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LIVE REPORT

DEAD POP FESTiVAL -DAY1-

2015.07.11 @川崎市東扇島東公園特設会場

Writer KAORU

前日までの雨が嘘だったかのような快晴! SiM主催のDEAD POP FESTiVAL(以下:DPF)は、2010年から開催され、初回の渋谷clubasiaは満員にすらならなかったそうだが、6年目にして、遂に初の野外フェスが実現した。会場は、川崎からバスで30分ほどかかる東扇島東公園特設会場。川崎駅や港町駅から、無料シャトルバスが随時運行しており、本数もとても多かったので、行列ができていても、実際にはあまり待ち時間も長くはない。また、乗り場のスタッフが"お急ぎの方は、立ち乗りでよければまだ4~5人乗れますので希望者の方はどうぞ!"と、ありがたい気遣いの声をかけてくれた。これは乗り場のスタッフだけでなく、会場にいるすべてのスタッフからも愛情を感じた。他のフェスに行くと、必ずと言っていいほど無愛想なスタッフのマニュアル通りの適当な対応にストレスを感じることも多かったのだが、DPFに関しては、一度もそのような不快な対応はされず、とてもあたたかかった。バンド、スタッフ、そして会場のお客さん全員で、DPFを最高のフェスにしようという気持ちが、細やかなところからも伝わってきた。また、コンドームを配布するというサービスも。あらためてSiMの軌跡に思いを馳せながら、このフェスを全力で楽しもうと思う。

ギルガメッシュ / CHAOS STAGE
会場はまだお客さんがまばらではあるが、クリープハイプがCAVE STAGEを盛り上げたあと、ライヴハウスくらいの大きさのCHAOS STAGEでは、ギルガメッシュのライヴが始まろうとしている。DPFの"壁を壊せ"というテーマにぴったりのバンドだ。彼らはヴィジュアル系出身でありながらも、どんどん音楽性がラウドになっていき、今はヴィジュアル系ファンとキッズの両方から熱い支持を受けている。今日も、ひとつの壁を壊してくれるだろう。
"Are You Ready? ここにいる全員で、思い切りSiMを祝ってやろうぜ!"と、左迅(Vo)が威勢よく煽り、「Break Down」からスタート。"暴れたいやつ、前来て騒げー!"そのMCとラウドで強靭な演奏で火が着き、ステージ周辺はジャンプやヘドバンが巻き起こる。"千葉県からやってきたギルガメッシュです。SiMありがとう。不器用だから、爆音をかき鳴らすしかできないけど、俺たちにはこれしかないから!心で響いたら応えてくれ!"そして、弐(Gt)のずしんとくる重低音ギターと、яyoの力強いドラミングが光るエレクトリック×ラウド・ナンバー「Drain」、ダンス・チューン「Driving Time」では愁(Ba)が華麗なタッピングを披露。ラストの「evolution」では、手拍子に加え、キッズは大きなサークル・モッシュ、クラウドサーフ、八の字ヘドバンで応戦。左迅もファンの上でサーフしながら歌い、興奮を最高潮に引き上げた。

MINOR LEAGUE / CHAOS STAGE
1996年に結成された重鎮ハードコア・バンドMINOR LEAGUE。サウンドチェックの際、PANTERAのTシャツを着た柴田匠(Vo)が、"おいでよー!MINOR LEAGUEだよー!みんなおいでよー!"と、気さくに声をかけ、どんどん人が集まってくる。SEが鳴り響き、"日本で1番アンダーグラウンドな音楽です!"と言って水を巻く。暴れる準備は万端だ"最も売れない音楽をやっています!MINOR LEAGUEです!いこうぜ!"1曲目には「ラストホープ」がプレイされる。この轟音とブラストビート!決してノリやすくはないが、とにかく圧倒される演奏力と、柴田と大工原亨(Vo)のツイン・ヴォーカルの威力に、ただただ目と耳を奪われる。"今日の天気は? 何色なんだ?"観客から"青い空!"とレスポンスされ、「青い空」がプレイされると、大工原は猿のようにスピーカー塔に登る。「高見」でも、大工原はそのままスピーカーに登ったまま歌い、ステージ上のメンバーは、これでもか!というほど激情を込めた怒涛のエナジーを放出するかのような演奏を展開していく。MCでSiMのMAHとの出会いについて語ったあと、新曲を披露。腹に響く迫力轟音。口をポカンと開けているキッズもいれば、一生懸命ツーステップを踏むキッズもいた。ラストには「ナニクソ」がプレイされ、日ごろの鬱憤を晴らすぞ!とばかりに、"ナニクソ!!!"とコールが沸き起こる。周りにいるオーディエンスすべてを巻き込む、あまりにインパクトのあるカオスなライヴを見せてくれた。

