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INTERVIEW

lynch.

2018.07.06UPDATE

2018年07月号掲載

lynch.

メンバー:葉月(Vo) 玲央(Gt) 悠介(Gt) 明徳(Ba) 晁直(Dr)

インタビュアー:杉江 由紀

どうか伝わってほしい。lynch.が今、その全身全霊をもって表現しようとしているロック・バンドとしてのダイナミズムとロマンチシズムを。lynch.にとって13枚目のアルバムとなる『Xlll』は、2016年に発表された『AVANTGARDE』以来"メンバー5人で"新録したオリジナル・フル・アルバムだ。今春の結成13周年を迎えるに至るまでの間には、多くの困難がlynch.を試練の谷へと突き落とすこととなったが、そのすべてを糧にして邁進し続けてきた彼らは、今作『Xlll』の中でより力強くも蠱惑的な音を体現することに成功。11月まで続くツアー"TOUR'18 「Xlll -THE BEAUTIFUL NIGHTMARES-」"においても、lynch.の雄姿をぜひとも体感していただきたい。

-lynch.にとって13枚目のアルバムとなる『Xlll』は、2016年秋に発表された『AVANTGARDE』以来の"メンバー5人で"新録したオリジナル・フル・アルバムとなります。まずは、この作品について各人が感じている手応えについて教えてください。

玲央:『AVANTGARDE』のあと、このところのlynch.は『SINNERS-EP』(2017年5月リリース)やシングル『BLØOD THIRSTY CREATURE』(2017年11月リリース)、さらに『SINNERS -no one can fake my bløod-』(2018年4月リリース)と、"そのときにしかできないこと"をやってきていましたからね。通常のオリジナル作品とはまた少し違ったものというか、映画でいうとスピンオフ的な作品を作ってきたところも僕の中ではあったので、今回の『Xlll』はlynch.にとっての純粋なオリジナル・アルバムとして向き合えた感覚が強かったです。やっと、この5人でイチから作品を作ることができたなという手応えがありました。

-晁直さんとしてはいかがですか?

晁直:今回のアルバムは、僕からするとちょっと異質な感じもあったりしますね。

-晁直さんは、『Xlll』の数量限定豪華盤の特典である映像作品"DOCUMENT Xlll"の中で今作に対して"キャッチー"という言葉を使っていらっしゃいます。晁直さんが感じられている異質感とは、そこと繋がるものですか?

晁直:うん、そういうところもありつつですね。もちろん激しいところも『Xlll』の中にはいっぱいあるし、キャッチーな曲そのものは今までのlynch.でもいろいろやってきてはいるんですが、これまでとはキャッチーさの質がまた別の色合いになっているというか。そこが際立っている場面がわりと多いので、異質さを感じるのかもしれないです。例えば、「GROTESQUE」のように"危うさ"っていう言葉が似合う曲が入っているところも、このアルバムの大きな特徴のひとつだと思いますね。90年代のヴィジュアル系の要素が、そのあたりには漂っているんですよ。

-たしかに、「GROTESQUE」からはあの時代を彷彿とさせる空気感がありますね。ギターの音色然り、葉月さんのヴォーカリゼーション然り、全体的なアレンジ然り。

晁直:おそらく、そういうものは、当時を知らない今の若い子たちからすると新鮮なんじゃないですかね。昔を知っている人たちからすれば、今のlynch.がそういう表現をすることに対して嬉しいと感じるところもきっとあるんだろうし。僕自身の音の出し方は特に変わっていないので、それでもこれだけアルバムとしての雰囲気が以前とは変わったというのは、それぞれの曲や作品自体にそれだけの力があるからだと思いますね。

-悠介さんは、今作『Xlll』の仕上がりに対してどのような手応えを?

悠介:予想していた以上というか、自分が期待していた以上のものにすることができたなというのが第一印象です。『AVANTGARDE』を出して、そのツアー("TOUR'16 「THE NITES OF AVANTGARDE」")を回った直後にAK(明徳)が捕まったわけなんですけど、あの2年前の勢いをすぐ取り戻せるような作品になったんじゃないかという自信はあります。

-前述の"DOCUMENT Xlll"においても、悠介さんは"自画自賛かもしれないけど"と前置きをしたうえで、今作を仕上げたことについての強い達成感を語っていらっしゃいましたものね。

悠介:『Xlll』に関しては、自分がもともとよく聴いていた90年代のヴィジュアル系というものがモチーフになっているところがあるので、それを今の自分なりの解釈で音に出していくことができたんと思うんですよ。そのせいか、今回はフレーズが出てくるスピードも速かったですね。自分でもそれはちょっとびっくりしたところで。最近では聴かなくなっていた音楽なのに、いざそういうアプローチをしてみたら自然と自分の中から音が出てきて、"やっぱり、染みついているんだなぁ"と思いました(笑)。

-人が成長期や思春期に聴いていた音楽は、その後の人生においても心理学や脳科学の観点から多大なる影響を与えるものであるそうですからね。

悠介:ただ、今回は単に懐古的になるだけではなくて、改めてその時代の音楽を聴き直しながら、プレイヤーとなった自分の立場で昔聴いていた音楽を取り込み直すということもしたんですね。"あぁ、このころの人たちはこういうことをやっていたんだな"という解析をすることができたので、そのうえでアルバム制作に臨めたことも、いい結果を生んだ理由のひとつじゃないかと思います。

-それから、今回コンポーザーとしての悠介さんは、ギター・アンサンブルの精緻さと葉月さんの低く響くヴォーカリゼーションが光る「RENATUS」、叙情性や繊細さに満ちたドラマチックな「SENSE OF EMPTINESS」、さらにアルバムのラストを飾る「A FOOL」では曲だけでなく、なんと詞も手掛けていらっしゃいます。いずれも秀逸な仕上がりですが、今作で初めて詞を書くことになった理由についてもぜひうかがいたいです。

悠介:「A FOOL」は詞先行でできた曲なんです。出てきた言葉に対して、メロディや音をつけていきました。

-それだけ「A FOOL」は、悠介さんの中で生まれるべくして生まれたものだったということなのでしょうね。

悠介:この詞がなぜ生まれたのかという点に関しては、僕のプライベートな話になっちゃうんですよ。だから、こういう公の場ではあまり詳しく言いたくないです。それに、自分の内面にあるものを文に起こす才能については、あんまり自分に備わっていないと思っていますから(苦笑)。でも、以前から僕が詞を書いた曲も聴いてみたいですという意見はよく聞いていましたし、今回は最初の英文のあたりをふと思いついてしまったので、せっかくだしと思い、ここでかたちにしてみました。まぁ、内容的には説明するまでもなく、わりとそのままですよ。愚かな行いによって、大切なものを失って......ということですね。

-それはもしや......。

悠介:あぁ、受け取る人によっては"AKのことを歌っているのかな"って感じるのかもしれないけど、コイツはもう"取り戻している"んですよ。こうして戻ってくることができたから。ここで書いているのは、それとは違う"もう取り戻せない"人の助けを求めるような嘆きなんです。わかりやすいと思います。

-葉月さんとしては、悠介さんの書かれた歌詞を歌ってみてどのようなことを感じられました?

葉月:なんの違和感もありませんでしたよ。そのまますんなり歌いました。変えたのは、表記の面で漢字だったものを一部ひらがなにしてもらったくらいですね。