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LIVE REPORT

"山人音楽祭 2019" -DAY1-

2019.09.21 @ヤマダグリーンドーム前橋

Writer 吉羽 さおり

G-FREAK FACTORY主催"山人音楽祭 2019"が、今年も彼らの地元群馬ヤマダグリーンドーム前橋で開催された。"GUNMA ROCK FESTIVAL"から"山人音楽祭"へと名称が変わって4回目、2デイズ開催と規模を拡大して2回目となる今年は、2日間で30組を超えるバンドやアーティストが出演し、バンドが主催するフェスとして着実に大きくなっており、そうしたアーティストのバラエティだけでなく、会場内の導線が工夫されたり、また多くの人が快適にライヴを楽しめるような配慮がされたりと、フェスとしてもアップデートしている印象だ。オープニングで挨拶に立ったG-FREAK FACTORYのフロントマン、茂木洋晃(Vo)は、"今年も大成功に導きたい"と語り、"山人音楽祭"、"開幕!"という朝イチから会場一体となったコール&レスポンスを巻き起こして、"山人音楽祭 2019"の開会宣言を行った。


赤城ステージ:四星球

ドーム内に"赤城"、"榛名"、そして野外に"妙義"と群馬の山の名を冠したステージがあるこのフェス。1日目、"赤城"ステージのトップバッターを飾ったのは、四星球。"山人音楽祭改め、山人体育祭を開催します"と宣言し、体操着に赤白帽で登場した4人は40分間やりたい放題だ。そしてこのシチュエーションにもってこいの曲「運動会やりたい」で、フロアを赤白のふた手に分けるとその場でダッシュの徒競走や、大縄跳びを模したジャンプ、全員で「Y.M.C.A.」の振付をしたりと、観客を走ったり飛んだりさせる。4年連続で出演している四星球。山人音楽祭の"祭"部分を担ってると自ら語り、コミック・バンドの面目躍如たる盛り上げでその音楽と共に会場を笑顔にしている。中でも最高だったのは、以前"京都大作戦"に出演した際、マッサージ・ルームで茂木と一緒になり浮かんだ曲だという「リンパリンパ」。ちなみにこの日ザ・クロマニヨンズも出演するのだが、このタイトルどこかで聞いたような......。北島康雄(シンガー)も"今日で最後になるかもしれないので"と叫びながら"リンパ、リンパ、リンパ~"と大合唱させていく。「Mr.Cosmo」では借り物競争をしたいと楽屋へ戻っていった北島が茂木に扮し再登場し、本物の茂木もステージに登場したり、最後には組体操まで披露したり、"山人体育祭"をやり通した四星球。底抜けに明るい始まりが、最高だ。


榛名ステージ:locofrank

"榛名"ステージのトップバッターを担うのはlocofrank。そして1曲目に選んだのは「START」だ。MCによれば最初に組んだセットリストでは別の曲だったというが、やはりド頭はこれでなきゃとした幕開けの曲。ぎゅうぎゅうとなったフロアが一気に沸騰し、瞬く間に大きなコールやシンガロングが起こる。問答無用で拳を突き上げさせる1曲だ。そこから「Mountain range」、「share」、この"山人音楽祭"直前にリリースとなった「Beyond the epilogue」と連投して、会場は早くも熱気が立ち込めている。最新曲は、熱い泣きのメロディを、タフで重量感のあるサウンドで心のど真ん中に打ち込んでいく曲だ。locofrankならではと言える、ドラマ性とカタルシスのある高揚感が、観客をがっちりと掴んでいくのを感じ、その高い求心力にはライヴ・バンドとしてのプライドが滲んでいる。ちなみにG-FREAK FACTORYと並び雨バンドと称されるlocofrank。両者が揃ったこの日だが、心配された雨はなし! そんな最高の気分も相まって、後半の「BE FULL」のメロディはさらに磨きがかったキャッチーさ、ブライトなパワーが冴える。ラスト「reason」まで、もみくちゃのフロアをゆさゆさと揺らし、また哀愁のメロを観客に見舞い、汗と泣きの歌心で榛名ステージの湿度を上げたライヴとなった。


赤城ステージ:打首獄門同好会

"赤城"ステージで四星球からバトンが渡ったのは、打首獄門同好会だ。大澤敦史(Gt/Vo)はインタビューなどで、フェスで四星球やヤバイTシャツ屋さんと一緒になると、そのフェスにおいての自分たちの"役割"を察知するとよく語っているが、この日がまさにそうだろう。あのはちゃめちゃに引っ掻き回した走法のバトンを受けられるのは、打首(打首獄門同好会)しかいない。そして、開始直前のフロアにうまい棒が配られ、奇しくも1曲目は「デリシャスティック」である。観客もろとも、バトンを受けたような格好で、頭から盛り上がりは最高だ。今年も数々の夏フェスに登場した打首。そこでは新曲「なつのうた」が大活躍したが、この日は少しばかり涼しめということで急遽「布団の中から出たくない」が披露となった。通常ステージの白熱した模様が映るヴィジョンに"コウペンちゃん"(「布団の中から出たくない」MVに登場するキャラクター)や愛らしい猫(「猫の惑星」MVに登場)が映し出される、およそロック・バンドらしからぬ感じだが、ラウドで卓越したサウンドとフレンドリーさのギャップで、初見の人も大いに巻き込んでいく。「日本の米は世界一」での米、米! コールも盛大となりエンディング──と思いきや、袖から茂木が打首の15周年を祝いケーキを持って登場する心憎いサプライズが。普段サプライズ企画はお手の物の打首だが、いざ自分たちがその主役となると喜びで呆然といったふうだった。


赤城ステージ:HAWAIIAN6

サウンド・チェック時からHATANO(Dr)が、"そんなもんか山人! 遊ぼうぜ"と挑むように声を上げていたHAWAIIAN6。歌謡性が滲んだロックンロールなギターのフレーズに始まり、感情が迸るようなスピード感のあるビート、YUTA(Gt/Vo)の哀愁たっぷりのヴォーカルと、GURE(Ba)のコーラスによる泣きのハーモニーというエモーショナルな波状攻撃に、観客がたまらず拳を振るい感情をバーストさせる「Burn」でスタートしたライヴは、どんどんとその興奮のピークを更新するような激しい曲を連投する。「Bleed」、そして、曲が始まった途端大きな歓声が沸きシンガロングが広がった「MAGIC」、そして続けざまに「TINY SOUL」と続きフロアに歓喜の声が広がっていく。長く愛される曲たちに続き、「Haze」のような最近の曲など、新旧が入り混じったセットリストだ。HATANOは"みんなフェスは普段のライヴハウスの何倍も金払って来てるんでしょ。何十倍も遊んで帰れよ"とMCする。後半も馬力を上げて、「A LOVE SONG」や「Wonder」で、ブライトでエヴァーグリーンなメロディを聴かせると、ラストは「I BELIEVE」、「ETERNAL WISH,TWINKLE STAR」、「PROMISE」と怒濤と言えるHAWAIIAN節をフロアに叩き込む。突き上げる拳で想いを返す他ないような熱いシーンが繰り広げられた。