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LIVE REPORT

Zephyren presents A.V.E.S.T project vol.10

2017.04.15 @TSUTAYA O-EAST / TSUTAYA O-WEST / TSUTAYA O-nest / TSUTAYA O-Crest / duo MUSIC EXCHANGE / clubasia / VUENOS

吉羽 さおり

激ロックでもお馴染みのストリート・ブランド、Zephyren主催によるイベント"A.V.E.S.T project vol.10"が4月15日に開催された。今回は、渋谷TSUTAYA O-EAST、O-WEST、O-nest、O-Crest、duo MUSIC EXCHANGE、clubasia、VUENOSと前回よりも会場数が増え、また出演アーティスト数も50組を超えて、サーキット・イベントとしてボリューム感のある内容となった。"ジャンルのクロスオーバー"がテーマとなったが、若手のパンク/ハードコア・バンドから、ラウドロック・バンド、ヒップホップ・シーンの重鎮までと、これほどのメンツが揃ったイベントも稀。これもZephyren代表・GEN氏のアーティストとの交流の深さと信頼感で実現した、多彩なラインナップだろう。

まずは会場として一番大きなO-EASTへと向かうと、オープニング・アクトに抜擢された、熊本発の4ピース NO SKINSがプレイ中だった。熊本での震災から1年、その熊本の音楽を届けるべく全身全霊の演奏で暴れまくり、"今のうちに身体をあたためて、1日楽しんで"と、幕開けに相応しいラウドなサウンドを叩きつけた。どの会場も、一発目からライヴ猛者がラインナップされ、比較的キャパの少ない会場はあっという間に入場規制が行われるような状況だ。duoの1番手を飾った大阪発のラウド系アイドル、PassCodeもまた満員状態。この日はバンド・セットによる重厚なサウンドと熱いパフォーマンスで、フロアのキッズを飛ばしていく。リリース取材時には、今回の出演を喜んでいたと同時に"果たして、自分たちのステージに足を運んでもらえるか"と心配していた4人だが、数々の異ジャンルのライヴで研鑽したパフォーマンス力と注目度の高さで、灼熱の空間を生んでいた。続くヒステリックパニックは今回で3年連続の出演。毎度ボルテージの高い、且つメタリックにしてポップなサウンドでフロアを沸騰させる5人だが、今回はより大きな会場で、そのド級のパンチあるアンサンブルをぶちかました。「ねこ地獄」、「シンデレラ・シンドローム」「うそつき。」など、猛烈なスピードといびつな3声が生み出す狂騒でフロアをのしていった。

O-EASTではGOOD4NOTHING、続くlocofrankとメロディック勢が凄まじい一体感で盛大なシンガロングを生み出し、O-CrestではFABLED NUMBERがダンサブルなサウンドで会場を揺らしている。いろんな会場を少しずつつまみ食いしようかと行ってみるも、すでにどの会場も規制がかかり始めている状況。イベント序盤から、大盛況だ。再びduo へと戻ると、般若、Zeebraとヒップホップ系のアクトが続く。バンド勢の出演が多いなか、ターンテーブルとマイク1本でフロアをねじ伏せるパワーとエネルギーを持つラッパーたちだ。観客にも、パンク系のキッズが多いと見たのか、般若は"何やる?"、"俺の曲、知らないんでしょ?"と軽口でフロアを沸かせつつも、舌鋒鋭く、そのラップでパンク・キッズをも射抜いていく。Zeebraもまた、カジュアルなTシャツ姿だが、貫禄ある存在感で瞬時に会場を掌握。開局したばかりの、日本初のヒップホップ専門ラジオ局"WREP"の話をするなど、日本のヒップホップ・シーンの立役者としてヴィジョンを形にしていく姿勢を、このステージで魅せた。

O-nestでは、5月24日にビクターエンタテインメントよりミニ・アルバム『BLANKS』のリリースが決定し、メジャー・デビューするBACK LIFTが演奏中だが、ここは開始前から入場の長蛇の列が続いており断念。他の会場をチラ見しながらO-EASTへと向かうと、MOROHAが登場した。アコースティック・ギターのUKとMCのアフロという編成で響かせるラップ、言霊は、ヘヴィでエモーショナルで、繊細で鋭く、そして身体や心の奥にじわりと入り込んで居座る。ステージ上で、あぐらをかき奏でるテクニカルなギターの静かな狂気と、心の叫びを言語化した詩的であり生々しく湯気の立った言霊が、フロアを緊縛していく。そんな緊張感もありつつ、アフロが物販で誰にも気づかれぬまま2時間くらいTシャツを畳み続けたとMCして笑わせたりと、引き込んでいった。"せっかくだから、音楽のおっかないところも覗いていって"と、心の暗部も晒した高いテンションのステージには、大きな拍手と歓声が送られた。

