INTERVIEW
打首獄門同好会
2019.03.06UPDATE
2019年03月号掲載
Member:大澤 敦史(Gt/Vo) 河本 あす香(Dr) junko(Ba)
Interviewer:吉羽 さおり
-そして「こどものねごと」から、続く神々しいサウンドの「パ」は、まさかの歌詞が"パ"でできあがっている曲で、最後の最後にとある名前がポンと出てきますが。これもタイアップか何かなんですか?
大澤:これは勝手に言っただけです。
河本:言いたかったやつですね。
大澤:誰の許諾も得てません。ただこれは、自分的にはものすごく反抗的な歌で、反抗的な要素がふたつあるんですけど、ひとつは歌詞で。打首獄門同好会はおかげさまでいろんな方から、"歌詞が面白いバンドだ"と評価をいただくようになって、それはやぶさかでないし、ありがとうございますなんですけど、そればかり言われていると若干面白くない気もするなと。別に歌詞だけじゃなくてもいけるけど? っていう。だから、歌詞なしで1曲作ろうというのがこの曲ですね。
河本:"パ"しか言わないっていう。
大澤:それで歌詞を本当にひと文字だけにしたら、まぁ難しいこと。"パ"って音程取るのが難しいんですよ。それで、パッ、パッ、パパッ、パってリズムを刻んだら、つい最後のひと言、"パールライス"を言いたくなってしまったんですよね。
-それで出てきたフレーズだったんですね。
大澤:言ってもいいかい? ってメンバーに聞いて。
河本:あれをどれくらいの人が知ってるんだろう。
-パールライスの印象的なCMを知ってる世代はもういい年齢層だと思いますね。
大澤:この曲をやったときにフロアがどんな反応するんだろうという。最後、あのCMのようなフリをしてくるのか(笑)。
junko:(笑)
-気になって検索してくれる人も出てきそうです。そんな"パ"しか言ってないのにめちゃくちゃかっこいい曲というのがまずひとつで、もうひとつは?
大澤:それが1曲目の「こどものねごと」と曲が繋がっているということですね。今やCDという文化がだんだんと薄れつつあって、結局パソコンなどに取り込んでシャッフルで聴くか、ランダムに1曲ずつ聴くかという感じじゃないですか。アルバムを通して聴くとかがなくなってきてもいるから、アーティストもどんどん、アルバム1枚でこういうストーリーのものっていうのが通じない時代になっていて。そういうことを感じるからこそ、こうやって曲が繋がっていると気持ちが悪いじゃないですか。
-1曲単位で聴こうと思うと、前の曲の残響音的なものからスタートしますしね。
河本:そうそう、ぐわ~んって音が鳴っていて。
大澤:あえてこの時代だからこそ繋げようという。
河本:作り手のわがままなのかわからないですけど、こういうことはやりたいですよね。
大澤:なのでこの曲は、反抗期です。
-イヤイヤ期からの反抗期という......いつごろ中堅になるんですかね(笑)。
大澤:落ち着かない中堅ですね。
-そして「Shake it up'n' go ~シャキッと!コーンのうた~」、こちらはコラボ曲ですね。
大澤:3つ目のコラボ曲ですね。これは、はごろもフーズの"シャキッと!コーン"という缶詰の曲で。はごろもフーズさんとの縁は2年前、"風とロック芋煮会"に初参加したときに、突然TOSHI-LOW(BRAHMAN/Vo)さんとかがいる"シーチキン兄弟"のステージにお前も立てということになったんです。"俺何したらいいの?"って思いながら、ステージに立ったのがきっかけで、そのままシーチキン兄弟として認定されて、CMに出られることになって。それでそのCM撮影を武道館の直後にしたんです。
河本:武道館が終わって休むって言って、その休んでいる間に仕事が入って。
大澤:みんな久しぶりに会ったもんね。
junko:武道館のあと、私は沖縄に行ったんですけど、その撮影のために一度東京に帰ってきて、終了して沖縄に戻りました。
