LIVE REPORT
"LUNATIC FEST.2018" -DAY2-
2018.06.24 @幕張メッセ
Writer 羽村 萌
LUNACY / MOON STAGE
狂おしき奇跡のフェス"LUNATIC FEST.2018"、2日目のオープニング・アクトは本日もLUNACY。昨日とは異なるMOON STAGEにて"今日はぶっ飛ばしていこうぜー!"と言うRYUICHI(Vo)のひと声で幕が開けた。Jのベースがゴリゴリと鳴り響く「CHESS」から「SUSPICIOUS」に繋げる。オーガナイザーであり、出演バンドの中でも上級生のバンドがイチ早く演奏するという緊張感が漂うフェス。"LUNACY当初、この幕張メッセでやるとは思ってもみなかった"と、1989年結成当時のLUNACY時代を語るRYUICHIは最後に「SEARCH FOR REASON」を届けた。
THE ORAL CIGARETTES / MOTHER STAGE
メイン・アクトのトップバッターは、THE ORAL CIGARETTES。この場で彼らを目にするのは少し違和感があるが、山中拓也(Vo/Gt)が深くお辞儀をして"初めましての方が多いと思います! よろしくお願いします!"と挨拶して「カンタンナコト」、「CATCH ME」を披露すると、一気にアウェイ感をかき消した。"今日初めて出会った人とも長い付き合いになるかもしれないので、その気持ちを込めて......「トナリアウ」。"日頃のネガティヴを音に乗せて訴える彼らの強気な音楽に心揺れたオーディエンスも多いだろう。"やっとこのステージに立つことができました。小中(学生)くらいからずっと(LUNA SEAを)聴いて育ってきたんです。"と目頭を熱くして話す山中。"普段こことは別の畑でライヴをやったりしてるけど、聴いて育ったのはこっちの界隈の音楽で......嬉しい限りです!"と、さらに感極まる山中に温かな拍手が贈られ、新曲「容姿端麗な嘘」から「狂乱 Hey Kids!!」、そして「BLACK MEMORY」を全力で歌い上げた。
OLDCODEX / MOON STAGE
続くMOON STAGEには、OLDCODEXが待ち構える。ステージには真っ白なキャンバスが設置されており、「Feed A」で"「ルナフェス(LUNATIC FEST.2018)」! ジャンプ!"とTa_2(Vo)が会場を煽ると、YORKE.(Painter)はキャンバスをブラシで真っ赤に染めてゆく。"ライヴ・ペイントと音楽をドッキングさせた自分たちの魂を置きに来ました!"と自己紹介を済ませ、「Deal with」でヘッドバンギングの嵐を巻き起こす。"俺らは9年バンドとしてやらせてもらってます。今日は、ピンチのときに手を差し伸べてくれた先輩に呼んでもらって。その人に書いてもらった曲を"とTa_2が言うと、ステージにINORAN(LUNA SEA/Gt)が登場し、場内に歓喜の声が飛び交う。「HEAVEN」を共演する最中にYORKE.はINORANのTシャツに"Thank you INORAN"と絆を感じるメッセージをペイントした。"騒いでくれるかみなさん!"、そうTa_2が叫ぶと、ラストは「Growth Arrow」でヘヴィなサウンドが放たれ、キャンバスには"OLDCODEX LUNATIC FEST.2018"の文字と月の絵が描かれ、自らを存在証明した。
lynch. / MOTHER STAGE
今年3月に幕張メッセでワンマン・ライヴを終えたばかりのlynch.は、念願の同フェスへの初出演に期待が高まる。堂々と登場した葉月(Vo)は"声聞かせてください! 幕張!"と威勢よくひと言。「EVOKE」冒頭のシャウトからフロアはすでにカオス状態に。"今日はみなさんの心をひとつにするためにLUNA SEAの曲をカバーしてきました!"と言って「SLAVE」を披露すると、フロア中の両手がメロイックサインへと変わった。"LUNA SEAでロックに目覚めた者として誇りに思います。思い出作りに来たわけではなく、みなさんの心を奪いに来ました! ゲストを紹介します!"という葉月の合図で登場したのはJ。昨年の明徳(Ba)不在時にサポート・ベースとして楽曲に参加した「TRIGGER」を明徳とツイン・ベースでプレイした。葉月は"ようこそ処刑台へ!"と「GALLOWS」へ繋げてラウドな一面を見せつけつつも、"突然ですがSLAVE(※LUNA SEAファンの呼称)のみなさん、年下の男は嫌いですか? ヤらしてもらってもいいですかー!?"と「pulse_」のセクシャルなパフォーマンスで魅了してゆき、次いで「CREATURE」をお見舞いすると"lynch.でした! 次はMUCCです!"とバトンを継いだ。周りのオーディエンスをどんどん巻き込むlynch.の晴れ舞台を見て"勝利"の文字が浮かんだ。