続くMY FIRST STORYは、SEが流れるとともに圧倒的な歓声やコールを巻き起こしていった。Hiro(Vo)が"声、聞かせてくれ"と煽ると、悲鳴にも似た歓声が会場を揺るがす。もはやこのA.V.E.S.Tには欠かせないバンドとして、イベントと並走するようにバンドのスケール、人気共に上昇し、武道館公演を成功させるまでになったマイファス。実はこの日は、幕張で別のイベントに出演し、その足で会場に駆けつけるハード・スケジュールだった。それほどにここは、彼らにとって大事な場所である。本日2本目の全力のライヴということで、疲れたと口にしつつも、フロアのキッズの興奮と声を燃料にして、アグレッシヴなアンサンブルを轟かせ、フロアを大きくうねらせていく。もみくちゃになりながら、声を枯らさんばかりにシンガロングするキッズの声が、とにかくでかい。2階へと移動したが、フロアの熱気が上がってきて、その興奮を伝えていた。

そしてO-WESTのトリを務めるHER NAME IN BLOODのライヴへ。昨年末、不祥事によるメンバーの脱退、決定していたツアーやライヴをキャンセルし活動自粛という状況に陥っていた彼ら。A.V.E.S.Tのステージはその復活となる舞台だ。IKEPY(Vo)は、"帰ってきたよ。マジで、待たせちゃったな"と言い、復帰の場所を作ってくれたZephyrenのGEN氏へと感謝を伝えると、"紹介したい奴がいる"と新メンバーとなったドラム、MAKIへとスポットライトを当てる。マッチョなIKEPYに対して、かなり華奢とも言えるMAKIだが、そのドラミングはソリッドで迫力があり、HER NAME IN BLOODの重戦車級のヘヴィなサウンドのボトムをがっちりと支え、走らせていくスタミナもある。この日のために、新曲を引っ提げて戻ってきたと待ちわびたファンに食らわせ、バンドとしての復帰の喜びを音に託してさらにヘヴィに攻めていく、圧巻のステージとなった。

O-EASTのトリを務めるROTTENGRAFFTYのライヴへと向かうと、すでにフロア部分には入れず、2階へ。ドアを開けると、こちらも人が詰めかけていたが、それ以上にものすごい熱気に襲われた。轟音と化したキッズのシンガロングが、ヘヴィなサウンドと張り合って、猛烈な熱を生んでいる。しかしこんなものではまだ足りないと、"踊り狂おうぜ"と、次々にキラー・チューンを繰り出し、モッシュと大合唱を巻き起こしていく。結成して18年。これぞロットンというものを見せたいとMCする。迫力や精度の高いプレイのみならず、観る者の感情のスイッチを入れ、抑えていた思いを吐き出させ、ここでポジティヴに昇華するのが、その"これぞロットン"たるライヴの醍醐味。ノリのいい爆裂な曲から、ラウドで疾走感溢れる曲でフィジカルに盛り上げ、自然と胸が熱くなる歌心で、グッとコブシを握らせる。その真骨頂が、定番曲であり最高潮の汗と涙を生み出す「金色グラフティー」だ。感情をバーストさせるこの曲に会場中の声が重なった瞬間は、このイベントのクライマックスにもなった。

そしてA.V.E.S.Tの最後のステージとなったclubasiaを任されたのは、ヒップホップ・ユニット 餓鬼レンジャー。彼らもまた熊本出身で、オープニング・アクトのNO SKINSから餓鬼レンジャーへと、熊本のアーティストで繋がれたことも今回、印象深いものだった。ちなみに今年、20周年を迎える。ケンドーコバヤシと共にTENGA愛を歌う「神の穴 feat.ケンドーコバヤシ」を、TENGAを掲げながら披露し、フロアにいた女子を気まずくさせつつも、シリアスで前向きなメッセージを伝えたりと、その緩急あるパーティー感は流石の貫禄。途中、ポチョムキン(MC)の足がつるという、20年目にして初のハプニングが起こるなど、勢いあるステージだったことを物語るシーンもあり、賑やかにA.V.E.S.Tの夜は更けていった。

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