大澤:各々自由な過ごし方をしていたんですよ。俺は家に引きこもってドラクエやったりしていました(笑)。それでCM撮影のとき、もちろんはごろもフーズの方もいらっしゃって。うちのバンドが食べ物を歌にするということを認識してくださっていて。じゃあ、はごろもフーズの食べ物でも何かって話していたんですよね。俺、シーチキン大好きですけど、シーチキンの歌は亀田(誠治)さんが作っているし、そもそも打首(打首獄門同好会)は魚の歌もあるしということで、うちはこんな商品がありますと、いろいろ商品を送ってくれたんです。いろいろ食べて、正直一番お世話になったのは、"ポポロスパCarbOFF"という低糖質パスタで。おいしいんですよ。一番食べているんですけど、糖質制限の歌は「糖質制限ダイエットやってみた」(2017年7月リリースのシングル『夏盤』収録曲)でもう歌っちゃったからなと。
-そうですね(笑)。
大澤:"シャキッと!コーン"も代表商品のひとつだから目をつけていて。コーンでどう曲が生まれるかなと探っていて、ホームページを見たらアメリカ産のトウモロコシだって書いてあったんです。アメリカかぁ......って、広大なアメリカのトウモロコシ畑で、陽気なおっさんがトラクターで収穫してる姿を思い浮かべて、俺の頭の中がすっかりアメリカンになりまして。そしたら、"シャキッと!コーン"の"シャキッと"がだんだん"Shake it"に聞こえてきて、できるなと。
-きっとトウモロコシ畑からの発想なのかなっていうのは、大陸感のあるサウンドで感じました。
大澤:"生活密着型ラウドロック"と言いながら、アメリカン・ハード・ロックになりましたね(笑)。LAメタル感もあったりして。
-はい、ちょっとAxl Rose(GUNS N' ROSES)の声が聴こえてくるようでした。
大澤:このメンバーの中でその感じをわかってくださっているのはjunkoさんで。
junko:熱心に聴いてたからね、LAメタルとか。
大澤:"この曲、カウベル入れたいよね"って言うと"わかるー!"っていう。一方そのへんを通ってきてないのがこの人(河本)で。"いや今のは手数多い、もっと豪快に"と言うと"なんか、ドラムが退屈なんだけど"って。"いやそれでいいんだ"っていう。
河本:わかりましたっていう。
-この曲は、ギターの音そのものへのこだわりも相当ありますね。
大澤:この曲は自然にギターが入っちゃうんですよ。絶対ここはペンタトニックだなとか。本当にアメリカのギター弾きのおっさんが弾くようなギターの感じで。MVも最初の企画案はとりあえずアメリカだ、ウエスタンだっていうので、カウボーイの格好をして酒場のドアを開けて、カウンターで酒の代わりに"シャキッと!コーン"がシャーっと滑ってくるのとかいいねっていうのがありましたね。
河本:それやりたかったな(笑)。
大澤:それで調べたんですけど、まず撮影できるところがないし、トウモロコシ畑の真ん中で空撮したいっていうのもあったんですけど、トウモロコシの収穫が夏なのでダメだっていうことで、結果的にアニメになりました。
河本:超かわいいアニメで。
大澤:2年前にジャケットを書いてもらって、武道館のときに「ニクタベイコウ!」(2017年10月リリースの『秋盤』収録曲)でちょっと絵を描いてもらったナガノさんというイラストレーターの方にお願いをして。ナガノさんは忙しいんですけど、打首の仕事ならOKということで描いてもらいました。
-この曲は、はごろもフーズさんのどこかしらで使われたり流れたりするんですか?
大澤:はごろもさん次第ですね。そもそもの発端がCMを作ろうじゃなくて、うちの商品で何かっていうことだったので。MVこんなのできましたけどどうですかって見せたら、向こうの担当の方にもナガノさんのファンがいらっしゃるようで、わりと乗り気みたいな感じでしたね。これがどういうプロモーションで使われるかわからないけど、好き勝手作るよというコースに乗っかりました。