MUCC / MOON STAGE
lynch.からのバトンを受けたMUCC。今年4月、ミヤ(Gt)がX JAPANと共にアメリカの大型フェス"Coachella Valley Music and Arts Festival 2018"へ向かったことがホット・ニュースになっている。バック・スクリーンに"05:00"とカウントの数字が表示され、7月リリースのシングル『時限爆弾』より「TIMER」でスタートを切った。それと同時にスクリーンのカウントダウンが始まり、高揚が増す。どこか怪しげなサウンドに乗せて逹瑯(Vo)が妖艶に歌い上げると"全員かかってこい!"と会場を煽る。リズミカルなSATOち(Dr)のドラム音で「G.G.」へと繋げ、重圧感たっぷりでドスの効いた音とマッチしてオーディエンスからもデス・ヴォイスの声援が行き交った。そんなダークな世界観とは打って変わり、「ハイデ」では壮大なスケールで"夢"や"花束"というハッピーなワードを並べるも、"こんな多幸感で満たされた気分で終わってたまるか! 幕張、その首全部よこせ!"と逹瑯は挑発的に「蘭鋳」をドロップし、ラストは新曲「生と死と君」で締めくくった。
AA= / MOON STAGE
THE MAD CAPSULE MARKETSの司令塔、上田剛士がヴォーカル、ベース、プログラミングを担当するソロ・プロジェクト AA=が、ベートーヴェン「歓喜の歌」をリミックスしたクラシカルなSEで姿を現した。フロアには、バンド名の由来である"ALL ANIMALS ARE EQUAL(動物農場)"が記されたTシャツを着た、少々強面のオーディエンスたちが集う。"よぉ、「ルナフェス」! ちょっとばかしやかましいですが、楽しんでってください!"と気さくなお兄ちゃんばりの親近感あるテンションで「2010 DIGItoTALism」をプレイ。「Such a beautiful plastic world!!!」を終えると、"俺たちだけでもしっかり繋がっていようぜ"と上田がメッセージをこめる。次に「The Klock」を轟かせ、会場は神秘的なムードに包まれる。"AA=に飛び入り参加してくれる奴がいます! LUNA SEAというバンドやってます、J!"と呼び込まれてステージに登場したJは、上田とアイコンタクトを交わして「FREEDOM」をコラボレーション。すると、フロア前方にはダイバーが続出し、中央のロック・キッズがサークルピットを作って暴れまくった。Jと上田は拳をガツンと合わせ、アツい握手を。最後の最後まで"漢"を感じるステージだった。
BRAHMAN / MOTHER STAGE
SEが流れると、オーディエンスは一斉に頭上で合掌を始める。BRAHMANのライヴでは定番のオープニングだが、今日の場では通用しないようで、どよめきの声さえも聞こえた。すると、ステージ下手よりSUGIZO(LUNA SEA/Gt/Vn)がギターを手に登場し、フロアがざわめく。続いて、のっしのっしと現るはTOSHI-LOW(Vo)。"一瞬にしてジャンルの壁なんてぶち壊せんだ。大事なのは今。BRAHMAN、始めます。"「初期衝動」でSUGIZOはしかめ面でシャウトする。「賽の河原」からは、ギラッと牙を剥く凶暴な楽曲たちが投下された。「警醒」でTOSHI-LOWはステージを降りて前方の柵を乗り越え、フロアの中へずんずんと入り込む。"一番不安なの俺だから。わかるよ、異物感くらい"とピュアな心情を曝け出し笑いが起こる。"何年前かな、SUGIZOと一緒に酒を呑んだの、朝まで。福島県の爆発した原発から20キロ離れたあの入れない街を分断する橋の線の上側で。俺は、津波にのまれた街に小さなライヴハウスを作った。あなたたちではキャパが小さすぎるだろうけど、行ってくれないかって話をした。そのとき、ふたつ返事でSUGIZOは俺に、行くよと。石巻 BLUE RESISTANCE......パソコンで観てたよ、X JAPANが来たの。約束を守ってくれる男ってむちゃむちゃかっこいい。なので今日、俺たちは「ルナフェス」に出る約束を果たしに来ました"(TOSHI-LOW)。SUGIZOが「満月の夕」をヴァイオリンで華麗に奏でる。物事に対して、改めてもう一度、正しいものを探したい、考えたいという意識のもとで出会った者同士の共演......上品さと野蛮さが融合した"LUNATIC FEST."ならではの絶景を目に焼きつけた。
