのを見るわけじゃないですか。10-FEETとかROTTENGRAFFTYとかのツアーに呼んでもらったとき、この人たちえげつないツアーしてるなって思ったんですよね。もう3週間家に帰ってないとか。そういうのを先輩バンドがやっている以上、我々たかだか中堅バンドですから(笑)、まだまだ頑張らないとという。でも、中堅の概念がこの人(junko)で崩れそうになってるんですけどね(笑)。