Crystal Lake / CHAOS STAGE
サウンド・チェック中からモッシュが起き、ファンの期待ぶりはかなり前のめりだ。"始めようぜ! DEAD POP!"というRyo(Vo)の声を合図に「Matrix」がスタート。ファンのジャンプによる振動が激しく、鋭く重厚な演奏を繰り広げるメンバー。キラー・チューン「Ups & Downs」では、サークルピット、テコンドー、ツーステップが巻き起こり、ボルテージはどんどん加速していく。このとき、筆者の目の前にいた10才にも満たない子供が柵に登って興味津々にステージに見入っており、この黒いグルーヴに身を任せて身体を揺らしていたのも印象的だった。見るたびにどんどん逞しくなっていく演奏は、流石のひと言。"Crystal Lake、遊び方はいろいろあります。俺らの遊びを知ってる子たち、俺らを知らない人たちに、優しく、どうか優しく教えてあげてください。みんなで助け合っていこうよ! 楽しい空間作っていこうぜ! パーティーしようか!"というMCの後、LIMP BIZKITの名カバー「Rollin'」がプレイされ、一気にお祭り空間に。ラストの「The Fire Inside」では、演奏の激しさに合わせてサークルピットもどんどん広がり、芝生の草がそこかしこに舞う。"We Are Not Fuckin' Dead!"という、誠実でポジティブなメッセージと共に、みんなで楽しく暴れ狂う。これぞ現代ハードコアの真髄。爽快で逞しいライヴだった。

NOISEMAKER / CHAOS STAGE
だんだんと風が涼しくなってきた東扇島東公園。MONGOL800が平和を願うメッセージ性の強いライヴで大いに会場を沸かせ、CHAOS STAGEでは、人気急上昇中、北海道のラウドロック・バンドNOISEMAKERのライヴが始まる。"DEAD POP!いくぞー!!"元気よく「Heads and Tails」がスタート。ファンは高くジャンプして応戦し、勢いに加速をつけていく。立て続けに「Her Diamond」を投下。正統派なラウド・サウンドがとても爽快に響く。AG(Vo)は、持ち前のリーダーシップを発揮し、全力のシャウトと、大きく身体を動かしてオーディエンスの興奮を高めていく。"すげえな。すごいよ。DPFには2年前に出させてもらって、まさかこんな光景を見せてくれるとは思ってなかった。夢をありがとうというのと、SiM本当におめでとう。雨の日も風の日もあるけど、願わくば、来年も再来年も、ずっとDPF続いていきますように。拳を上げてください!"このMCに興奮したファンの一部は、肩車に乗って「DRIFTING CLOUDS」に挑む。もう揉みくちゃ状態だ。"この場所でみんなの気持ちをぶつけてくれてありがとう!"ラストは哀愁漂うアンセム「SOMEBODY WANTS DAYS YOU CLOSE」がプレイされ、大きな一体感を生んだ。

10-FEET / CAVE STAGE
ドラゴンクエストのSEと共にメンバーが登場し、"わっしょい!わっしょい!おー○んこー!"と、ビークルばりにコールさせたあと、「VIBES BY VIBES」から勢いよくスタート。赤と緑の照明がステージを彩り、ファンのジャンプが会場全体を振動させる。そして超キラー・チューン「RIVER」が始まると、お祭りムード全開! メンバーも嬉しそうな表情で音をかき鳴らしている。「その向こうへ」が終わると、TAKUMA(Vo/Gt)が"伝説にしていくのは主催のSiMだけじゃないし、出演者だけでもない!お前らも伝説を作り上げていく本人やぞ!"という熱いMCを放ち、「2%」が始まったのだが、本来ベースで始まるイントロのはずがギターが被さる。するとNAOKI(Ba/Vo)"それ俺がモテるところ。俺が目立ちたくて作った曲やからお冠やな。"TAKUMA"ギターで弾くのもかっこええなと思ってやったんやけど"NAOKI"全然違う!かっこよくなかったと思う。そこ、俺だけやから。"という小ネタが挟まり、爆笑。そしてNAOKIがかっこいい通常バージョンの「2%」の演奏中、夕陽に向かって観客がウェーブし、その波がまた後ろから返ってくるという、美しい光景が繰り広げられた。「1sec.」ではそこかしこにサークル・モッシュが起き、ラストの「goes on」では氣志團の綾小路翔がステージに乱入するというサプライズも。10-FEETらしい、ポジティヴ・ヴァイヴス全開のパワフルなステージで、大いに会場を盛り上げた。