LOUDNESS / MOON STAGE
おそらく今回の出演アーティストの中で最年長であろうヘヴィ・メタル・バンド、LOUDNESS。80年代中盤よりワールドワイドな活躍を成し遂げている日本を代表するレジェンドが、"ルナフェス"初参戦だ。"こんなに素敵なフェスに呼んでもらって、ありがとうございます!"と、二井原 実(Vo)が清き挨拶を一発。スクリーンに映し出される"LOUDNESS"の文字に日の丸が描かれたバンド・ロゴを背に、レザー・ジャケットを羽織りどっしり構えて歌い上げる二井原からは終始、重鎮のオーラが放たれている。「CRAZY NIGHT」では、高崎 晃(Gt)のハイテクニックな早弾きについ見とれてしまった。ラストの「S.D.I.」を終えると二井原は"また会いましょう! Ahhhh~!"と、ヘヴィ・メタル特有の高音シャウトを見せつけステージをあとにした。
YOSHIKI / MOTHER STAGE
"みんな元気? 「LUNATIC FEST.」 What's up?"と海外から駆けつけたYOSHIKIは、出演者最終発表でアナウンスされ、ピアノ・ソロで登場。昨日同フェスの出演を終えたTERU(GLAY)をヴォーカルに招き、ギターはSUGIZOで「Say Anything」を披露する。"僕たち(X JAPAN)この20年何も(新曲を)出してないな......"と話すYOSHIKIにTERUは"3年前コーラス録ってましたよね(笑)?"と前回の"LUNATIC FEST."でX JAPAN演奏中に録音したときのエピソードを語った。「紅」ではヴォーカルにRYUICHIを迎え"X(X JAPAN)とLUNA SEAは切っても切れない縁。素晴らしいフェスに呼んでもらって感謝です"と述べた。再びTERUと、MUCCのミヤと逹瑯がステージに召喚されると、SUGIZOが"ミヤは日本で「X SUGINAMI」で頑張ってもらわないと!"と励ます場面や、自身がプロデュースするラーメン屋"天雷軒"の制服を着た真矢(LUNA SEA/Dr)が登場するなど、ほっこりするコラボを経てライヴ後半戦へ。"こうやって20年、30年経っても同じステージを共有できるなんて、なんて僕は幸せなんだと思います。当時はTAIJI(X JAPAN/Ba)もHIDE(X JAPAN/Gt)もよく一緒にLUNA SEAのみんなと遊びました。いつも心の中で励まされてます。その親愛なるTAIJIとHIDEに捧げます"と涙ぐみながら「Without you」をプレイし、温かな声援に包まれラスト・ナンバー「ENDLESS RAIN」でシンガロングした。
LUNA SEA / MOTHER STAGE
ベートーヴェンのピアノ・ソナタ第14番「月光」が響きわたる会場。LUNA SEAの5人は虹色のライトに照らされながら「LOVELESS」をのびやかに奏で、「ROSIER」では90年代ヴィジュアル・ロックの真髄を見せつけるかのような風格を露わにした。"みんなのおかげで刺激的な時間を過ごせています。馴れ合いじゃなくて、本気でやってくれて。気持ちがキュンとするというか......いいね、フェスって"とRYUICHIが語る。「Sweetest Coma Again」でファイヤー・ボールが燃え上がり、爽やかに「IN SILENCE」を歌えば、バックに映し出された色彩豊かなステンドグラスが「Providence」に艶やかさを添える。「I for You」ではYOSHIKIがピアノで参加し、大歓声が沸き起こった。30年来の仲だがLUNA SEAとのセッションは今日が初だというから驚きだ。"Xもそうだけど、LUNA SEAの歴史は僕の人生のひとつなので"とYOSHIKI。続いて、昨年発売されたアルバム『LUV』より「BLACK AND BLUE」や、INORANのギター・リフが主導する「TONIGHT」でボルテージをガンガンに上げ、「WISH」でド派手な紙吹雪が宙を舞った。"仲間たちを呼びたいと思います!"とRYUICHIが叫び、フィナーレはオール・ラインナップで「STORM」のセッション。YOSHIKIはHIDEが愛用していた"イエローハート"モデルのギターを掛けて再度登場し、最狂に豪華なステージが繰り広げられた。
LUNA SEAは、今年5月に行われた日本武道館にて29歳の誕生日を迎え、年末には2日間のさいたまスーパーアリーナ公演を控える。LUNA SEAというひとつのバンドから生まれた、20代から50代まで幅広い世代のバンドたちのコネクションは偉大なるもの。今宵、日本を誇る音楽の祭典が開かれたことは、世に継いでいくべき出来事であろう。
- 1