G-FREAK FACTORY / CHAOS STAGE
そろそろ辺りが暗くなってきた会場。CHAOS STAGEのトリは、群馬のレゲエ・ロック・バンド、G-FREAK FACTORYだ。吉橋伸之(Ba/Cho)のぶっといベース音に、原田季征(Gt/Cho)のフィードバック・ギター、家坂清太郎(Dr/Cho)のドラムにキーボードが重なり、ダブセッションが始まる。早くも円陣を組んで踊っている人もいて、ピースフルな雰囲気だ。「日はまだ高く」、「SOUL CONNECTION」をソウルフルにプレイしたあと、茂木洋晃(Vo)がSiMをねぎらうMCを挟み、"音楽は非力だけど、無力ではないと、毎度毎度思います。非力だけど、絶対に無力じゃない。今の日本は戦後越えて70年、震災から早4年、祭の場所で言うことではないかもしれないけど、もう1回思い出すべき。俺たちは屈しない。音楽は非力だけど"マイクを遠ざけ"無力ではない!"と、肉声で力強く叫びを上げる。さきほどまでの祝祭空間が一気に緊迫し、観客は静かに耳を傾けていたり、興味ないという反応で去っていった人もいた。しかし、レゲエとは本来、レベル・ミュージックであり、抑圧された民衆が生み出した音楽だ。SiM主催のDPFにおいて、茂木がメッセージを放ったことはとても意味深い。「島生民」では、先ほどのMCで放った熱量をそのまま演奏に落とし込み、興奮がどんどん高まっていく。ラストの「EVEN」が終わると、観客からは拍手が沸き起こった。"すげえかっこいい!"、"なんかしらけたね"と、賛否両論どちらの声も聞いたが、そこも含めてG-FREAK FACTORYの魅力だ。彼らのスピリットは多くの人に伝わっただろう。あらためて、レゲエとは何か、ロックとは何かを考えさせられたライヴであった。

SiM / CAVE STAGE
あたりはすでに夜の闇に包まれている。いよいよDPFの主催者、SiMのライヴが始まる。サイレンのSEと共にメンバーが登場し、大歓声が沸き起こる。"あの空を越えてどこまでも高くぶっ飛べ!DEAD POP FES行こうぜー!"赤い照明がステージを彩り「Get Up, Get Up」からスタート。MAHの声のエコーが波のように響き渡り、コール&レスポンスが会場を包み込む。"我々が主役ですので、1番大きなサークルピットを!"とMAH(Vo)が煽り、「Faster Than The Clock」が始まると、オーディエンスの中心やそこかしこにサークルが生まれ、一体感がどんどん増していく。SHOW-HATE(Gt)の研ぎ澄まされた鋭いギターに、SIN(Ba)とGODRi(Dr)の紡ぐグルーヴィで強靭なリズムが身体に染みわたる。ゴリゴリの重いリズムとメロディアスなサビが印象的な新曲、会場全体がモンキーダンスで盛り上がる「GUNSHOTS」、そして「WHO'S NEXT」がプレイされたあと、"ありがとうございます!昔から大きなことばっかり言ってて、もしかしたら後ろ指差されて笑われてたかもしれない。何年もやって確信したのは、どんなに大きいことでも口に出すことが大事だと思う。それに向かって本気でやってたら、いつの間にか支えてくれる人が増えてってさ、気づいたら俺の周りには仲間しかいませんでした。"感極まり、MAHが涙を流した。オーディエンスも大拍手で支持の意を伝える。"若いころは全員死んじゃえばいいと思ってたし、みんな敵だと思ってたけど......気づいたらみんな俺らを助けてくれる人ばっかりで。夢を叶えるって、何ひとつ自分だけじゃできない。いつも助けてもらってばっかりで。何も返せないけど、せめて1年に1回くらい、みんなでハメをはずせる遊び場を作りたい。"心の底からの仲間への感謝を延べ、DPFを続けていくという意志を示し、たくさんの思いが込められた「Same Sky」が披露された。しっとりと聴かせるメロディアスなこの曲のサビでは大合唱が起き、さきほどのMCとあいまって、とても感動的な光景が広がっていた。ラストの「KiLLING ME」では、ここにいる全員がこの曲を待ってました!と言わんばかりに暴れまくり、今日1番の狂乱と一体感を生んで締めくくられた。アンコールでは、会場にいるお客さんと記念撮影をしたあと、「Blah Blah Blah」、「f.a.i.t.h」がプレイされ、DPF初日の幕を閉じた。

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